2025年の傾向は料理と共にコミュニケーションも楽しむ方向へ
クックパッドで検索頻度が上昇しているキーワード1000件を精査して、来年のトレンドを探る「食トレンド予測2025」。コロナが明けて出社が増え、共働き家庭が増加。平日は忙しいのでシンプルに料理を済ませ、休日にまとめて買い物と料理をして、食を通じて身近な人とのコミュニケーション楽しむライフスタイルが上昇キーワードから浮かびあがった。
「料理を『辛い、大変なもの』ではなく、ポジティブに捉えて楽しんでいる『あたらしい家庭料理スタイル』が見えてきました。
『冷凍サバ』『ジャパニーズハーブ』といった日本古来の野菜や魚食文化を、健康的かつ合理的なスタイルで忙しい日々に上手に利用しています。一方でタコスパーティー、栗しごとなど、料理とそこから生まれるコミュニケーションを、休日に仲間や家族と楽しむ傾向もみえています。2025年のトレンドは2024年につづき健康志向、そしてコミュニケーションが生まれる料理となりそうです」
〇トルティーヤ
来年のトレンドになりそうな注目の料理が中南米の料理を「メキシコめし」。とうもろこしの粉から作るトルティーヤは、昨年ブームとなったライスペーパー同様に、巻く、挟む、包むが可能なアレンジ範囲の広さが人気の理由。
クックパッドには「タコス」「ブリトー」などの定番用途だけでなく、トマトソースやマヨネーズなどを塗り、好きな具材を載せてオーブンや魚焼きグリルで焼いたピザ用途や、生クリームやフルーツを巻いて楽しむクレープ用途などさまざまなレシピが投稿されている。
〇栗しごと
「栗」の検索頻度は昨対比105.2%で、周辺キーワードの「栗のむき方」492.7%、「栗のゆで方」219.1% も伸びている。自宅時間が多くなったコロナ禍に、家庭で梅シロップや梅干しを作る「梅しごと」が流行しその後定番化したが、栗カッターなど、硬い皮に手こずる栗調理の負担を軽減してくれるグッズも増えて、今秋は「栗しごと」を楽しむ人が増加傾向にある。
全国の栗の生産地で厳選された洋菓子「モンブラン」を持ち寄り、日本一を決めるイベントも茨城県笠間市、長野県小布施町、静岡県掛川市、岐阜県恵那市、京都府京丹波町、高知県四万十町、熊本県山鹿市の7産地の連携により開催。生産地同士が力を合わせて栗業界を盛り上げていく「産地間連携」も注目されている。
【AJの読み】来年のトレンドには「栗」が来る!?
食トレンド大賞選出の根拠のひとつが、クックパッドの検索・アクセスログデータを活用した、B2B向けのビッグデータサービス「たべみる」。例えば、1月4日から「カレー」や「リメイク」の検索が増え、おせち料理は3日間で飽きてしまう傾向が「たべみる」のデータからも裏付けされている。
秋以降に検索数が爆上がりしているのが「だし」。手軽にできる粉末だしを使っていた人たちが、この数年に浸透してきた袋入り高級だしへシフト。だしを前面に出した専門店も登場し、だしそのものに対する関心度も上がってきている。
だしと共に急上昇しているのが、家庭料理の定番「煮物」。今秋は葉もの野菜の価格が高くなっており、価格が安定しているれんこんや里芋といった根もの野菜が注目されて、煮物のレシピ検索が増えているのかもしれないという。
来年のトレンド予測に上がった「栗しごと」だが、筆者も栗好きで10月に茨城県笠間市で開催されたイベント「かさま栗まつり」に参加。イベントでは焼き栗やモンブランなど栗づくしだったが、イベント会場近くにある「道の駅かさま」も大盛況で、生栗を買い求める人が非常に多かった。
「サツマイモやトウモロコシがブームとなった背景には、健康志向や自然素材への関心もありますが、生産者や行政、販売所など関わるみなさんで盛り上げようと機運が高まって努力されていることもあると思います。昨年のトウモロコシブームでは、品種改良が進んで甘いものが増えたことによって、群馬県の『とうもろこし街道』のような観光名所化するような産地も現れました。
同じように、次は栗が来るのではと考えています。近距離レジャーが注目される今、日本各所で栗に関するイベントが開催され、道の駅や直売所でも多くの人を集めています。私も『かさま栗まつり』に行き、盛況ぶりを実感しました。
栗は和菓子や洋菓子に幅広く活用できスイーツ市場でも人気を集めており、料理の幅がとても広い食材なので、ひょっとしたらトウモロコシより伸びるのが大きいかもしれないですね」
取材・文/阿部純子