爆発的な流行を見せる『BeReal』をはじめ、群雄割拠の新興スマホアプリたちは、すべて若い世代からブームが起こっている。その背景にある若者心理を専門家が解説!
教えてくれたのは……
ニッセイ基礎研究所 廣瀬 涼さん
”オタクの消費”を主な研究テーマとし、10年以上消費欲求の源泉を研究してきた。その経験を活かし、現在は若者の消費行動を中心とした現代消費文化論を専門とする。著書に『タイパの経済学(幻冬舎新書)』。
BeRealとmixiの意外な共通点とは
若者界隈を席巻しているSNS『BeReal』は、かつて流行したmixiと似ているとニッセイ基礎研究所の廣瀬涼さんは解説する。
「招待制による閉鎖型の繋がりの中で自己開示し、親密性を深めるmixiとBeRealは〝内向き〟のSNSとして共通する性質を持っています。後にTwitter(現・X)のような高い匿名性で新たな繋がりを作る〝外向き〟のSNSが誕生し、新鮮味を感じたユーザーが流れていきました」
そして現代になり、若者を中心にSNS疲れを感じるようになる。
「結果、BeRealやwhooなどの内向きの交流アプリが再び求められるようになりました」(廣瀬さん)
次なるSNSの舞台として、廣瀬さんはメタバースを挙げる。
「新たな外向きの交流ツールとして、技術革新も相まってようやく時代が来るのでは」
内と外という2つの向きを交互に繰り返しつつも、SNSは今後も人と人を繋げる存在として残り続けるだろう。
ゆるい身内感を満たすSNSアプリの風雲児
ユーザーの97%がZ世代!毎日320万人が使う盛らないSNS『BeReal』
BeReal利用者の97%がZ世代だという。「決まった時間に投稿しないと他人の投稿も閲覧できない。そこまでして自己開示できる間柄だと相手に示せるし、自分もその輪に入れてもらえるという〝身内感〟を演出できるのが人気の要因です」(廣瀬さん)
BeRealとは
1日1回、ランダムな時間に通知が届く。通知後2分以内に、自分と周囲の写真を撮って投稿する。写真の修正はできないため、加工のないありのままの姿が投稿される。写真を投稿すれば、他のユーザーの投稿も閲覧できるようになる。
企業もBeRealに熱視線!公式アカウント続々開設
若い世代を取り込むため、企業もBeRealアカウントを続々開設している。「機能がさらに拡充すれば、企業の存在感はグッと増すでしょう。これからに期待ですね」(廣瀬さん)
公式アカウントの投稿を継続的に閲覧したりリアクションしたりすると「RealFan」のステータスを獲得できることがある。RealFanになると、コメントの投稿や、舞台裏映像といった限定投稿の閲覧が可能になる。
Z世代の身内同士で所属意識を醸成
累計1500万DLの『whoo』が位置情報共有アプリの覇権を新たに握る
主に身内同士で使い、互いの位置情報を共有することで、所属意識の醸成に役立てている。「バイト仲間やカップルなど、日常的に会う関係での使用が特に多いです」(whoo担当者)
離れた友達にスタンプで意思表示を送ることができる。サンリオやアプリ『モンスターストライク』とコラボしたスタンプも登場している。
リアル・SNS疲れにそっと寄り添ってくれる
見知らぬ誰かやAIが相談に乗ってくれるやさしいSNS
『GRAVITY』が650万DLを突破!
匿名性が高く、見知らぬ人と交流するのに特化しているのが特徴だ。「リアルや既存SNSの繋がりではない人たちと、気楽に交流したい層に好まれています」(GRAVITY担当者)
ランダムで見知らぬ誰かからのメッセージが飛んでくる「星と交信」機能や、性格の合う人とマッチングできる「心友ノック」機能が特徴的だ。
タイパ・本物志向の取り込みに成功!
視聴者は昨年比1000%以上!
ショートドラマアプリ『BUMP』は切り抜き動画で急成長
1話数分のタイパ重視な短時間ドラマアプリは、ショート動画からの流入が多い。「個人制作動画の中に紛れる、本格的なドラマ映像の切り抜きが導線となっています」(廣瀬さん)
Instagramのリール動画にドラマの切り抜き動画を投稿したものが話題を集めた。各ドラマは1話3分程度で、テンポよく話が進む。
どの界隈とも相性抜群なコミュニケーションツール
Z世代の認知率5割超え!※
ゲーマー界隈の定番ツール『Discord』が一般層にも浸透中
※サイバーエージェント「2023年Z世代SNS利用率調査」
元はゲーム用の交流アプリだったが、幅広い用途で活用され始めている。「企業やタレント、アーティストがファンとの交流目的でサーバーを運用しています」(Discord担当者)
複数のチャンネルをサーバー内に作成可能だ。話題ごとに分けて会話したい際に便利。ボイスチャット専用のチャンネルも同様に作成できる。
取材・文/桑元康平=すいのこ ラスト/山本さわ
超保存版!DIME1月号は「2024年ヒット商品総まとめ」、今年のトレンドがまるわかり!!
DIME1月号は、今年話題を呼んだヒット商品の大特集!物価高や趣味嗜好の多様化により、大ヒット商品が生まれにくい時代の中、編集部独自の視点で市場をにぎわせた商品やコンテンツを大調査! すると、好きなもの、関心事が集まる「界隈」から多くのヒットが生まれたことが見えてきた。これを読めば業種や世代を問わず、今年のトレンドやヒット商品を網羅できること間違いなし。保存版の一冊です!
■DIME SPECIAL 1
マスから多様化へ、消費者の心をつかんだ「界隈消費」を徹底取材!
2024年ヒットの新法則
今年売れた全141アイテムを総まとめ! 多様化の時代にまったく知らなかった意外なヒットやトレンドの源泉となっている「界隈消費」の深層を探り、来年に向けた新たな「ヒットの新法則」を解き明かします!また、売上高2兆円を誇るドンキのPBリブランディングの舞台裏や、グラングリーン大阪、町田ゼルビアなど圧倒的集客を生んだ仕掛け人のほか、『はいよろこんで』で総再生回数100億越え、こっちのけんとさんや今年CM12本と大ブレイクした永尾柚乃ちゃんのインタビューも!
■DIME SPECIAL 2
95兆円規模の急成長産業に商社・通信キャリア・損保など国内大手企業も参入!世界に挑む!日本企業の宇宙ビジネス革命
国内の宇宙機器産業は2020年時点で約4兆円規模であり、2030年代の早期には約8兆円まで倍増すると見られている。その傾向は世界的にも顕著で、約95兆円(2023年)から約270兆円(2035年)まで、世界の宇宙経済規模は拡大する模様だ。本特集では三菱商事、三井物産、伊藤忠、丸紅、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天、三井住友海上、損保ジャパンなど国内大手企業の宇宙戦略を徹底取材! 成長著しい宇宙ビジネス戦略に迫る!
■注目俳優、経営者のスペシャルインタビューも!
・俳優 犬飼貴丈
「野望も信念も必要ない。ラフで気張らない働き方のススメ」
・株式会社NTTドコモ代表取締役社長 前田 義晃
さらなる価値提供を目指す
ドコモ流のパートナーシップ構築術
・湖池屋 代表取締役社長 佐藤 章
「働いてみたい注目成長企業」No.1に押し上げた思考法
■トレンドウォッチング
・スポーツ〝以外〟も楽しめる!エンタメ天国化するアリーナ&スタジアム最新事情
・ディスプレイの「下半分だけゲーム」が急増中のワケ
・東北応援キャラのずんだもんが動画配信で無双中!!