ライフスタイルの多様化や労働人口の減少により、多くの自治体では行政サービスの利便性と業務効率の向上が急務となっている。こうした課題の解決策として注目されているのが、今年1月から大日本印刷株式会社が実証実験および提供をスタートした「メタバース役所」だ。
6月からは東京都江戸川区でも先行運用がスタート
メタバース(仮想空間)上で各種行政サービスを提供可能にする自治体向けプラットフォームで、今年2月から3月まで三重県桑名市と実施した実験では、メタバース内に電子申請のサポート窓口や各種相談ブース、子育て世代の交流会などを展開。約1600名が利用した。6月からは東京都江戸川区でも先行運用が始まっている。「電子申請サポートでは、専門の相談員と申請画面を共有しながら音声などで細かな入力支援が受けられます。また、相談ブースには外部との音声遮断機能などがあり、ほかの来庁者を気にせず、相談しやすい環境になっています」(同社開発リーダーの山川祐吾さん)
メタバース役所は複数の自治体による共同利用も可能。共通する課題の解決や災害・復興時の支援体制を構築しつつ、運用にかかる負荷も軽減できる。メタバースが変える行政の未来に期待したい。
【DIMEの読み】
現在、メタバース役所へのAI導入が検討されている。効率よく生成AIを学習させる同社技術と組み合わせて回答精度を高めれば、開庁時間外でも各種相談や申請が可能な未来が実現するだろう。
メタバース役所が提供する3つのサービス
まずはこれら3つの基本機能を提供中。メタバースの利点を生かした利便性・機密性の向上や、住民交流の活性化が期待される。
予算や目的に応じて選べる2つの利用モデルを提供中
ニーズに応じたメタバース構築が可能な個別利用モデルを用意。ほかにも、複数の自治体で運用してコストを抑える共同利用モデルも今年7月に加わった。
取材・文/清友勇輔