SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』とマンダム、coordimateは、around20(15~24歳)の男性522人を対象とした2024年メンズトレンド調査を実施。
先日、その結果が発表されたので、同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
2024年は『カフェ・グルメ部門』『アーティスト部門』など7部門を設置
2024年は『カフェ・グルメ部門』『アーティスト部門』 『ヒト部門』『コンテンツ部門』『SNSミーム部門』 『体験部門』 『ファッション部門』の7部門を設置。アンケート項目となるノミネートについては、SHIBUYA109 lab. MATEより選考委員として8名の大学生がトレンド大会議に参加して決定された。
【カフェ・グルメ部門】ヘルシーとハイカロリーの両極を楽しむ
ノミネートにはグリークヨーグルトやアサイーボウルなどのヘルシーフードから、ハイカロリーでジャンキーなカップラーメンまで挙げられ、メリハリをつけて食を楽しんでいる様子が見られた。SNSでは深夜飯・背徳感のあるハイカロリーフードに注目が集まった。
1位 みそきん
YouTuber『HIKAKIN』がプロデュースするカップラーメン。全国のセブン-イレブンで発売・再販される度に即完売して話題になった(2024年の再販は5・8・10月)。
2位 アサイーボウル
アサイーという果物をスムージー化したものにフルーツやココナッツなどをトッピングした食べ物。 『SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2024』でも1位にランクインした。鮮やかな見た目とヘルシーさが特徴で、写真映えと健康志向の両方が満たされると人気を獲得。
3位 とみ田監修デカ豚ラーメン
セブン-イレブンで発売しているレンジで温めてから食べるタイプのラーメン。コンビニで購入できる手軽さに反し、本格的な二郎系ラーメンが味わえるとヒット商品に。
【アーティスト部門】際立つ個性と楽曲がポイント。ショート動画をきっかけに拡散
昨年に引き続き、TikTokを中心にSNSで投稿されるショート動画の挿入歌として多く使用されたアーティストが多数ランクインした。
ノミネートにはK-POPアイドル、ボーカロイド、ラッパー、VTuberなど多様なアーティストが並び、各界隈でのトレンドが生まれていることがわかる。
1位 こっちのけんと
シンガーソングライター。TikTokを中心に、楽曲『はいよろこんで』がトレンドとなった。楽曲に合わせて踊る『ギリギリダンス』で芸能人やクリエイターとのコラボを実現。これを契機に視聴する人も多かったのでは。
2位 Number_i
元King & Princeの平野紫耀・岸優太・神宮寺勇太の3人組ボーイズグループ。デビュー曲『GOAT』をはじめ、楽曲やダンスが注目され、踊ってみた動画の投稿も多数。
3位 ILLIT
サバイバル番組『R U Next?』で結成された5人組アイドルグループ。『Magnetic』の踊ってみた動画や、デビュー直後にバラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』にも出演したことも知名度UPに繋がった。
【ヒト部門】モチベーションを高めてくれる人に刺激をもらう
昨年に引き続き、スポーツやビジネスなどをテーマに発信している人や、VTuberがノミネート項目として挙げられている。また、辛口レビュー・相談系や厳しいアドバイスをするインフルエンサーへの注目も高く、パワフルなマインドを持つ人の投稿でモチベーションを高めたり、オンオフの切り替えをするために視聴する等の声も聞かれた。
1位 ユスフ・ディケチ
パリオリンピック射撃混合エアピストルにて銀メダルを獲得したトルコの射撃選手。競技用装備を一切身に付けず、片手をポケットに入れるスタイルで試合をしている様子から、 オンラインゲームで装備に課金しないことに例えて、『無課金おじさん』の愛称もSNSで拡散した。
2位 ジョージ-メンズコーチ
