「家族と仲が悪く毎日イライラしている」「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまくいかず苦しい」。
私たちの人生には、このような乗り越えるべき「壁」がたくさんあります。その中でも最も大きな障害は「自分自身」かもしれません。なぜなら、悩みや苦しみは、「他人」が生み出しているのではなく、紛れもなく「自分」から生まれているものだから。
YouTube登録者数約70万人を誇る大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏による累計5万部突破のベストセラー『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』から一部を抜粋・編集し、自分を知り、受け入れ、変えていくためのヒントを紹介します。
「恵まれたあの人」にも悩みや苦しみが存在する
ブッダは王家の出身で、衣食住にも困らず、誰もが羨む恵まれた環境で育ってきました。それでも悩みや苦しみが尽きず、すべてを捨てて社会に対する改革を起こし、仏教の開祖となりました。
人間が人間である限り逃れられない宿命。
どんな人にも悩みや苦しみがあるということ。
私も『大愚和尚の一問一答』というYouTubeのコンテンツを通して、日本全国のさまざまな方から相談を受けていますが、これは切に感じるところです。
「一生かかっても使いきれないくらいの遺産があります」
「豪邸に住んでいて、夫は上場企業の役員で、子どもは名門進学校に通っています」
そんな、誰もが羨むような暮らしをされている方々からも多くの悩みが寄せられます。「そのような生活のどこに悩みや苦しみがあるのか?」と思ってしまうかもしれませんが、驚くことにこういった相談は少なくありません。
みなさん「自分がなんのために生きているのかわからない」とおっしゃるのです。
なにを食べても、どんな服を着ても、なにも感じない苦しみ。
例えば、戦争の最中にあった約80年前の日本と比べれば、私たちは食べるものにも、着る服にも困っていません。
戦後には冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ―いわゆる三種の神器が普及し、そこから生活を便利にするための電化製品などは目覚ましく進化してきました。
少し前までは携帯電話もとても高価なものでしたが、今では小学生でも当たり前のようにスマートフォンを持っているほどです。
それこそブッダが生きていた時代から見れば、みなさんの置かれている現状は、王様クラスの生活といっても差し支えない水準といえるでしょう。
でも、「毎日を幸せに過ごしていますか?」「悩みはいっさいありませんか?」
そう聞かれると、みなさん口々に不満を語られるわけです。
さまざまなことが便利になり、生きやすい世の中になったにもかかわらず、決して人々が幸せになっているわけではない。
いつでも、どこでも、誰にでも、避けられない悩みや苦しみがあるのです。
■富や名声を得ても満たされない苦しみがある
今を生きているわれわれの価値観において、「こうなれたら幸せになれるはず」と信じられているような生活や環境を手に入れたとしても、悩みや苦しみは必ず生まれてしまいます。
富を得たり、財を成したりしたとしても、私たちの「もっと」「もっと」という欲望は延々と満たされることはないのでしょう。
テレビのニュースで、成功を収めて華やかな生活をしているような著名人の自殺が報道されるときにも「まさかあの人が?」と思わず声を上げてしまうことが少なくありません。
以前、レコード会社から依頼をいただき、プロモーションの一環として、アメリカ人シンガーソングライターのビリー・アイリッシュさんの新曲をYouTubeで紹介させていただいたことがあります。
彼女は深刻な鬱に悩まされ自殺願望を抱くほど心が弱っていたといいます。
史上最年少となる19歳でグラミー賞の最優秀レコード賞を2年連続で受賞。
華々しい経歴、世界中から注目を浴びるトップスター、人気絶頂のアーティストですら、鬱状態になってしまうほどの悩みや苦しみがあるのです。
そういった芸能人のほかにも、プロスポーツ選手や医師など、本当に誰もが憧れたり、羨んだりするような職業の方々も、私たちが見ている姿とは異なる心の葛藤を抱えながら生きているケースがたくさんあります。
「羨ましい」と思ってしまうような恵まれた境遇にある人にも、なにかしらの悩みや苦しみがあるのです。そして、悩みや苦しみが消えることがないからこそ、心のしくみを理解し、心を守る必要があるのです。
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いかがだったでしょうか?
『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』は、自己との向き合い方を深く考えさせてくれる一冊です。
人生の壁に直面した時、それを他人や環境のせいにするのではなく、自分の内側を見つめ直すことで新たな道が見えてくるかもしれません。
大愚和尚のメッセージは、読む人の心にそっと寄り添い、勇気を与えてくれます。本書を通じて、人生に立ちはだかる「壁」を超える力を、一緒に見つけてみませんか?
今回紹介した書籍はこちら
怒り、悲しみ、不安、嫉妬、後悔――。あなたを苦しめるネガティブな感情との向き合い方、上手な手放し方を身につける方法とは?長年にわたり数多くの人々の悩みや苦しみと向き合ってきた禅僧である大愚和尚が、仏教の思考法に基づき、自分の心との向き合い方、負の感情の手放し方を伝授する必読の一冊!
大愚和尚初となる恋愛攻略本も話題に
なぜ人は「愚かな恋」に振り回されるのか?その答えは、自分の命の運び方、つまりは「運命の操縦の仕方」を知らないから。叶わぬ片思いへの執着、恋人への依存、失恋への未練、パートナーの裏切りに対する嫉妬と怒り――。2600年前のブッダの教えで、人生を翻弄する愚かの恋の沼から抜け出す方法を説く新感覚の恋愛攻略本がついに誕生!
■著者情報
大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」
構成/DIME編集部