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日本でスマートウォッチによるタッチ決済はどこまで普及するのか?

2024.12.12

非接触型クレジットカード決済は、日本では「タッチ決済」と呼ばれている。

このタッチ決済の勢いが目覚ましい。全国各地の鉄道・バス事業者がこれを導入し、交通系ICカード以外のキャッシュレス決済の選択肢が増えた。しかも、これは単に「選択肢が増えて便利になった」という意味合いに留まらない。海外で広く普及しているタッチ決済対応ガジェットが、高波のように日本へ続々上陸する可能性が発生しているのだ。

海外では一般的な「スマートウォッチでタッチ決済」

クレカはスマホと紐付けして活用することができる。

筆者自身、iPhoneとクレカを紐付けた上でタッチ決済を利用しているのだが、これをすることで「財布からカードを取り出す必要がなくなる」という効果が生まれる。そして、紐付け先は何もスマホだけに限らない。スマートウォッチにクレカを登録し、日々の買い物に利用することも可能だ。

海外では、スマートウォッチを使った「Tap(タッチ決済)」が一般的だ。

かつてはAndroid Wearと呼ばれていたスマートウォッチ向けOSのWear OSは、Googleウォレット(Google Pay)にも対応する。これに普段使っているクレカを登録すれば、認識パッドにスマートウォッチをかざすことで決済ができる仕組みだ。

そうした機能を有するスマートウォッチは、既に日本にも輸入されている。筆者はMobvoiというメーカーの『TicWatch Pro 3 Ultra』と『TicWatch Pro 5』を所有している。これで筆者も日頃からタッチ決済をしている……と言いたいところだが、そう簡単に話は進まない。

なぜなら、Wear OS版Googleウォレットに対応しているクレカが、日本ではまだ少ないからだ。

金融分野の「難しさ」

筆者はTicWatchの日本代理店の社員と話をしたことがある。

この時分はWear OSに対応しているクレカが日本には皆無という状況で、それ故に代理店は「この製品でタッチ決済ができる」とアピールすることはできなかった。「TicWatchは日本では不運もしくは薄幸と言わざるを得ない製品です」というのが、これに携わっている社員の言葉である。

残念ながら、金融分野の話に製品の販売代理店が介入することはできない。

そうした状況は、ここ2年ほどで少しずつ改善されてきている。が、やはり現状においてもWear OSに対応しているクレカ・デビットカードは決して多くはない。Wear OSスマートウォッチがまだ普及していない以上、それは後回しになっているのかもしれない。

日本の金融機関というのは、一部の新興企業を除いて官公庁のような「年度区切りの計画」で動いているという点も忘れてはいけない。

その年度内に新しい動きが発生したからと言って、それに追随する計画を即座に打ち立てて年度内に実行に移す……ということは難しいのだ。事業許可に官公庁も関わっているとなると、当然ながら官公庁のペースも加味しなければならない。

実証実験の価値

だからこそ、現在全国各地で進められている鉄道・バスのタッチ決済乗車の実証実験には極めて大きな価値が含まれている。

タッチ決済の利便性が証明され、さらにそれが地域のDX化に直結するということが明るみになれば、金融機関もその流れに歩調を合わせるはずだ。もちろん、上述の理由で即座に行動を起こすということは難しいだろうが、Wear OSスマートウォッチが日本で普及し得るガジェットになる公算が立った場合は不遇を強いられてきたTicWatchにもようやく日の光が差すだろう。

いや、これはTicWatchだけの話ではない。国内外のガジェット製造メーカーが、クレカタッチ決済に特化した様々なスマートウォッチを大量に市場投入するはずだ。

激化した技術戦争

Wear OSスマートウォッチの普及。これは即ち、モバイルSuicaが新興勢力に圧倒されることを意味する。

12月9日、日本経済新聞が「JR東日本、Suicaの位置情報で改札フリー 個人間送金も」という題の記事を配信した。これによると、モバイルSuicaの位置情報を利用して自動改札機を通らなくても電車に乗れる仕組みを整備していくという。筆者がこの記事を執筆している時点で、JR東日本によるプレスリリース等はまだないが、日経新聞の記事をごく平均的な解釈で要約すれば「モバイルSuicaはタッチの動作すら必要なくなる」ということか。これにより、クレカタッチ決済が一気に陳腐化する可能性も考えられる。

こうした具合に、2024年も終わりを迎えようという頃に「クレカタッチ決済VS交通系ICカード」の技術戦争が激化してしまった。

ライターに対して「1年を総括する」という行為すら許さないほどのハイペースで、両陣営が相手の上を取るような手札を切り出している。このデッドヒートは、当然ながら2025年に入ってからも続くはずだ。次はどのようなカードが場に出るのか、筆者にもまるで予想がつかない。

一つ言えるのは、日本のキャッシュレス決済は過去最大の転換点を迎えているということだ。

【参考】
JR東日本、Suicaの位置情報で改札フリー 個人間送金も

文/澤田真一

2028年度に登場予定の「新Suica」とは?交通系ICカードの長所を活かした新しいビジネスチャンス

交通系ICカードは、もはやただの決済手段ではない。これには様々な情報が詰まっている。 この情報を生かしたビジネス成長戦略をJR東日本グループが打ち出していること...

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