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電通が最新の「欲望未来指数」から消費意欲の活発化を予測、ポジティブ・ブーストがキーワードに

2024.12.09

電通の消費者研究プロジェクトチームである「DENTSU DESIRE DESIGN」(以下「DDD」)から、消費に対する欲望の増減を予測する「欲望未来指数」の最新版が発表された。

それによれば多くの指標が前回調査(2024年5月)を大きく上回り、消費意欲活発化の兆しが伺える結果となったという。また、来年の消費者の欲望のトレンドを予測する「欲望トレンド2025」として、「ポジティブ・ブースト」を取り上げている。

本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

1.「欲望未来指数」の最新版について

(1)「心が動く消費調査」と最新結果

「欲望未来指数」の推移

消費者の消費に対する欲望の増減を予測する「欲望未来指数」は、2021年から実施している「心が動く消費調査」(※3)をもとに、物価や景気、経済状況といった外的要因ではなく、「欲しい・したい」という消費者の気持ちの増減を可視化したものだ。

現代の消費者が持つ43種の「根源的欲求」と105種の「価値観基盤」、また「これから欲しいもの・したいこと」といった消費につながる具体的な意欲をもとに算出している。

最新の「欲望未来指数」は、前回調査と比較して30.4ポイント上がり、255.4という数値になった。この数値は2023年11月水準まで回復しており、経済の停滞や物価高などを背景に欲望を抑えていた前回調査から、消費者の消費意欲が活発化していることが推察できる。

なお、2023年11月より15〜19歳を調査対象に追加したため、同年5月以前の結果は参考値となる。また、2024年3月に発表した「11の欲望」(※4)のリニューアルを踏まえ、過去の指数も改めて算出している。

※3 DDDでは、お金を払って買ったものや体験で、心が満たされたり、テンションが上がったり、感動・刺激を受けたなど、良い気分・気持ちが得られた消費を「心が動く消費」と定義。「心が動く消費」の背景に人々がどのような「欲望」を持ち、それが人々の消費行動に影響を与え、次の消費にいかにつながっていくかを定期的に調査している。
※4 2024年3月22日リリース:DENTSU DESIRE DESIGN、人間の消費行動に影響を与える「11の欲望」2024年版を発表

(2)「11の欲望」について

2024年11月調査における「欲望未来指数」と「11の欲望」

「11の欲望」の推移

「11の欲望」は、「心が動く消費調査」から得られたデータをもとに、人間の消費行動を駆り立てる感情を 「11の欲望」として可視化したもので、今回は9つの欲望が前回のスコアから増加した。

昨今の金利上昇、円安、生活コスト増などに対応しながら、消費者の消費意欲が再び高まりつつあると推察できる。

欲望別に見ると、「1.他人という鏡に映した欲望」「6.資本集中型消費欲望」「7.守りたいものがある欲望」「10.愛がなくちゃね欲望」「11.あっ、コレわたしっぽい欲望」の5つが過去最高値となった。なかでも、「1.他人という鏡に映した欲望」「6.資本集中型消費欲望」「7.守りたいものがある欲望」は前回調査から20ポイント前後増加している。

他者からの見られ方を気にする意識や、他者や社会に対する貢献意欲が高まる一方で、自分の好きなもの・ことに対して集中的にお金を使いたいという欲望も上昇傾向にあり、外向き・内向きの両方向で欲望が高まっている様子が想定できる結果となり、消費意欲の活発化が来年以降に期待される。

2.「欲望トレンド2025」について

欲望トレンドは、DDDが提唱する11の欲望をもとに、最近の社会現象を欲望の観点から分析し、今後の日本社会における欲望が複数のトレンドに集約していくと予測したものだ。

さまざまなヒット商品や流行現象などと、DDDの独自知見やコンテンツ分析を掛け合わせ、消費者の内面にある満たされた気持ちや思考を抽象化することで、来年以降にトレンドとなりそうな欲望の萌芽をキーワードとして抽出。

2025年のメイントレンドになり得るキーワードとして「ポジティブ・ブースト」を取り上げた。

(1)ポジティブ・ブーストの概要

・物価高や経済停滞といったネガティブな情勢に影響される日常において、圧倒的に明るく・優しく・楽しいモノゴトや、それらを連想させるような自分にも世界にもポジティブなものを選びたいという消費者心理。
・目の前の消費においては、明るく前向きな気持ちでいたい、そういった気分にさせてくれるものに人々が引き寄せられる傾向がトレンドとして芽生えてきた。

(2)具体的な事象としての4要素

・圧倒的成績や偉業を達成するアスリートや文化人に関連するアイテムで、ご利益にあやかりたい。
・商品そのものも、商品名も、優しさのフィルターバブルで包み込んだようなものに惹かれる。
・自身の生活スタイルにも「仲間がいる」安心感として「界隈」が心理的安全性を担保してくれる。
・自分の劣等感を吹き飛ばしてくれる”自己肯定感”を爆発的に上げるコンテンツが人気に。

(3)「11の欲望」視点での考察

新型コロナウイルスの影響が大きかった2023年までは「2.無理のない自由への欲望」や「3.心身平常運転の欲望」に代表されるような「波風や浮き沈みの少ない、いつもと変わらない平穏」を求める欲望が上昇傾向ではあったが、今回その2つの欲望は前回調査から引き続き、低調の傾向にある。

一方で、「1.他人という鏡に映した欲望」「6.資本集中型消費欲望」「7.守りたいものがある欲望」といった外向き・内向きの両方向で欲望が高まっているという結果から、生活の中で自身を明るい気分や前向きにしてくれるものを手に入れる消費行動により、ポジティブな暮らしを人々が望んでいる様子が見えてくる。

第9回「心が動く消費調査」概要
対象エリア/日本全国
対象者条件/15~74歳
サンプル数/計3000サンプル(15~19歳、20代~60代、70~74歳の人口構成比に応じて割り付け)
調査手法/インターネット調査
調査時期/2024年11月8日(金)~ 11月13日(水)
調査主体/株式会社電通 DENTSU DESIRE DESIGN
調査機関/株式会社電通マクロミルインサイト

関連情報
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/1204-010815.html

構成/清水眞希

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