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「自己肯定感」ブームがもたらす逆効果の落とし穴

2024.12.26

「家族と仲が悪く毎日イライラしている」「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまくいかず苦しい」。

私たちの人生には、このような乗り越えるべき「壁」がたくさんあります。その中でも最も大きな障害は「自分自身」かもしれません。なぜなら、悩みや苦しみは、「他人」が生み出しているのではなく、紛れもなく「自分」から生まれているものだから。

YouTube登録者数約70万人を誇る大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏による累計5万部突破のベストセラー『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』から一部を抜粋・編集し、自分を知り、受け入れ、変えていくためのヒントを紹介します。

「無理やりポジティブ思考」は逆効果

■自己肯定感を無理やり高めることはできない

同じ言葉でも受け止め方によって、救われることもあれば、逆にストレスを感じてしまうこともあります。

例えば、「自尊心(自己肯定感)」という言葉は、どちらかといえばプラスのイメージでとらえられることが多いでしょう。

最近は「自己肯定感を高めよう」ということがブームのようになり、逆に「自己肯定感が低い人は生きづらい」という風潮にもなっていました。

書店には自己肯定感を高めるための本がたくさん並び、セミナーなどもあちこちで開かれていましたよね。

心理学の研究によると、自己肯定感には潜在的なものと顕在的なものがあるのだそうです。

「無意識のうちにある自己肯定感」

「自分が意識している自己肯定感」

ひと口に自己肯定感といっても、その性質には大きな違いがあったのです。

潜在的な自己肯定感と、顕在的、つまり表向きの自己肯定感の両方がつねに高い人は、仏教的にいえば心が非常に安定している状態です。

一方で、潜在的な自己肯定感が低いにもかかわらず、「自己肯定感を高く保とう!」と表向きの自己肯定感を強引に引き上げている人は自惚れやすく、俗にいうナルシストになりやすい傾向が見受けられます。

これ見よがしに「自分は自己肯定感が高い人間です」という振る舞いをするわけです。

そのような人は、もし自分が傷つけられそうな出来事に遭遇したり、自分の評価が下がったりしそうになると、「私はすごいんだ!」「あの人よりも自分のほうが上なんだ!」という自己暗示のようなポジティブシンキングで、必死で自己肯定感を高く保とうとします。

要するに、自己肯定感が下がってしまうことを極端に恐れているため、意識的に表向きの自己肯定感を高めようとしており、無理をしてその努力をし続けている状態といえるでしょう。

これはかなり病的な行為といっても差し支えなく、どうしても自己防衛的になってしまいますので、やはり心身の健康が崩れやすくなります。

自己肯定感を高めようとする気持ちや努力は悪いことではありませんが、「人は無意識が9割」ともいわれるように簡単に人間の根底は変えられません。

つまり、いくら表向きに「自分はすごい!」「自分大好き!」と取り繕っても、潜在的な自己肯定感が低い、本当の意味で自分に自信がないままではボロが出てしまうということです。

■「自分を良く見せたい」という自惚れは非常にやっかい

例えば、表面的にはすごく明るくて、とにかく前向きなイメージがある著名人の方などが、メンタルを病んでドラッグに溺れてしまったり、最悪の場合には自ら命を絶ってしまったりする。

昨今では、そういった悲しいニュースも珍しくありませんが、おそらくテレビなどを通して私たちに見せている姿と本質的な自分の姿に大きな違いがあるのでしょう。

顕在的な自己肯定感だけでは、どうにもならないことがあるのです。

よく、不祥事を起こした方が反省の色を見せながらなにかを成し遂げ、メディアを通じて再起を誓われたりしますが、私からいわせれば、そんなことで自分の心を変えられるのなら苦労はしません。

「反省するために座禅をさせてください!」

「間違いを犯した私を大愚和尚のところで修行させてください!」

そのような建前で福厳寺にいらっしゃる芸能人やスポーツ選手、企業の社長さんなどもたくさんおられますが、私は一貫してお断りしています。

全員がそうだとはいいませんが、大半の方々は「私は修行しました!」と得意げにカメラに収め、もう一度社会からの信用を取り戻したい―そういった算段で動いているからです。それこそ、最初からカメラマンを同行させている方もいらしたりします。

「その人の言っていることではなく、行動を見よ」とは、まさにこのこと。

そのようなうわべだけの修行をしたところでその人の人格は変わりませんし、「そんなことのためにお寺を利用しないでください!」とお引き取り願うことが日常茶飯事です。

本当に自分の行いを見直したいと思うのであれば、黙ってやればいいのです。それをメディアやSNSを通じてアピールしている時点で、「自分を良く見せたい」という欲でしかありません。

謙虚なように見せて、じつは自惚れているという人が、とても多いのです。

■自分ができることとできないことを自覚する

仏教だけではなく、心理学的にもいわれていることですが、本当に潜在的な意識の部分から自分に対して自信を持っている方は、そもそも自惚れません。

どこかに不安定な要素を持っている―例えば自分のどこかにコンプレックスを抱えているからこそ、それを克服しようと謙虚に努力するのでしょう。

みなさんにぜひ覚えておいていただきたいのは、自己肯定感は高めようと思って高められるものではないということ。

仏教における「慢」とは、他人のことを、自分より上か、下か、同じくらいかで判断したくなる衝動です。

アファメーション(なりたい自分になるために肯定的な言葉で宣言をすること)的なものは一時的な効果こそありますが、あくまでも誰かとの比較によって成り立つ「慢」になりますので、つねに他人との優劣を考えているようでは一向に救われません。

別に自分のことを肯定されようが、否定されようが、決して動じない。これが本当の意味での心の安定になります。無理やりポジティブシンキングをしている時点で、あなたの心は揺らいでしまっている証拠なのです。

まず、自惚れが「慢」であることに気づき、他人との比較にエネルギーを割かないことが大切。

それに気づくことができれば、自ずと謙虚になっていきます。

この謙虚というのは「いやいや、私なんか……」と卑下することではなく、自分ができることと自分ができないこと――これをきちんと分析して理解している状況。自分自身のことを客観的に見えている状態のことです。

世の中で〝一流〟と呼ばれる人たちは、自分のできないことがわかっているからこそ、決して今の自分自身に満足することがないのでしょう。

自分自身で「俺はすごい!」と豪語する一流はいませんよね。

飽くなき探求心があるからこそ、プロフェッショナルと呼ばれる存在になれるわけです。客観的に自分の強みも弱みも冷静に判断できる人は、成長します。

自惚れている時点で三流であることに、まずは気づくべき。これを肝に銘じていただきたいと思います。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』は、自己との向き合い方を深く考えさせてくれる一冊です。

人生の壁に直面した時、それを他人や環境のせいにするのではなく、自分の内側を見つめ直すことで新たな道が見えてくるかもしれません。

大愚和尚のメッセージは、読む人の心にそっと寄り添い、勇気を与えてくれます。本書を通じて、人生に立ちはだかる「壁」を超える力を、一緒に見つけてみませんか?

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■著者情報

大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。

YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答

構成/DIME編集部

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