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「103万円の壁」が引き上げられるとどうなる?税制改正議論のポイントを弁護士が税法の観点から解説

2024.12.01

2024年10月27日に投開票された衆議院議員選挙で、「103万円の壁」の引き上げによって「手取りを増やす」ことを掲げた国民民主党が大幅に議席を増やしました。

与党が衆院過半数を得られず、国民民主党との政策連携の必要性が生じたため、「103万円の壁」の引き上げが現実味を帯びています。

本記事では、最近注目されている「103万円の壁」とは何なのかを、税法の観点から解説します。

※本記事は、政治的意見の表明を目的とせず、特定の政党を支持または批判するものでもありません。

1. 「103万円の壁」とは何なのか?

「103万円の壁」とは、税金に関する各種控除のボーダーラインが「年収103万円以下」とされていることを表した言葉です。

「103万円の壁」により、本来もっと働けるはずの労働者が、手取りの減少などを恐れて「働き控え」をするなど問題が指摘されています。

「103万円の壁」が問題になる控除は、主に以下の3つです。

・基礎控除+給与所得控除の「103万円の壁」
・扶養控除の「103万円の壁」
・配偶者控除の「103万円の壁」

2. 基礎控除+給与所得控除の「103万円の壁」

パートやアルバイトなどの給与所得者は、年間の給与収入額が103万円以下であれば、所得税がかかりません。

基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計額が103万円で、給与収入額が年間103万円以下なら課税所得がゼロになるからです。

ただし、年収103万円を超えたとしても、いきなり多額の所得税がかかるわけではありません。所得税は103万円を超えた部分だけにかかるので、少し超えただけであれば所得税の額はわずかです。

なお、基礎控除+給与所得控除の「103万円の壁」は、給与所得者だけに当てはまります。給与収入のない自営業者などには当てはまりません。

また、給与収入が年間103万円以内であっても、副業などによる他の所得を合わせると年103万円を超える場合は、所得税がかかることがあります。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁
参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

3. 扶養控除の「103万円の壁」

配偶者以外の親族を扶養している方は、一定の要件を満たせば「扶養控除」を受けることができます。

特に、まだ自立していない16歳以上の子どもを扶養している方は、扶養控除を受けられるケースが多いです。

ただし、扶養されている人が年間103万円を超える給与収入を得ている場合は、扶養控除を受けることができません。

扶養控除の金額は原則として38万円ですが、扶養されている人が年末時点で19~22歳なら63万円です。

たとえば、大学生(19歳)の子どもがたくさんアルバイトをした結果、年収103万円を超えたとします。この場合、親は63万円の扶養控除を受けられなくなり、納めるべき税金が一気に増えてしまいます。

扶養控除の「103万円の壁」は上記の理由から、学生アルバイトなどの「働き控え」に繋がることが懸念されています。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

4. 配偶者控除の「103万円の壁」

配偶者(夫・妻)の所得が一定水準以下の場合は、「配偶者控除」を受けられることがあります。

配偶者の収入が給与のみである場合、年間103万円が配偶者控除のボーダーラインです。配偶者の給与年収が103万円を超えると、配偶者控除の対象外となります。

ただし、配偶者控除を受けられなくても、配偶者の給与年収が198万円以下であれば「配偶者特別控除」を受けることができます。

配偶者特別控除の額は、配偶者の給与年収が増えるに連れて減っていきますが、150万円までは配偶者控除と同額です。

したがって控除額に着目すると、配偶者控除に関する「103万円の壁」は存在せず、実際には「150万円の壁」と捉えるべきでしょう。

しかしながら、配偶者特別控除の額が給与年収150万円まで配偶者控除と同額とされたのは、2018年以降です。2017年以前は、配偶者の給与年収が103万円を超えると間もなく(厳密には105万円以上から)、配偶者特別控除が減額されていました。

当時のルールが念頭にある方の間では、配偶者控除に関しても、依然として「103万円の壁」が意識されているかもしれません。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁
参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

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