政治や芸能、スポーツなど、様々な分野の著名人に向けられる誹謗中傷。その騒ぎはもはや対岸の火事ではなく、学校や職場など個人の身近な人間関係においてもインターネットおよびSNS上で繰り返され、社会問題と化している。
そんなすぐ隣り合わせにある誹謗中傷に、人々はどのように向き合っているのか?
リサーチとプランニングを行う企業QOはこのほど、「誹謗中傷」をテーマとした調査レポートと調査を踏まえ着目した生活者の生声をまとめたソーシャルレターを発表した。なお本調査は、全国の男女18-69歳3,800人を対象に行われた。
4割弱が日常で誹謗中傷を見聞き。うち6割強は月1回以上の頻度で誹謗中傷に遭遇
インターネットやSNSでの誹謗中傷の経験を聞いたところ、被害者*1が9.7%、加害者*2が2.8%と当事者の割合は全体的には少数である一方、誹謗中傷を見聞きしたことがある第三者*3は37.6%となり、決して少なくない数の人が日常のなかで誹謗中傷を目にしている実態がわかった。
第三者が誹謗中傷を見聞きする頻度としては、1日に1回以上が17.8%、週に1回以上が23.0%、月に1回以上が23.4%となり、合わせて64.2%が月に1回以上の高い頻度で誹謗中傷を目撃している。
第三者の約7割が、誹謗中傷は「面倒くさそうなので関わりたくない」「無視するのがいい」と認識
第三者が誹謗中傷の言葉を見聞きしたときに感じたことは、「面倒くさそうなので関わりたくないと思った」が70.4%、「無視するのがいいと思った」が66.6%で上位にあがり、誹謗中傷は無視すればいい・面倒なものであるとする風潮が見えてきた。
被害者の約半数が、誹謗中傷を「受け流すことができず、しばらくの間ひきずった」と回答
被害者が誹謗中傷されたときに感じたことは、「絡まれて面倒くさく感じた」が75.9%で最も多く、被害者ですら第三者と同じように誹謗中傷を面倒くさいものと捉えている人が多いことがわかった。
一方で、「生きづらい、嫌な世の中になったと感じた」が68.4%、「受け流すことが出来ずにしばらくの間ひきずった」も49.5%と負の感情を抱く人も多く、被害者にとって無視や受け流すことが簡単ではないという事実も明らかになった。
被害者の4割弱が、誹謗中傷をされたとき「助けになったことや気持ちが救われたこと」がない
被害者に対して、誹謗中傷されたときに助けになったことや気持ちが救われたことを聞いたところ、「あてはまるものがない」とする回答が36.8%と最も多い結果となった。被害者に向けた助けや救いとなる対応が足りていない世の中の現状が見えてくる。
一方で、被害者にとって助けになったことや気持ちが救われたこととしては「自分に寄り添った言葉をかけてくれる人がいた」が21.9%、「相談できる人が身近にいた」が18.9%、「同じような経験をした人と気持ちを共有できた」が15.9%と上位となり、被害者に対する助けや救いが足りていない中でも、寄り添いの言葉や相談相手、共感できる人がいることがヒントになると考えられる。
<調査概要>
調査対象者:全国の男女18-69歳
回答者数 :3,800人
割付方法 :令和2年国勢調査の性年代の構成比に基づいて割付し、
世の中の縮図を再現
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2024年9月26日(木)~30日(月)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル
調査内容 :誹謗中傷における被害者・加害者・第三者の実態
誹謗中傷に触れた際に思ったことや感情・行動、誹謗中傷に関する意識 など
*1 被害者:「あなたご自身が、人から誹謗中傷をされたことがある」と回答した人
*2 加害者:「特定の人や団体に対して、あなたご自身が誹謗中傷をしたことがある」と回答した人
*3 第三者:「自分以外の人や団体が誹謗中傷されているのを見聞きしたことがある」と回答した人
出典:QO株式会社
構成/こじへい