人気声優の参加やイベントでさらにブレーク
ストリーマー同士の口コミや友人同士の紹介で参加者が増えることで、配信の視聴者も増えていった。特にファン拡大に影響があったのが著名人の参加とイベントによる認知度アップ。声優の中村悠一さんやダイアンの津田さんといった著名人も続々と参加している。2023年7月にはゲーミングコミュニティ「VAULTROOM」とプロゲーミングチーム「CrazyRaccoon」が主催したストリーマー向けの『GTA』を使ったイベント『VCRGTA』に協力。そこで「GTAロールプレイ」という文化があることがストリーマーやゲームファンにも認知が一気に広がった。
「ここまで大きく成功するとは思っていませんでしたが、日本人は演劇を見たり子供の頃にままごとをやったり、リアリティショーを見るのが好きだったり、ドラマを見るのが好きな人が非常に多いのはわかっていました。 新たなゲーム配信のジャンルとして、このコンテンツを好きになってくれる人は、たくさんいるはずだと思っていました」
インタラクティブな配信コミュニティサイトの『Twitch』は、ゲームジャンルに強く、『ストグラ』に参加しているストリーマーも多いので、『ストグラ』を楽しむためには活用したい。
リアル世界とのコラボで深化する『ストグラ』
当初、ふたりでスタートした『ストグラ』もプログラマーやスタッフなど19名が運営に参加している。ゲームの運営会社も設立して、ビジネス面でも成功している。
「最初は有志だけの報酬なしで運営していましたが、大きくなった『ストグラ』を続けるためには、報酬を支払うために収益をプールしてスタッフに再分配するために会社という組織が必要だと感じて会社化しました。マネタイズとして主な収益は3つあります。1つはコピーサーバーの運営です。いまの『ストグラ』は厳密な審査を通過した人しか入れませんが、コピーサーバーを用意して『ストグラFor Viewers』として運営しており、『ストグラ』を遊びたいと思ったファンが参加費を払えば1400人ぐらいがプレーできるようになっています。2つめは『ストグラ』の限定コンテンツを上げるFANBOX運営。『ストグラ』内で大きなドラマが起こった時に、そこに関わった配信者に当時の気持ちなどをインタビューして会員限定で記事にしてアップしています。そのドラマが面白いと思った人は、その記事が読みたいと思ってFANBOXに入ってくれます。これは週1回の更新のサブスクリプションとして月額課金で、コースは500円から1万円まであります。そして3つめが案件です。明治製菓とローソンとのコラボでは、『ストグラ』を使用してその協力費が収益になりました。さらに中野区の飲食店や商店街にも協力していただき、ゲームの中の食事を再現するコラボを展開中です。配信を観ている人がゲーム内の食事を観た時にあんな味だったなと思えればシンクロ率も上がるはずです。ストリーマーがキャラクターの食べていた食事は、こんな味だったのかと感じるとむちゃくちゃ面白いと思いませんか? 配信を観ている人が本当にあるんじゃないかと錯覚するぐらいまでいけるといいですね」
■「ローソン、明治製菓、『ストグラ』キャンペーン」
今年8月28日から9月30日まで開催されたローソンとのコラボキャンペーン。明治製菓の対象商品を購入すれば、『ストグラ』キャラクターのイラスト入りオリジナルクリアファイルがもらえた。明治製菓からは『ストグラ』のマグネットシート入りのチョコレートも発売された。
■「ストグラ2周年記念街歩きin NAKANO」
今年10月11日から12月22日まで開催されているキャンペーン。中野の街を使った「謎解きラリー」や「デジタルスタンプラリー」などを開催。飲食店とのコラボでは、ゲーム中に登場する食事を再現したメニューを食べることができる。イベント限定のオリジナルグッズも発売中。
最後に発売が決定したシリーズ最新作『GTAⅥ』についてもしょぼすけ氏がコメントしてくれた。
「先日『ストグラ』が2周年を迎えた時、ロックスターゲームスが公式サイトでお祝いをしてくれました。改造用ツールの『FIVE M』が正式に買収されてロックスターゲームスのチームに入っていることを考えると、『GTAⅥ』でも同じような展開ができるのではないかと考えています。『GTAⅤ』は10年前のゲームなので、それと比較してできることが増えるだろうし、『ストグラ』でもより濃密なロールプレイやリアルな世界観でゲームができるかもしれないので楽しみです」
まだまだ『ストグラ』の進化は続きそうだ。
しょぼすけ氏プロフィール
『Twitch』ストリーマー。 ストグラム運営代表。株式会社GANMA代表取締役。15歳から『ニコニコ動画』などでゲーム配信などをしていたが、2013年にライブ配信サービス『Twitch』の日本上陸に合わせて配信を開始。当時は日本人配信者が数人しかいなかったという。人気ゲーム『PUBG』で世界初の大会を主催し、『マインクラフト』のゲーム配信などで人気を集める。現在は『ストグラ』を運営するために設立したGANMAの代表取締役や『ストグラ』内の山下ひろし市長として活動。「ゲームがプロ級にうまいわけでもなく、ユーチューバーでもないので、基本のスタンスはストリーマーです」
取材・文/久村竜二