2024年4月からDIMEにて連載が始まった「マンガでわかる生成AI」の原作を担当しており、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)でエバンジェリストを務めております森一弥です。
生成AIに関連したサービスは日々新しいものが出てきたり、既存のサービスにも新しい機能が盛り込まれたりと、目まぐるしく情報がアップデートされています。しかしまだまだ日本発の新サービスは少なく、開発者向けのドキュメントなどは英語で書かれていることがほとんどです。
そんなときに、最近重宝しているのが「Kagi Translate」です。高度な翻訳精度といえば、「DeepL」が有名ですが、「Kagi Translate」はさらに高精度とも一部では言われています。
今回のコラムでは「Kagi Translate」の使い方や、お役立ち機能などをご紹介します。
よくある翻訳画面で
Kagi Translateのサイトにアクセスすると、よくある翻訳サイトの形式で画面表示されます。左側の大きな入力欄に翻訳したいテキストを入れて「Translate」ボタンを押せば、ワンクリックで翻訳される仕組みです。
翻訳クオリティをチェック
さて、私自身はバイリンガルでもないので、翻訳された英語の品質は正直わかりかねます。そんなわけで海外の著作権が切れている小説なんかを翻訳してもらうのはどうだろうと思い立ちました。日本には「青空文庫」という著作権切れの小説などを無料で公開しているサイトもありますが、海外でも同様の趣旨のサイトは存在しています。
「Project Gutenberg」というサイトがそれです。こちらを利用して、翻訳をチェックしてみましょう。
コナン君も大好き「シャーロック・ホームズ」の最初の作品、「緋色の研究」の冒頭をコピペしてみました。普通に読めるクオリティですね。文字数も2万文字までは対応しているようですので、そこそこ長い文章でも翻訳してくれそうです。
URLを入力すれば、ページ全体を翻訳してくれる
この「Kagi Translate」が他の翻訳サービスと異なるのは、この文字入力欄にURLを入れても良いところ。そうすると、入力したURLのサイト全体を翻訳してくれます。
実際に、これまで@DIMEに掲載された私のコラムのページのURLを入れてみると無事に英語版が表示されました。
ブックマークレットでちょっと便利に!
このように「Kagi Translate」のサイトでURLや文章を入力しても良いのですが、ブラウザでサイトを閲覧しているときに、対象のページを同時に翻訳してくれたり、特定の単語だけでもさっと翻訳してほしかったりなんて場面は多々ありますよね。
そんな際に役に立ってくれるのが、Kagi Translateを「ブックマークレット」として登録するという方法です。
この機能を使うには、ブラウザで「ブックマークバー」を表示しておくと便利なので、まずはこちらを設定しておきます。Chromeをお使いであれば、右上のメニューから「ブックマークとリスト > ブックマーク バーを表示」で表示することができます。
「Kagi Translate」のサイトの下部に注意書きがありますが、ここにブックマークレットの利用方法が書いてありますので、このリンクをブックマークに新規登録してブックマークバーに表示させてみてください(ブックマークバーにドラッグ&ドロップすると「Kagi Translate」というブックマークが登録できます)。
こうすることで、翻訳対象のページを開いた状態で登録したブックマークを押すだけでサイト全体が翻訳されますし、選択した単語や文章の翻訳もできるようになります。
ただ、これだと翻訳対象の言語がデフォルトの英語になってしまっていたりして、日本語翻訳するにはひと手間余計にかかります。少しだけブックマークを編集すると便利です。ブックマークのURLを以下のように変更してみてください(改行なしの1行でペーストする必要があります)。
javascript:(function(){var selectedText=window.getSelection().toString().trim();window.location.href=’https://translate.kagi.com/’+(selectedText?%27?text=%27+encodeURIComponent(selectedText)+%27&target=Japanese%27:%27Japanese/%27+encodeURIComponent(window.location.href));})();
これで開いていたページは日本語に翻訳され、テキストを選択していた場合は選択した文面が翻訳に反映されるようになります。ちょっとしたアイデアで便利に活用できますので、ぜひ一度試してみてくださいね。
まとめ
いかがでしょうか? 今回実際に使ってみると、やはりファイルの翻訳などはまだまだ DeepL の方が良いかなという場面も多々ありました。が、サービスが複数あることで、また競争が起こり、それぞれに新たな機能も追加されていくことになりそうです。 これからどんな進化を遂げるのか期待しつつ、ぜひ皆さんも使ってみていただければと思います。
※生成AIの著作権については、さまざまな見解があります。最新の動向や法的な観点については、各専門家に相談の上、適切にご判断ください。
森 一弥(もり かずや) https://twitter.com/dekiruco
アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 テレワーク推進の波に乗り、某有名SFアニメの聖地である箱根に移住。アニメや漫画、甘いものとかっこいいクルマをこよなく愛す、気ままな技術系エバンジェリスト。 AIやブロックチェーンなど先端技術とのデータ連携を得意とし、実証実験やコンサルティングの実績も多数。見聞きしたことは自分でプログラミングして確かめた上でわかりやすく解説することが信条。 現在は AI や IoTなどの普及啓発に努め、生成AI協会(GAIS)のエバンジェリストとしても活動中。