過酷な環境に晒されているビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々の課題の中にこそ人生を豊かにするためのヒントが詰まっている。異色の経歴を持つVTuberが、今回は「スマホとのつきあい方」について答えます!
スマホ依存への処方箋
うちには小学生の娘がいます。中校生になるまでスマートフォンを禁止にしているのですが、娘は「スマホを持っている同級生がいる」と。自分も欲しいらしく、私たち親も使っているのにどうしてダメなのか質問されることが増えました。スマホ依存も怖いし、いつから持たせるのが良いでしょうか?
【結論】ま、まぁ……それは家庭内で話し合って決めてもらえれば……
意外に多い『いつからスマホ持たせるか論争』
最近、電車の中で親のスマホを借りてYouTubeを視聴していると思われる2〜3歳の子どもを目にする機会が増えた気がします。子どもがYouTubeに集中している間お母さんはしばしの休憩タイムみたいな感じでしょうか。知人の子は4歳にして自分でiPadの充電を行い、ロックも解除し、好きな動画を見ているとのことでした。
何が言いたいのかというと、今の時代は当たり前のように誰もがスマホを利用するようになったということです。親だってスマホをいじる時間が増えてるんだから、子供が欲しがるのも無理のない話。そして、いつから使わせるのかという問題も、こんな時代だからこそ、誰かを基準にして考えることは非常に困難になっているということです。
親が正しいリスクを把握することが重要
実際問題「親の目が届く範囲で親のスマホをたまに貸し与えること」に抵抗がない人は多いものの「子どもにスマホを持たせること」に抵抗がある人は多いです。
小学生がスマホを使うリスクにはどんなものがあるのでしょう。
(1)スマートフォン依存症等の体調や睡眠不足の問題
(2)歩きスマホ、自転車スマホ運転、SNSトラブル
(3)いじめやプライバシーの問題
これくらいでしょうか。
スマートフォンはエンターテインメントや情報収集など、多岐にわたる用途で利用できる人間の生活を豊かにしてくれる便利な道具です。一方で、(1)のようにその利用に没頭してしまい、時間を忘れて長時間使用して日常生活や学業へ影響を及ぼしてしまうことも。また、スマートフォンの光は睡眠のリズムを乱すことがあり、特に夜間の使用は睡眠不足や睡眠の質の低下を招く可能性や視力低下にもつながる危険性が指摘されています。
(2)についても、スマホを見ながら歩くことで、周囲の認識が大幅に低下し、交通事故や転倒のリスクが増加することが指摘されていますが、特に子どもはこの危険性に対する認識が薄い場合が多く、私も何回か通学路付近で子どもを轢きそうになったことがあります。
最後に(3)ですが、SNSやインターネットのトラブル……例えば小学生でもSNSを利用し始める中でネットいじめや高額課金、性的な被害に遭うリスクがあります。保護者による監視が必要ですが、実際問題として子どもの利用履歴の全てを把握するのは困難ですし、最近はグループチャット内でいじめが発生することも。
家の中でできることとしては、教育とルール設定があります。スマートフォンの使い方やインターネットの危険性について親御さんのできる範囲で教育し、使用ルールを設定してみましょう。さらに不安な場合には、スマホを貸し与えて定期的に子どもの使用状況を確認し、何か問題があればすぐに対応できるようにしましょう。
そのためには、日頃からなんでも話し合える良好な親子関係を保つことが重要になってきます。このように、小学生にスマートフォンを持たせるかどうかは、保護者がこれらのリスクを理解し適切な対策を取ることができれば、教育ツールとしての利点を享受できるでしょう。リスク管理が十分にできないと感じる場合は、キッズケータイなどの制限の強いデバイスを検討しても良いかもしれません。
最新テックが普及しては「いつから子どもに使わせるか問題」は出てくる。が、子育てで本当に大事なポイントはそこじゃないのかも。
「大事なのは日頃の親子のコミュニケーション」
さて、ここまで色々と話してきましたが、親が子どもに「君にスマートフォンを渡そうと思っているけど心配している」といったことを伝えられない間柄ならばスマホは買い与えないほうがいいと思います。
大人でも使い方を誤って、発信者情報開示請求を喰らって、裁判沙汰になっています。子どもだから不安、子どもだから危険……ではなく、まず子どもの手本となる親自身が自らの使い方について内省し、どうしたら子どもに安全に使ってもらえるか検討するきっかけにしてもらえればと思います。
最近は、SNSやネットで稼ぐ仕事もありますし、正しい使い方や向き合い方を早い段階から教えることは、子どもの将来の可能性を大きく広げられるかもしれませんからね。ぜひ、その辺りも念頭に、子どもとしっかり話し合ってください。
犯罪学教室のかなえ先生
元少年院の先生で、犯罪心理学や教育犯罪学の知見からニュースなどを解説するVTuber。近著に『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』。
©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり
※「教えてかなえ先生」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME12月号に掲載されたものです。