ニッスイは、生活の大きな変化を余儀なくされたコロナ禍を経て外出事情や健康に関する行動の変化を明らかにするため、40~70歳代の男女1000名を対象に調査を実施。結果をグラフと図表にまとめて発表した。
今回は外出の頻度や目的など現在の外出事情や、外出を楽しむために不可欠な健康について、また運動習慣やコロナ禍前後の筋肉の変化やストレスの状況などに関して調査を行なった。
週1日以上外出する中高年は約8割、コロナ禍前にほぼ回復
コロナ禍以前と以後の現在の外出の頻度について聞いた。現在、週に1日以上お出かけする人は「ほぼ毎日」「週に4・5日」「週に2・3日」「週に1日」を合わせると約8割に上った。また、これはコロナ禍前の頻度とほぼ同程度になる。
■外出先や目的の1位はショッピングセンター。散歩・ウォーキング・ジョギングは年代が上がるにつれて順位が上昇
食品・日用品など生活必需品購入のための買い物や、通院などやむを得ない外出を除き、よく行く外出先や目的について聞いた。
その結果、どの年代でも1位になったのはショッピングセンターだった。40~60歳代の2位は食事が目的の飲食店であるのに対し、70歳代では散歩・ウォーキング・ジョギングが2位となり、年代が高いほどその順位は高くなっていた。年齢とともに運動意識が向上することがわかる。
■定期的に運動している中高年は6割以上。運動習慣がある人は体調が良好な傾向
運動をはじめとする生活習慣についても調査した。6割以上の人が定期的に運動をしている一方、3人に1人は「全くしない」と回答している。
また、何らかの運動をしている人と運動を全くしない人の体調を比較した。体の調子が良好と回答した人は運動をしている人の中では約4割に対し、運動をしていない人の中では2割台で、運動をしている人の方が体調も良好な傾向にあるようだ。
■コロナ禍で筋肉・筋力が低下、体重やストレスも増えて現在も回復していない
コロナ禍、コロナ禍以降の筋肉・筋力・体重・ストレスの状況の変化についても聞いた。
約3割の中高年がコロナ禍で筋肉・筋力が減ってしまったと回答、そのうち現在も筋肉・筋力がまだ減ったままであると答えた人はその7割だった。
体重・ストレスにおいてもコロナ禍で増えたとする人が約2割、そのうち今でも体重が増えたままの人は約7割、ストレスが増えたままの人は約6割だった。いずれの項目においても、コロナ禍による変化を元に戻せていない人が多いことがわかった。
速筋・遅筋の認知度は3割。運動している人でも速筋を意識できていない人が多数
筋肉には、無酸素運動に使われる瞬発的な速筋と、有酸素運動に使われる持久的な遅筋の2種類がある。中でも速筋は、高齢になるにつれて衰えると、転倒などのリスクにつながる可能性がある。
今回、この速筋と遅筋の認知度も調査をしたところ、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人はわずか3割にとどまった。
運動をしている人のうち、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人は4割いたが、一方でそれらを意識して運動を行なっていると回答したのはわずか2割にも満たない結果となった。運動はしているものの、速筋を意識できていない人が多いことがわかる。
また、加齢とともに生じる筋力の低下や健康づくりの重要なキーワードとして「フレイル」(※)があるが、「フレイル」となる要因の一つに「速筋」の減少が挙げられる。
そこで、このフレイルの認知度や速筋とフレイル関係の認知・理解度についても聞いた。
その結果、年代が上がるにつれてフレイルの認知度は上がるものの、フレイルが何かを知らないという人の割合は70歳代で約4割、40歳代では約6割となった。
さらに、フレイルの要因の一つは速筋の減少であることを知っている人の割合は全年代で1割未満だった。
※フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、日本老年医学会が2014年に提唱した概念。
調査結果まとめ
今回の調査により、外出頻度はコロナ禍前の状況に回復したが、筋肉や筋力、体重・ストレスなどの観点ではコロナ禍前には回復していない傾向があることがわかった。
外出を楽しむには健康は大事な要素だが、運動習慣がある人が比較的多い一方で筋肉や筋力が回復しないままの人が多くいた。
また、筋肉に関しては、速筋・遅筋の認知度は低く、シニアの社会問題となっているフレイルに関する認知も十分ではなく、速筋を意識した運動や生活を習慣づけることの大切さが示唆される結果が得られた。
調査概要
方法/WEBアンケート調査
テーマ/お出かけ事情と健康に関する調査
対象者/全国の40~70歳代の男女計1000名
期間/2024年11月6~7日
構成/清水眞希