「早い」と「速い」の違いがよくわからないという方は意外と多いのではないでしょうか?それぞれが表現する「はやさ」は異なるため、違いを理解しておく必要があります。本記事では、「早い」と「速い」の違いの使い分けや例文、対義語などを解説します。
目次
「早い」と「速い」の違いとは?
「早い」と「速い」はどちらも「はやい」と読み、メールや文章を書くときにどちらを使えばいいのか迷うこともあるかと思います。たとえば、「仕事がはやい」という文を書くとき、仕事を始める時間が「はやい」のか、仕事を処理する速度が「はやい」のかで、使う漢字は異なります。
ここでは、「早い」と「速い」の意味や違いについてみていきましょう。
■「早い」の意味
「早い」とは、物事を行う時期・時刻が、ある基準より前であるときに使う言葉です。基準は特定の時期や時刻とは限らず、人により異なります。誰かにとっては早くても、他の人にとっては早くない場合もあるでしょう。
たとえば、「朝早い電車に乗る」「早いうちに仕事を済ませる」「決断の時期が早い」「成長が早い」「理解が早い」という使い方をします。
「まだその時期ではない」という意味で「早い」を使うケースもあります。「結婚するにはまだ早い」「気が早い」といった使い方です。
また、「早い」は「てっとりばやい」という意味もあります。物事を急ぐことを表すため、スピードに関係する「速い」なのではないかと思うかもしれません。
しかし、物事を急げば本来の時間より「前」に終了することから、ここでも「早い」を使うことになります。「すばやい」も動作がはやいからといって「素速い」とは書きません。「素早い」が正解です。このように、イレギュラーな書き方もあることを把握しておきましょう。
参考:デジタル大辞泉
■「速い」の意味
「速い」は、スピードがあり、かかる時間が短いことを表す言葉です。「一定の時間に動く距離や働く量が多いこと」と言い表すこともできます。たとえば、「足が速い」「計算が速い」「呼吸が速い」「鼓動が速い」「脈が速い」「読むのが速い」という使い方をします。
「早い」がいくつかの意味に分かれて使う範囲が広いのに対し、「速い」を使う場面はやや限定されるといえるでしょう。
なお、「月日の流れがはやい」というとき、時間の経過だから「速い」ではないかと思うかもしれません。しかし、ここでは実際の月日のスピードが「はやい」といっているのではなく、あくまでも「はやいように感じる」という主観です。そのため、「早い」を使います。
参考:デジタル大辞泉
■「早い」と「速い」の使い分け
「早い」が「時間や時期よりも前であること」を表すのに対し、「速い」は「一定の時間内に動く距離や動く量が大きいこと」を表すという点が異なります。
たとえば、予定していた期日よりも前倒しで仕事が進んでいる場合、「予定している期日」よりも前の時点で行われていることを指すため、「早い」を使います。
一方、仕事の処理がはかどり、短い時間で多くの作業が進んだ場合、一定の時間内に行われた動作が多いことを示すため、使うのは「速い」です。
■「疾い」「捷い」と書くこともある
「はやい」には、「疾い」「捷い」という漢字もあります。どちらも動きにスピードがあることを表し、「速い」と似た意味です。
「疾い」は矢のようにスピードがはやいことを表します。「捷い」は「はしこい」という読み方もあり、すばしこいという意味です。
どちらも実際の場面で使うことはほとんどなく、このような書き方もあるということを覚えておけばよいでしょう。
「早い」と「速い」の使い方・例文
「早い」と「速い」の使い方について、実際の文脈をみながら確認していきましょう。
それぞれの例文をご紹介します。
■「早い」の例文
「早い」は、時刻・時期が前の方であることを表すときに使います。
・今朝はいつもより早い時間に家を出たので、1本早い電車に乗れた
・今年は紅葉になる時期が早く、各地は観光客で賑わっている
・自分でいちから調べるよりも、知識のある人に聞いたほうが早い
・できるだけ早いうちに対処して、問題を解決しておく必要がある
・月日の流れは早いもので、卒業してから20年になろうとしている
・早く目が覚めてしまったので、散歩をすることにした
■「速い」の例文
「速い」は、スピードがあること、かかる時間が短いことを表したいときに使います。
・頭の回転が速い彼は、その問題をすぐに解けた
・小学校の頃は足が速く、運動会ではいつも1着をとっていた
・昨晩は雨が降ったため、川の流れがだいぶ速くなっている
・もっと速く仕事ができるようになれば、残業を減らせるだろう
・彼は物事の理解が速く、一度教えたことはすぐに覚えてしまう
・あの店は大人気で行列ができるが、脚の回転が速いためそれほど待たされない
「早い」の類義語・対義語
「早い」の言い換え表現や対義語をみていきましょう。
■類義語は「早めに」「先に」
「早い」は基準となる時間や時期よりも前であることを表すため、その類義語は「早めに」や「先に」があげられます。
(例文)
・早めに家を出てきたので、予定の時刻に間に合った
・年末は忙しいため、早めに大掃除をすることにした
・彼女はいつも早めに出社して、就業時間にはすぐ作業できるよう準備している
・彼は同僚より先に仕事を片付けて退社した
・彼女は先に着いて、会場内の準備をしていた
・この電車に乗れば飛行機に乗るよりも先に到着できる
■対義語は「遅い」
「早い」の対義語は「遅い(おそい)」です。「早い」の対義語として使う場合には、「基準となる時間や時期よりも後の時点にものごとが行われる」という意味で使います。
(例文)
・今年は去年よりも桜の開花が遅くなりそうだ
・電車が遅れているため、始業時間に間に合わなかった
・起きるのがいつもより遅くなってしまった
・朝食を摂るのは、いつも遅い時間だ