
「話題の新製品を試してみたい」「ストレス発散したい」という気持ちから、日頃ついつい浪費してしまったりしませんか?
そのお金の使い方、もしかしたら「浪費メンタル」になっているかもしれません。
浪費習慣を卒業して「貯金メンタル」を身につけることができれば、人生の満足度が上がるお金の付き合い方に変えることができます。
今回は、節約・投資系YouTuberの節約オタクふゆこ氏による著書『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』から一部を抜粋・編集し、初心者でも無理なく続けられる貯金・節約・資産づくりのヒントを紹介します。
米国ETFでFIREが身近になった
はずかしながら、わたしは株式投資について自分でちゃんと勉強するまで、ちんぷんかんぷんでほとんど知識がありませんでした。
浪費をしていた頃にも、周囲がやっているからという理由で「つみたてNISA」だけははじめていましたが、仕事が忙しくてお金の勉強もできておらず、自分がどんな株式を買ったのかもよくわかっていなかったのです。
転職を機に、節約や投資の勉強を開始して、まず「SPYD」というアメリカの高配当株ETFを3200円(当時の1株あたりの価格)で10株ほど買いました。
「インデックス投資」という言葉も、「SPYD」の特徴や強みも、最初はよくわかっていませんでした。しかし、実際に買ってみたことをきっかけに、徐々に理解していったのです。
ここでは詳細な説明は省きますが、「ETF」とは、簡単にいえば投資信託の一種です。投資信託とは、わたしたちが投資したお金を証券会社のファンドマネージャーが運用し、成果を投資家に分配してくれる金融商品です。
ETFとは、取引所に上場している投資信託のことです。ETFには、例えば「日経平均株価」や「TOPIX」などの株価指数の動きに連動して成果を目指すインデックス型と、連動対象指数のないアクティブ型の2種類があります。
日経平均株価に連動するETFなら、株価が上がればETFの価値も上がり、売却すれば利益になります。逆に株価が下がればETFの価値も下がり、売却すれば損失が生じることもあるわけです。
わたしが買った「SPYD」は、日本ではなくアメリカのETFです。アメリカの時価総額が高い上場企業500社(S&P500)のなかから、高配当企業に選定された企業を対象に投資が行われます。
できるだけ簡単に説明しましたが、このような話が苦手な人にとっては、難しい内容だと感じるかもしれません。わたしも勉強をはじめたばかりの頃は、商品に関する説明を読んでも「?」ばかりでした。本書は、投資に関する専門書ではないので、詳しく知りたい場合は、解説本やYouTubeなどで少しずつ学んでいくことをおすすめします。
■はじめての配当金620円がやる気に火をつけた
さて、話を戻します。なぜETFのような投資信託を買ったかというと、当時のわたしのような投資素人が、個別銘柄株(企業単体の株)を買うことは、ギャンブルに近いものだったからです。投資や個別企業に関する知識もないのに、「儲かる・儲からない」を見極められるわけがありませんよね。
でも、投資信託はプロの専門家であるファンドマネージャーが運用してくれる金融商品です。自分よりもはるかに勝率の高いプロに資金を預け運用してもらうことで、安定した利益を得られる仕組みなのです。
投資初心者のわたしにとっては、「個別銘柄株を買うよりよっぽど安定した買い物だろう」と考えてSPYDを購入しました。
翌年、SPYDは5.7ドル(日本円で620円)の配当金を生み出しました。たったの600円少々ですが、とても感動したのを覚えています。わたし自身はなにもしておらず労働ゼロなのに、お金が入ってきたのです。
事前に学んだことで配当金をもらえることは理解していましたが、ただ知識として知っているのと実体験するのとではまったく意味が異なります。
この配当金により一気にモチベーションが上がり、2020年の3月から8月にかけて、10万円ずつ10回くらいの頻度で高配当株ETFを中心に買い進めました。個別銘柄株(企業単体の株)は100株単位で購入するため投資額が高額になりがちですが、ETFは1株単位で買える点がメリットです。
〈2020年3月~8月に買ったETFの例〉
● SPYD(米国高配当株ETF)
● VYM(米国高配当株ETF)
● HDV(米国高配当株ETF)
「SPYD」「VYM」「HDV」は、それぞれアメリカの株式投資におけるETFの商品名です。いずれも4%前後の高配当を目指す、少しアグレッシブなETFといっていいでしょう。
その結果、2020年にもらった配当金の総額は、268ドル(2万9206円)にもなりました。まとまった金額が入ってきたことで、あらためて投資のすごさを実感しました。
配当利回りは、だいたい4%前後なので、このまま年間300万円を貯金する節約生活を続けながら資金を投資に回し、配当金もさらに投資に回していけば……たったの15年程度で投資額は約5000万円にもなる計算です!
5000万円に対して想定される年間配当額は、配当利回り4%で計算すると約200万円。つまり、毎月16万円程度の不労収入を手にすることができます。
「えっ! 簡単にFIREできちゃうじゃん! もう働かなくていいじゃん!」
想像していた以上に、夢のFIREは身近なものだったのです。
ただし、高配当を目指すETFには、当然、リスキーな側面も存在します。
例えば、SPYDはアメリカ企業の配当利回りが高い企業80社に投資をするETFですが、その80社の配当金が下がれば、予定していた配当利回りは得られませんし、株価が暴落して資産が一気に激減することも考えられます。
そこで、実際には投資の中心をETFではなく、より合理性が高いといわれているインデックスファンドを中心に組み立てていくことにしました。ここでも4%の利回りを期待できる商品を選べば、5000万円の投資に対して16万円の月収が期待できます。
ただし、インデックス投資は株価の上昇による差益で利益を得るので、下落局面では元本割れをしながら切り崩すことになり、心理的には苦痛が生じます。一方、高配当株投資は株価の差益ではなく、配当金が振り込まれることが特徴です。合理性の高いインデックス投資と心理面をカバーする高配当株投資を組み合わせることで、世界経済発展の恩恵を享受しつつ、キャッシュフローを安定させることができます。
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『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』
著者:節約オタクふゆこ
発行:アスコム
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節約オタクふゆこ
1993 年2 月14日生まれ、自らを「節約オタク」と称する節約・投資系YouTuber。理系の大学院修了後に開発職として電子系メーカーに就職したものの、将来のお金に対する不安を拭えなかったことがきっかけでお金について学ぶ。その後、奨学金477 万円を返済しながら1カ月10 万円で生活し、年間300 万円を貯金、20 代で資産1000 万円を達成。現在は脱サラしてフリーランス。2021 年から運営しているYouTube チャンネル「節約オタクふゆこ」は日常的な節約法のほか、投資についての動画も初心者向けに配信して人気を集め、チャンネル登録者数は58万人を超える(2024 年12月時点)。
構成/DIME編集部