近年冷凍食品は、簡便や時短だけでなく味や品質の高さも支持されており、新しいカテゴリの台頭など注目市場となっている。そうした身近な冷凍食品の購買状況にはどんな傾向がみられるのか。
そこで読売広告社はこのほど、同社の子会社であるショッパーインサイトが保有する日本最大級の食品ID-POS購買行動データベース「real shopper SM *」を活用し、食品スーパーの2024年上半期(4月から9月)における冷凍食品の購入変化を分析した結果を発表した。
2024年上半期冷凍食品ランキング1位は「冷凍米飯用総菜」
2024年4月から9月の冷凍食品の1人あたり購入金額を前年同期比で見ると、伸び率が最も大きかったのは牛丼・天津飯・中華丼などの具が含まれる「冷凍米飯用総菜」という結果が見えた。「冷凍カレー」も125.2%と高い伸び率がみられる。
このようにご飯に乗せる具材の冷凍食品をスーパーで購入し、自炊したご飯と合わせて食べる「ハイブリッド自炊」の行動がうかがえる。ご飯をよく炊いている、量は自分で調整したいといった、生活者の細かいライフスタイルの変化やインサイトの兆しがみられる。
「冷凍ワンプレート」は若年層、シニアともに好調
次に性年代別でみると、「冷凍米飯用総菜」は女性のどの年代においても2位以内にランクインしている。「冷凍カレー」は10代-20代男性、30代男性で特に高い伸び率がみられる。冷凍食品のなかでも比較的新しいカテゴリである「冷凍ワンプレート」は10-20代男性、70代男女で特に高い伸び率がみられ、若年層、シニア層ともに人気の高さがうかがえる。
おかずとご飯がセットになっているものなどが多く、温めるだけ、皿洗いの手間も省ける簡便性の高さに加え、ジャンクでボリューム感のあるおかず、栄養面が重視されたおかずなど、バリエーションの豊かさもこのような結果に繋がっていると考えられる。
○○だけ主義、ちょい足し健康意識、気負わない自炊という、食生活への意識が表れた結果に
冷凍食品カテゴリごとの併買商品にはどのような違いがあるか、「冷凍米飯用総菜」「冷凍ワンプレート」「冷凍焼鳥」の3つの冷凍食品カテゴリについて、併買分析を行った。
「冷凍米飯用総菜」は、温めるだけでご飯にかけて食べられる「カレーレトルト」、温めるだけでおかずになる「レトルトフライドチキン」「レトルトハンバーグ」、お湯を注ぐだけでできる「即席味噌汁」「即席スープ」などのリフト値(対象商品を購入した時に同時に別の商品を買う度合を示す数値)が高くなっている。時短・簡便商品の購入が多く、手軽に調理を済ませる”○○だけ主義”の傾向がみられる。
「冷凍ワンプレート」は、主食となる「米飯レトルト」、「調理パン」や「カップ麺」「弁当」などの商品と「ミックス野菜」「ゼリー飲料」「野菜飲料」などのリフト値が高くなっている。野菜関連の商品をプラスする”ちょい足し健康意識”の傾向がみられる。
「冷凍焼鳥」は、「輸入鶏切身」「唐揚粉」「輸入豚しゃぶしゃぶ用」「冷凍むきえび」など生鮮を含む調理商品のリフト値が高くなっており、コストやタイムパフォーマンスを意識した”気負わない自炊”の傾向がみられる。
*real shopper SM:食品スーパーのID-POSデータをもとに生鮮総菜を含めた全ての食品購買状況を全国規模の買物客単位で分析できるデータベース。
<調査概要>
・集計期間:2024年4月1日~2024年9月30日
・エリア:日本全国
・対象カテゴリ:冷凍食品
・利用データ:real shopper SMデータ
出典:株式会社読売広告社
構成/こじへい