日本人が中国を訪れる際、短期滞在のビザを免除する措置が11月30日に再開される。2020年3月にビザ免除措置が停止される前は、ビザなし滞在期間は15日間だったが、今回は30日間に延長されるという。期間は2025年末までで、その後どうなるかは分からないが、とりあえずはハードルが下がることになる。
筆者はその直前の11月16~20日に中国・厦門を訪れた。目的はもちろん2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・中国代表対日本代表の取材だ。この段階では観光でもビザが必要だったが、取材となれば、短期報道ビザ(J2)の取得が義務付けられる。これがかなりの難題だった。
ビザ免除スタート直前に日本代表戦で厦門を初訪問。報道ビザ取得に四苦八苦
窓口となる日本サッカー協会(JFA)に申請を出したのは、バーレーン戦(リファー)が行われていた9月中旬。今回は11月15日にインドネシア戦(ジャカルタ)があるため、その出発前にビザを取得しなければならず、JFAもいち早くアクションを起こしたのだ。
しかしながら、10月中は音沙汰がなく、インドネシアからそのまま帰国するつもりで帰国便も買い終わった11月4日にいきなり「中国ビザセンターへ行ってください」と連絡が来た。諦めるつもりで何の準備もしていなかったから、そこからが大変だ。まずはオンライン申請書の記入を始め、写真のサイズで引っ掛かり、四苦八苦しながら2~3時間かけて何とか申請を終了。次に会社推薦状を作成し、往復のフライトとホテルを予約し、ビザセンターに行ける状態にはなった。
だが、ビザセンターはつねに大混雑している。仲間が3時間以上待ったと聞いて、筆者は11月7日の朝7時45分に有明フロンティアビル内にある入口前に到着。すでに4人が待っていたが、9時少し前のオープン時に中に入ることができ、9時半には申請が終了。翌8日の15~16時の受領時間に再び出向き、30分ほど待って、ビザの貼られたパスポートを手にできた。特急申請だったため、かかった費用は1万7250円。観光ビザ(L)でも通常7250円かかるというから、それがなくなるのは旅行者にとって朗報以外の何物でもない。
「支払いはモバイル決済のみ」と聞いていたが、現実は…。
実際に中国・厦門入りしたのは、16日夜。入国審査時に男性審査官が翻訳機に話しかけ、「あなたはジャーナリストですか?」「19日のサッカーの中国対日本の試合を取材に来たのですか?」と日本語で質問されたのは驚きを禁じ得なかったが、何事もなくスムーズに外に出られた。
まず向かったのはマクドナルド。「コロナ禍の間に中国では国際クレジットカードが使えなくなり、現金も限られた場所しか使えない。使えるのはモバイル決済の『アリペイ=支付宝)』や『WeChat Pay=微信支付』だけ」と聞いていたので、それを確かめようとしたのだ。やはり、さすがは空港。VISAカードでサッと支払えた。
その後のタクシーも現金で払うことができ、とりあえずはひと安心。ホテル到着後に行ったスーパーも現金を出したら「OK」と言われた。滞在4日間でVISAカードが通用したのはマクドナルドとスターバックス。その他のスーパーやカフェ、飲食店、地下鉄は現金決済でき、結局、一度もアリペイを使うことなく滞在を終わった。
10月に上海に行った仲間は「現金が全くダメで、全てアリペイで払った」と言っていたから、厦門はまだ現金通用社会なのだろう。厦門は福建省の港町で、台湾海峡を隔てた先に台湾があるというロケーション。人口約430万人を擁する経済特区とあって、国際的に開けているのかもしれない。北京や重慶、杭州など違った町に行くと、また状況は異なるだろう。そのあたりは注意が必要だ。
中国のインターネット規制はどうクリアすればいいのか?
もう1つ、中国で気がかりだったのが、インターネット環境。ご存じの通り、中国は厳しいネット規制が敷かれており、グーグルやヤフー、XやLINEなどのSNSも使えない。今回は国際チェーンのホテルを選んだが、やはりブロックされていた。
その状況だと我々は仕事ができずに困ってしまう。大半の記者はレンタルWiFiを日本から借りてきていたが、筆者はahamoのテザリングを活用。バックアップでe-SIMを購入しておいたが、アハモが何の規制もなく使えたため、それだけで済んで本当に助かった。
アハモは海外での高速通信は14日間。30ギガまで使える。短期滞在であればこれで十分。長期滞在になる場合は有料VPNを導入するなど、何らかの対策を講じる必要があるだろう。