「家族と仲が悪く毎日イライラしている」「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまくいかず苦しい」。
私たちの人生には、このような乗り越えるべき「壁」がたくさんあります。その中でも最も大きな障害は「自分自身」かもしれません。なぜなら、悩みや苦しみは、「他人」が生み出しているのではなく、紛れもなく「自分」から生まれているものだから。
YouTube登録者数約70万人を誇る大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏による累計5万部突破のベストセラー『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』から一部を抜粋・編集し、自分を知り、受け入れ、変えていくためのヒントを紹介します。
「自分の壁」を超えられれば、すべての悩みを手放せる
私たちはいったい、いつから悩み、苦しんでいるのか。
「大人になるにつれて社会の理不尽さを感じるようになったから?」
いいえ、もっと早い段階から苦しみに向き合っているはずです。私が思うところでは4歳、早い子の場合は3歳くらいでしょうか。
これは私が住職を務める福厳寺の境内にある幼稚園の子どもたちを見ていても感じます。
かなり小さいうちから、いろいろなことに対して「なんで?」という疑問を持ちますし、言葉を話せるようになることで、なにかしらの悩みや苦しみを持ち始めます。
再三にわたってお伝えしていますが、人生は生まれてから死ぬまで苦しみの連続です。それこそ、苦悩は一生付き合っていかなければいけない相手なのです。
なにか嫌なことがあれば「あいつが悪い!」「社会が悪い!」「○○のせい!」と嘆いてしまうのも無理はないでしょう。
でも、苦しみから少しでも解放されたいのであれば、ほかのもののせいにしているだけではいけません。
「なぜ、私たちには苦しみが生まれるのか」
本気で苦しみを手放したければ、苦しみについて真剣に考えなければいけない―そこに人生をかけて挑んだのがブッダなのです。
■苦しみを捨てるヒントは通販番組にあり?
私たちは苦しみを抱えながら生きている、とはいうものの、仕事や学校を休んでまで、「今日は苦しみについて考えてみよう」と行動に移す人はいませんよね。
でも、ブッダはそれを実行しました。
人生のすべてを投げ出して、心の苦しみを徹底的に見つめてみよう―これがいわゆる〝出家〟であり、それを行ったのがブッダでした。
そして、考え抜いた末に、4つの真理にたどり着きます。
ブッダが発見したのは四諦八正道。
四諦とは「苦」「集」「滅」「道」から成る4つの聖なる真理のことを指しています。
「苦」とは、文字どおり、私たちが持つ苦しみのこと。
「集」とは、苦しみを生むさまざまな要因、メカニズムのこと。
「滅」とは、苦しみの原因を知り、それを減らしていくこと。
「道」とは、苦しみを手放すための方法のこと。
この四諦については、通販番組のセールスレターで考えるとわかりやすいかもしれません。
「みなさん、お掃除って大変じゃないですか?」(苦)
「家事や育児をしたり、仕事をしたり、毎日なにかと忙しいですよね」(集)
「そんなとき、自動的にお掃除が済んでいたらすごく助かるでしょう」(滅)
「そこでご紹介したいのが、この○○○です!」(道)
この通販番組のセオリーこそが、まさに四諦の流れそのものです。
生きることには苦しみがある。
苦しみには原因がある。
苦しみの原因がわかれば、減らしていくことができる。
苦しみをなくす方法がある。
ブッダは、人々が興味を持ちやすいように、あえてこのような順番で説かれたのです。
ちなみに、「道」の種類が8パターンあることから八正道というのですが、これについては少し難しい話になってしまいますので割愛いたします。
要約するのであれば、生活するうえで気をつけるべき〝8つの心構え〟が八正道によって示されているとお考えください。
■ブッダが瞑想によってたどり着いた結論
誰だって苦しむのは嫌ですし、悩みを抱えて生きていたくないでしょう。
でも、私たちの苦しみを生んでいるのは、会社の上司でもなければ、家族でも恋人でも友人でもありません。あなた自身の心の中にある妄想がその原因になっています。
では、苦しみを捨てるために、具体的になにをすればいいのか?
まずは、自分自身の心の中を徹底的に見つめることです。
苦しみの原因を自分の外にばかり求めていたら「なぜ起きるのか?」「どうやって起きるのか?」といったことがまったく見えてこないからです。
これまでにもお伝えしてきたとおり、苦しみを生み出す原因は、自分の外側ではなく内側に存在します。苦しみを捨てるためには自分の内側=心と正面から向き合わなければなりませんが、そこには妄想や思い込み、貪瞋痴など、それを邪魔するさまざまな「壁」が立ちはだかります。
その「自分のなかにある壁」を超えることができれば、抱えている悩みや苦しみを手放し、もっとおだやかな気持ちで生きることができるようになるのです。
仏教では自分の心に意識を向けて集中することを〝瞑想〟といいます。
瞑想と聞くと、なにか特別なことをしなければならないイメージを持たれるかもしれませんが、あまり難しく考えなくても大丈夫です。
瞑想については第5章で改めて解説しますが、あくまでも集中する力であり、そのエネルギーを活かすことにあります。
極端な話をしてしまえば、銀行強盗をしたり、詐欺で騙そうとしたり、なにか悪企みをするときにも瞑想の力は働いてしまいます。これは「悪しき方向」に集中してしまっている状態です。これを「善き自己改革のために充てていこう」とするのが仏教における修行なのです。
ブッダは瞑想によって、自分自身の心を観察し、その真理を発見しました。
苦しみが生まれる原因をしっかりと理解し、自分の心の中でつくられるプロセスを見つめることができれば、間違いなくそれを減らしていくことができる――これが修行によって導き出されたブッダの結論なのです。
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いかがだったでしょうか?
『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』は、自己との向き合い方を深く考えさせてくれる一冊です。
人生の壁に直面した時、それを他人や環境のせいにするのではなく、自分の内側を見つめ直すことで新たな道が見えてくるかもしれません。
大愚和尚のメッセージは、読む人の心にそっと寄り添い、勇気を与えてくれます。本書を通じて、人生に立ちはだかる「壁」を超える力を、一緒に見つけてみませんか?
今回紹介した書籍はこちら
怒り、悲しみ、不安、嫉妬、後悔――。あなたを苦しめるネガティブな感情との向き合い方、上手な手放し方を身につける方法とは?長年にわたり数多くの人々の悩みや苦しみと向き合ってきた禅僧である大愚和尚が、仏教の思考法に基づき、自分の心との向き合い方、負の感情の手放し方を伝授する必読の一冊!
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■著者情報
大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」
構成/DIME編集部
なぜ、お坊さんが?登録者数約70万人の大愚和尚がYouTubeで発信し続ける理由
2025年1月時点で登録者数が約70万人にも及ぶYouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」。現代人の悩みに答える大愚和尚は、愛知県で540年の歴史を誇る禅寺...