「家族と仲が悪く毎日イライラしている」「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまくいかず苦しい」。
私たちの人生には、このような乗り越えるべき「壁」がたくさんあります。その中でも最も大きな障害は「自分自身」かもしれません。なぜなら、悩みや苦しみは、「他人」が生み出しているのではなく、紛れもなく「自分」から生まれているものだから。
YouTube登録者数約70万人を誇る大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏による累計5万部突破のベストセラー『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』から一部を抜粋・編集し、自分を知り、受け入れ、変えていくためのヒントを紹介します。
「あれもほしい、これもほしい」があなたの苦しみの原点
みなさんは仏教にどんな印象をお持ちでしょうか?
「南無阿弥陀仏という念仏を唱えて、お釈迦様という神様を信じる宗教ですよね?」
このように考えておられる方も、いらっしゃるでしょう。
でも、じつはまったく違います。本来の仏教は神様に祈りを捧げたり、仏にすがったりする宗教ではありません。
仏教のテーマは「心」です。
自分の内側にある思いを見つめ、誰もが抱えている悩みや苦しみを少しでも減らし、明るく生きられるように努めていくこと―これがブッダの説いた教え、すなわち仏教なのです。
仏教は、神様ありきではなく、自分ありきで成立します。そこが、ほかの宗教と大きく異なる点といえるでしょう。
人間には欲望というものがあり、これが大きくなればなるほど苦しみも大きくなっていくということに、ブッダは気づきました。
「良い学校に入って、良い会社に就職したい」
「良い条件の相手と結婚したい」
「たくさんお金を稼いで、豪邸に住んで豪華な生活をしたい」
現代でいうならば、このような欲望です。
人々は、こういった欲望が満たされると幸せになれると思っています。でも、この欲望には際限がありません。ひとつ手に入れても、「あれもほしい、これもほしい」とほかのものがほしくなり、ついつい他人と比べ、「もっともっと」ほしくなってしまうからです。そしてこの「もっと」が、苦しみを増長させるのです。
苦しみの原因を外に求めている限り、苦しみが消えることはなく、ひいては幸せにもなれない―ブッダはそのことを発見したのです。
そして、本当に幸せになりたければ、自分の内側(心)に目を向け、自分の思いを整えていくように努力する必要があると説いたのです。
つまり、「自分の心の壁」を乗り超えていくことができれば、抱えている悩みを手放し、もっとおだやかな心で生きることができるということです。
■幸せのヒントは「自分の内側」にある
この「努力」は、私たちが考えている努力とはちょっと違います。私たちは、先ほど述べたような「良い○○」を手に入れるために、人よりもたくさんお金を得て経済的に恵まれた生活をするために努力をしている、あるいは「努力をしなさい」と言われて育っている方が多いと思います。
それがすべて間違っているとはいいませんが、このように自分の外側にあるなにかに幸せを求める、それに依存していく生き方は「もっともっと」という苦しみを生むことにつながります。
そうではなく、仏教では自分の内側を整えて、「心の中にある苦しみを手放すために努力していくこと」を目指しているのです。
そしてブッダは、その方法、道しるべを示しました。
「人生は一切皆苦 。すなわち、すべては苦からスタートするので、それを受け入れるしかない。そのためには、智慧を育てて、抱えている苦しみを手放し、明るく快活に生きていこう。生きることは、苦の連続。どうせ老病死の苦悩から逃れることができないならば、現実を徹底して見つめたうえで、できる限り楽しく生きていこうじゃないか」
わかりやすくいうと、そんなメッセージを残しました。
仏教は「神様の教えに従うだけで幸せになれる」「なにかを信じれば救われる」というものではありません。「このように考え、実践すれば、悩みや苦しみを手放せる」という思考法と実践法です。
仏教が説く苦しみへの処方箋は「悪しき心やマイナスの感情(これを不善心所といいます)を捨て、善き心やプラスの感情(これを善心所といいます)を育てていく」ことにあります。
対症療法ではなく原因療法(根本療法)。全部実践することは難しくても、これを少しでも実現できれば、今よりも生きやすい世界が目の前に開けるのです。
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いかがだったでしょうか?
『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』は、自己との向き合い方を深く考えさせてくれる一冊です。
人生の壁に直面した時、それを他人や環境のせいにするのではなく、自分の内側を見つめ直すことで新たな道が見えてくるかもしれません。
大愚和尚のメッセージは、読む人の心にそっと寄り添い、勇気を与えてくれます。本書を通じて、人生に立ちはだかる「壁」を超える力を、一緒に見つけてみませんか?
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■著者情報
大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」
構成/DIME編集部