自己啓発系インフルエンサー。『強い男を取り戻す』をキャッチコピーで活動しており、マインドの持ち方や、女性との関わり方について熱く語る動画を配信している。SNSでは『危機感ニキ』と呼ばれ、彼が使う『厳しいって』『危機感持ったほうがいいよ』というワードもトレンドとなった。
3位 かとゆり
美しすぎる上智大生として話題となったSNS総フォロワー数150万人超えのインフルエンサー。飾らない日常の1コマを映したショート動画が人気。『SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2024』のヒト部門にもランクインしており、女性からも人気を集めている。
【コンテンツ部門】時事ネタからインディーゲームまで、多岐にわたる話題に注目
ノミネートにはアニメ、ゲーム、オーディション番組など幅広いジャンルのコンテンツが挙げられた。インディーゲーム(個人や小規模なチームによって開発されたゲームソフト)のトレンドは加速しており、ゲーム実況動画を中心に多くの若者が楽しんだ。
1位 ドラマ『地面師たち』
不動産詐欺師『地面師』たちによる巨額詐欺の一連を描く実際の事件をモデルにしたNetflix作品。モデルとなった事件に関するSNSの解説動画や、『もうええでしょ』などの作中のセリフも注目された。
2位 ゲーム『8番出口』
PCゲーム配信プラットフォームであるSteamにて販売されている脱出ゲーム。ループする地下通路で異変を見つけていくというシンプルながらも面白いゲーム性や清澄白河駅構内に似ていることで人気となった。プレイするだけでなく、ゲーム実況動画を視聴する人も多くみられた。
3位 新紙幣発行
20年ぶりの新紙幣が発行され、一万円札に渋沢栄一、五千札に津田梅子、千円札に北里柴三郎の肖像がデザインされた。プレミアの付く記番号や、新紙幣を初めてゲットした際の投稿などがXやストーリーなどを賑わせた。
【SNSミーム部門】デジタルクラフトで界隈共感を作る。アニメと連動したミームが多数投稿
今年のSNSミーム動画・画像編集スキルを駆使して、素材を繋ぎ合わせてデジタルクラフトを楽しむ様子が特徴的だった。男女で視聴しているコンテンツに大きな違いはほとんど見られないが、男性の方が比較的ミームに参加するよりも、閲覧のみに留まる傾向にあるようだ。
1位 猫ミーム
SNSで人気な猫のユーモアあふれる動画素材を使って自身の日常などを面白く表現した動画のこと。衝撃的なネタなどを面白く消化でき、共感度も高いことで再生回数を伸ばした。
2位 Bling-Bang-Bang-Bornダンス
アニメ『マッシュル-MASHLE-』のオープニング『Bling-Bang-Bang-Born』のサビで、主人公マッシュ・バーンデッドが踊るダンス。キャッチーな音楽・歌詞や真似しやすい振付から、踊ってみた動画が多数投稿された。
3位 しかのこのこのここしたんたん
アニメ『しかのこのこのここしたんたん』のオープニング映像で使用されている楽曲『シカ色デイズ』に合わせて腰を左右に振るダンス。同じ振付をカット割りにして場所を変えて踊る編集が定番化した。
【体験部門】オープンエアな『ととのう体験』でリフレッシュ
ノミネート項目には御朱印巡りや陶芸など自然を楽しんだりととのう体験が多く挙げられていたことが今年の特徴だ。リフレッシュするために自然に赴くトレンドは、女性にも同様の傾向が見られている。また、 LUUPでのお出かけなど、新しい出会いのための外出よりも、気の知れた友人と充実した時間を過ごすための体験が重視される傾向のようだ。
1位 LUUP
電動スクーター・電動自転車のシェアリングサービス。街中のいたるところに設置されている『ポート』と呼ばれる場所で貸し借りが行なえ、便利な移動手段の一つとしてトレンドとなった。
2位 ファンタジースプリングス
東京ディズニーシーの新テーマポート。ディズニー映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』をテーマにした3エリアが広がっている。予告なしでプレオープンが行われたため、オープン前からTikTokなどでエリアの様子が拡散された。
3位 サモエドカフェ
全身が真っ白な毛で覆われている大型犬のサモエドがいるカフェ。サモエドのふわふわした感覚と、温厚な性格が何とも癒されると、多くのファンを集めた。
