2024年のマネー界隈は、新NISAの開始や日経平均の最高値更新に沸き、それにあやかるべく投資を始める人が急増した。どんな商品やサービスが注目を集めたのか。2人の金融のプロが解説する。
解説するのは……
ニッセイ基礎研究所 井出 真吾さん
2015年より同社チーフ株式ストラテジスト。株式市場や資産形成のプロとしてテレビ等のメディアに多数出演。
株式会社finoject 三根 公博さん
元bitFlyer社長。大手銀行、ネット証券の経営企画部門などでの勤務経験を持ち、金融商品への造詣が深い。
数年にサイクルで訪れるヒット商品誕生の当たり年だった
マネー関連サービスは、生活基盤的な使われ方をすることが多い。つまり、気に入ったものを長く使う人が多いため、ヒット商品が少ない傾向だ。例えば給料受け取り口座を毎月乗り換える人がいないのが良い例だ。
だが、数年ごとにヒットは出る。例えば2014年頃には数々の家計簿アプリが注目を浴びたし、2017年頃の仮想通貨投資ブームにより「コインチェック」などの取引所が活況を呈した。
では、2024年はどうか。
「外的要因、とりわけ物価上昇(インフレ)の影響で新NISAが注目されました。これまでは物価下落(デフレ)状態だった日本でしたが、物価上昇(インフレ)で預金が目減りし始め資産を守ろうとした人が増えた構図です」(ニッセイ基礎研究所・井出真吾さん)
また、「金融機関は、新NISAを〝火付け役〟にしクレカ投資の拡充、初心者向け投資アプリ開発などで、口座数や投資額が伸びました」(finoject・三根公博さん)。
30代の未経験者を中心に210万口座増
インフレに危機感を持つ人の投資の入り口に新NISAがマッチ
制度開始前から金融機関は新NISAを精力的にPRしたが、井出さんは「投資家のインフレへの備えがヒット要因だ」と分析。実際にどれだけヒットしたかデータで見てみよう。
2つの総枠1800万円中に、年間投資可能額がある。「これら2枠を一方は自分の老後資産、一方を子どもの教育資金といったように目的ごとに使い分けも可能です」(井出さん)
2024年は2023年比約3倍増(6月基準)で、総人口の5人に1人がNISA口座を持つ形に。これに比例するように投資金額も伸び、実際に資産形成を目指す人が急増した。
ジュニアNISAが廃止され18歳以上が口座開設対象となり、10代が伸びた。それ以外だと20代・50代の口座数増が目立つ。
相場の急落局面でも「投資を始めたときの初心を忘れるべからず」が大事
2024年8月に起きた暴落幅はブラックマンデー超えだったが…
8月に起きた2回の日経平均株価急落幅だけをみると経済危機級だが10月現在では持ち直している。