「トントントンツーツートントントン」「ギリギリダンス」といった歌詞と、一度聞くと耳に残る音楽が、ショート動画を中心に爆発的な広がりを見せた『はいよろこんで』。この楽曲はどのようにして生まれ、広がっていったのだろうか。紅白出場で話題のこっちのけんとさんに直撃。
アーティスト こっちのけんとさん
楽曲や映像、デザインなどの制作を幅広く手掛ける。大学時代にアカペラサークルで音楽活動を始め、2022年に初の配信シングルをリリースした。キャッチコピーは〝緑のマルチアーチスト〟。
偶然流れてきた曲だからこそ多くの人が共感してくれた
ポップな曲調の中にある切実なSOSが共感を集め、YouTubeのコメント欄は、歌詞を自分ごととして捉えた人の想いで溢れている。いったいどのような思いが込められているのか。
「〝他人にわかってもらえないもやもや感〟と向き合ったのがきっかけです。僕は躁うつ病になり自死を考えた過去があります。そんなとき周りは『生きているだけでいいよ』と言ってくれた。でも時間が経つとそのうち『そろそろ何かしてみない……?』という言葉に変わるんです(苦笑)。僕としては、病気と闘っていたので何もしていないつもりはない。さて、どうしたらいいんだろう……と」
この思いをテーマに歌詞を作り、トラックメイカーのGRP氏らと共に楽曲の形に仕上げた。
「自分が作っていて楽しいものを作りました。僕にとって曲作りは自分の表現したいことを吐き出す、ある種のストレス発散方法です」
自分が〝やりたい〟〝面白い〟と思い作ったものがヒットした形だが、多くの人の心に刺さった理由をこう推察する。
「伝えたかったこと、やりたかった発信の仕方が、精神面・技術面共に今の時代に合っていたのかなと。
特に、みなさんの目に偶然入るTikTokなどのメディアは、この曲のテーマと相性が良かったように思います。僕自身悩んでいる時に、自分から〝病気を治そう〟みたいな本を読むエネルギーはなく、たまたま目に入った情報から自身を少し回復させていた。偶然流れてきて、自分で発見した気持ちになれるのって大事なのかなと思います」
大ヒットによる今後への期待をどう受け止めているのか。
「『はいよろこんで』がヒットしてくれたおかげで、次の〝偶然の産物〟ができるまでの余裕ができました(笑)。焦らず、自由に作品を作っていきたいと思います」
SNSで大ヒット!「2種類の振り付け」とレトロ風PVはなぜ生まれた?
「ダンスは上半身と全身の両方を作りたかった。〝わかりやすさ〟を特に意識しました。MVを模索していく中でかねひさ和哉さんのイラストで曲が流れる映像がパッと浮かび、それ以外考えられなくなりました」(こっちのけんと)
取材・文/田村菜津季 撮影/須田卓馬
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