中高年層の外出頻度はコロナ前まで回復、一方で筋力や体重、ストレスは回復せず

2024.12.14

ニッスイは、生活の大きな変化を余儀なくされたコロナ禍を経て外出事情や健康に関する行動の変化を明らかにするため、40～70歳代の男女1,000名を対象に調査を実施し、その結果を公開した。

運動習慣がある人は、体調が良好な傾向に

同調査では、外出の頻度や目的など現在の外出事情や、外出を楽しむために不可欠な健康について、また運動習慣やコロナ禍前後の筋肉の変化やストレスの状況などを調査。その結果、外出頻度はコロナ禍前の状況に回復したが、筋肉や筋力、体重・ストレスなどの観点ではコロナ禍前には回復していない傾向があることが判明。また、筋肉に関しては、速筋・遅筋の認知度は低く、シニアの社会問題となっているフレイルに関する認知も十分ではなく、速筋を意識した運動や生活を習慣づけることの大切さが示唆される結果となった。

■週1日以上外出する中高年は約8割

まず、外出の頻度について調査したところ、現在、週に1日以上外出する人は「ほぼ毎日」「週に4・5日」「週に2・3日」「週に1日」を合わせると約8割となり、コロナ禍前の頻度とほぼ同程度となった。

■外出先や目的の1位はショッピングセンター

続いて、食品・日用品など生活必需品購入のための買い物や、通院などやむを得ない外出を除き、よく行く外出先や目的について調査したところ、どの年代でもショッピングセンターが1位という結果に。また、40～60歳代の2位は食事が目的の飲食店であるのに対し、70歳代では散歩・ウォーキング・ジョギングが2位となり、年齢とともに運動意識が高まることが見て取れます。

■定期的に運動している中高年は6割以上

運動をはじめとする生活習慣についての調査では、6割以上の人が定期的に運動をしている一方、3人に1人は「全くしない」と回答。また、何らかの運動をしている人と運動を全くしない人の体調を比較したところ、体の調子が良好と回答した人は運動をしている人の中では約4割に対し、運動をしていない人の中では2割台で、運動をしている人の方が体調も良好な傾向となった。

■コロナ禍で筋肉・筋力が低下、体重やストレスも増えて現在も回復していない人が多数

さらに、コロナ禍、コロナ禍以降の筋肉・筋力・体重・ストレスの状況の変化についても調査。約3割の中高年がコロナ禍で筋肉・筋力が減ってしまったと回答、そのうち現在も筋肉・筋力がまだ減ったままであると答えた人はその7割となった。体重・ストレスにおいてもコロナ禍で増えたとする人が約2割、そのうち今でも体重が増えたままの人は約7割、ストレスが増えたままの人は約6割となり、いずれの項目においても、コロナ禍による変化を元に戻せていない人が多いことがわかった。

■速筋・遅筋の認知度は3割

筋肉には、無酸素運動に使われる瞬発的な速筋と、有酸素運動に使われる持久的な遅筋の2種類があり、特に速筋は、高齢になるにつれて衰えると、転倒などのリスクにつながる可能性がある。今回、この速筋と遅筋の認知度も調査をしたところ、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人はわずか3割だった。運動をしている人のうち、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人は4割いたが、一方でそれらを意識して運動を行なっていると回答したのはわずか2割にも満たない結果となり、運動はしているものの、速筋を意識できていない人が多いことがわかった。

また、加齢とともに生じる筋力の低下や健康づくりの重要なキーワードとして「フレイル」（※）があるが、「フレイル」となる要因のひとつに「速筋」の減少があげられることから、このフレイルの認知度や速筋とフレイル関係の認知・理解度も調査。年代が上がるにつれてフレイルの認知度は上がるものの、フレイルが何かを知らないという人の割合は70歳代で約4割、40歳代では約6割という結果になった。さらに、フレイルの要因のひとつは速筋の減少であることを知っている人の割合は全年代で1割未満にとどまった。