原材料費の高騰で、様々な商品の値上げが相次いでいるが、2025年の「おせち料理」の相場はどうなっているのだろうか。
帝国データバンクは、2025年の「おせち料理」価格について、調査分析を行ったので、結果をお伝えしよう。
2025年正月のおせち、平均2万7826円!値上げ幅は過去3シーズンで最小、価格据え置きが目立つ
全国の大手コンビニエンスストアや百貨店、スーパー、著名な日本料理店など計110社で販売されるおせち料理(三段重または3~4人前分)の価格を調査した結果、2025年正月の平均価格は2万7826円(税込)だった。
1年前(24年正月)の2万7466円に比べて360円、率にして1.3%の値上げとなり、千円以上の値上げが続いた24年正月から一転して、値上げ幅は過去3シーズンで最小となった。
前年から価格が上昇したおせち料理を値上げ幅別にみると、6割超のおせちが「価格据え置き・値下げ」となり、過去3シーズンで最多。大手量販店などでは、売れ筋となる主力商品で昨シーズンから値下げしたおせちがみられる。
値上げを行った36社のおせちでも、値上げ幅が「1000円台」だったおせちは8社にとどまり、24年正月の33社から4分の1に減少していた。
「1000円未満」(6社)と合わせて、値上げ幅が1000円台以下のおせちが値上げ全体の約4割を占めている。
また、百貨店やホテル、飲食大手などが展開する2万~3万円台のおせち料理に加え、24年正月では値上げの多かった4万円台のおせちでも、価格を前年から据え置く傾向が目立つ。
ネット通販を展開するおせちでは早期予約特典として送料無料をアピールするケースもあり、長期化する物価高の中で消費者の節約志向を意識した「コストパフォーマンス(費用対効果)志向」の値付け傾向がおせち全体に広がった。
一方で、24年正月から「5000円以上」の値上げとなったおせちは10社となり、過去3シーズンで最多だった。高級ホテルやレストランを中心に大幅な価格引き上げも目立ち、高価格帯と普及価格帯の二極化が進んでいるようだ。
原材料価格では、たこ、たいなどの魚介類のほか、洋風おせちで主力級のメニューとなったローストビーフの材料となる輸入牛肉などでは値上がりが続いた。
他方、塩数の子や豊漁となったずわいがに、いせえびなどでは前年から価格が低下するなど、値上げ傾向が顕著だった2022~24年に比べ、原材料の価格上昇圧力が弱まる兆しもみられる。
鶏卵など海鮮以外の原材料や、化粧箱など資材費は上昇が続いたものの、価格が高騰する魚介類の一部を別材料に置き換えるなど、内容の変更などで24年正月と同等の価格帯を維持したケースもみられた。
物価高の影響はおせちの価格にも波及、「コスパ」「高級化」の二極化が進行
おせち料理の平均価格は、集計可能な2022年以降3年連続で値上げとなったものの、値上がり幅は360円と昨シーズンの半額以下にとどまっている。
最大で9連休が想定される年末年始を迎えるなか、長期化した物価高で強まる消費者の節約志向を背景に、主力商品を中心に価格を据え置くケースが多かったことが、全体的におせち価格を抑制した主な要因となったようだ。
百貨店「松屋」が今年8月に実施した調査では、回答が得られた1449人のうち約9割がおせちにかける予算を前年から「増やす・同じ」と回答した。
ただ、おせちにかける予算は約2万4000円と、本調査の平均価格から3千円ほど下回るほか、約3割がおせちに対し「品数やボリューム」「お得感やコスパ」を求めると回答するなど、おせちでも価格相応以上の内容を求める節約志向の強まりもみられる。
年末年始の帰省需要を見込んだ大人数向けのおせちなどは引き続き予約が好調と聞かれる一方、低価格品への人気集中といった「値上げ疲れ」の動きもあり、価格帯の二極化がさらに進行するとみられる。
調査概要
調査期間:2024年11月22日まで
調査機関:株式会社帝国データバンク
[注1] 全国の大手コンビニエンスストア・百貨店・スーパー・外食チェーン・日本料理店などのうち、前年と価格が比較可能なおせち料理を対象に調査を実施。比較対象は110社・ブランド。標準的な三段重、または3~4人前サイズの税込価格
[注2] メニューの変更や販売停止などで前年と比較できないおせち料理(企業)があるため、一部23年調査から対象を変更している。なお、入れ替え対象のおせちについて2022年正月シーズンまでを遡って価格データを再集計した
関連情報
https://www.tdb.co.jp/report/economic/2025_osechi/
構成/Ara