【ファッション部門】キーワードは『無理しない・やりすぎない・さりげない』
グランジコーデやゴープコアなど、ストリート・スポーツミックススタイルが中心にトレンドを形成。全体の傾向として、周りとの調和を乱さぬよう『やりすぎないこと・無理していないこと』が意識されつつ、楽さや動きやすさを優先したスタイルも見られている。
1位 adidas SAMBA
adidasから発売されている3本のラインが特徴のスニーカー。主にスポーツミックスコーディネートとして楽しまれており、シンプルなデザインでありつつ、カラーバリエーションが豊富なためコーディネートのアクセントにもなる。
2位 スパイキーショート
メンズのショートスタイルで、髪を全体的にショートカットにし、毛先をツンツンと尖らせたヘアスタイル。髪をスパイク(突起)のように立たせることから『スパイキー』と呼ばれている。アレンジの幅が豊富なため、様々なシーンやファッションに合わせられる点が魅力だ。
3位 ワンショルダーバッグ
両手が塞がらない肩にかけるバッグ。ノームコアやスポーティ、綺麗めコーデなどジャンルを問わず愛用できるほか、大容量の機能性から通学用バッグとしても人気となった。
SHIBUYA109 lab.所長・マンダム・コーディメイト担当者が分析
SHIBUYA109 lab.メンズトレンド大賞2024では、若年層男子の美容・身だしなみ行動に詳しいマンダムGATSBYチームと、若年層男性のファッションに関する悩みに詳しいコーディメイトとともに、3社でのワークショップ・5名の若年層男性を対象としたデプスインタビューを実施。若年層男性の2024年の消費ムードの分析を行なった。
■SHIBUYA109 lab.所長 長田 麻衣氏
2024年は男女問わずコミュニケーション・行動量の急激な増加に『疲れ』を見せていた年で、自然を楽しむなどのリフレッシュ行動が特徴的でした。
また、BeRealを中心に公開範囲が限定されたSNSを駆使して他者との距離感の調節を行ったり、オンオフの切り替えを行うためにポジティブなマインドを発信するインフルエンサーの投稿を視聴することで、疲れない工夫をし、自分にとってのWell-beingの模索を行なっていました。
■(株)マンダム 小黒 卓人氏
2024年はファッション部門にスパイキーショートがランクインしました。
元々はパンクやロックなどアーティストを中心に見られた、個性的なヘアスタイルのイメージがありますが、近年はY2Kなどのファッショントレンドも相まって、ファッションに合わせて自分らしさを表現できるヘアスタイルとして、一部の若年男性の中で受け入れられていると感じました。
ヘアスタイルのトレンドは回りながらも、その時代に合わせてアレンジされている印象を受けます。
■(株)coordimate 飯野 健太郎氏
本当は服装や髪型の細かいところまで気を使っているのですが、「努力をしていない」「ありのままの自分」であることを演出することが特徴の1年でした。
「自分の軸を持っていることがカッコいい」というカッコ良さが模倣困難な時代において、無理をせずに自分らしさを探している方が多かった1年だったのではとの印象を受けています。
トレンドは単なる流行ではなく、自分らしさを探すヒントになるものだと感じています。このメンズトレンド大賞が自分らしさが見つかるきっかけになればと思っております。
調査の概要
調査方法/WEBでのアンケート調査
調査期間/2024年9〜10月
調査対象/around20(15歳~24歳) 男性
有効回答数/n = 522
調査実施・分析/SHIBUYA109 lab.(運営:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)
※ノミネート候補の選定について
2024年9月にトレンド大会議を実施。SHIBUYA109 lab.の保有する独自ネットワーク『SHIBUYA109 lab. MATE』に所属する大学生8名とともにSHIBUYA109 lab.にて部門ごとにノミネートを選定。その後選択式アンケートを実施して大賞を決定。
出典/SHIBUYA109 lab.調べ
構成/清水眞希