2.パパのオンラインコミュニティ
2020年6月に設立した育児に取り組むパパが集まる「パパ育コミュ」というオンラインコミュニティは、仕事や育児に忙しいパパ達が時間も場所も選ばずに交流できるのが特徴だ。2024年10月時点で、のべ1,000名ほどが参加中という。
代表のシカゴリラ氏によると、現在の活動には3つの柱があるそうだ。
「一つ目は、育児に積極的に励むパパが仲間と交流できるような場所を提供すること。オープンチャット『パパ育チャット』を活用して、オンラインで気軽に情報交換や交流ができる仕組みを作っています。Zoomを利用した交流会の定期開催も。
二つ目は、パパたちがお互いに知識を身に着けるオフラインの場を提供すること。共通の興味・関心を持つ人たちの『サークル活動』や、講師の方等をお招きしてイベントを開催する『パパ育カレッジ』があります。
三つ目は、さまざまな活動を通じてコミュニティ内に蓄積されていく想いを社会に向けて発信する『Social Action』。書籍出版や自治体の講演会の登壇などを行っています」
●立ち上げ経緯
パパ育コミュは、どのような経緯で立ち上げに至ったのか。
「私自身、2019年10月から1年間の長期の育休を取得した際に、家にこもって家事や育児を頑張ろうとするがあまり、心がすり減りうつうつとした気持ちを感じていました。加えて、子どもが少しずつ外に出られるようになってから児童館や公園に行ってもパパはなかなかおらず、同じ境遇のパパ仲間と気軽につながれる場所があったらいいと切に感じたのがきっかけです」
●パパの孤立に関する課題
シカゴリラ氏が感じた思いは、日本の各地域のパパたちも同様に持っている可能性がある。パパの孤立問題について、どのようにとらえているか。
「育休取得率が上昇する中で、育休経験のあるパパは増えてきていますが、まだまだ半年や1年といった期間で育休を取得するパパはマイノリティです。
加えて、首都圏に本社をおく大企業では育休取得率こそ上昇していますが、一方で、首都圏から離れたり、また、規模が小さくなるにつれて、周囲の理解を得ることはむずかしくなる印象があり、コミュニティのメンバーからもハラスメントを受けたという声を未だに頻繁に聞きます。
一人で悩んでいると気持ちが疲れてしまったときには、同じような境遇の仲間と共に、自分らしさを追及することが大切だと考えています。そうした孤立しがちな育児に励む日本全国のパパの受け皿として、気軽に参加できる無料のオンラインコミュニティでありたいです」
●今後の展望
今後、コミュニティはどのように発展していくのか。
「設立当初から掲げる『パパ達がパパっと集えるパパコミュニティ』というベースは大切にしながらも、時代の変化と共にコミュニティのあり方も検討する必要性を感じています。孤立だけでなく、復職後の仕事と育児の両立などまだまだ社会的な課題として認識が少ない印象があり、そのような声を社会に届けていくことが果たすべき役割の一つ。さらに、地域や社会を巻き込み、パパだけでなく、年齢や性別によらず誰もがイキイキと育児に携われるような社会に役立てれば良いと考えています」
パパという特性上、オンラインの集まりは最適な場所。そこからオフラインに広げていくやり方は、正攻法に見えてきた。今後、自信をつけたパパが地域に多く姿を現す日を心待ちにしたい。
産後ケア施設にパパのオンラインコミュニティと、どちらも孤立しがちな子育てにとって安心できる場所。このような場所が今後も日本に増えていくと期待したい。
【調査出典】
PIAZZA「孤育てに関するアンケート調査」
取材・文/石原亜香利
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