スマホのデザインが画一化されてきたといわれる中、革新的なデバイスとして、徐々に存在感を増しているのが、フォルダブルとも呼ばれる、折りたたみスマホだ。代表的なモデルでいえば、日本でも展開されているサムスンのGalaxy Zシリーズが挙げられるが、グローバル市場では多くのメーカーが折りたたみスマホの開発に着手している。
アメリカの老舗ケータイメーカーであるモトローラも例に漏れず、縦折タイプの折りたたみスマホを開発しており、日本では2021年に「motorola razr 5G」、2023年に「motorola razr 40」シリーズ、そして2024年には「motorola razr 50」を発売している。そんなrazrシリーズとして新たに発売されるのが、最上位モデルとなる「motorola razr 50 ultra」だ。
motorola razr 50 ultraを折りたたみ初心者にもおすすめしたい5つの理由
motorola razr 50 ultraは、モトローラの折りたたみスマホの中でも最上位モデルとなっており、高いディスプレイ性能や新しいAI機能、そしてユニークなアウトディスプレイの使い方ができる1台。個人的には、折りたたみスマホが気になっているが、まだ手にしたことがないという人にも、おすすめしたいと感じている。では、その詳細やおすすめポイントについて、詳しく解説していこう。
今回登場したmotorola razr 50 ultraはモトローラの最上位モデルという位置付け
筆者が感じるmotorola razr 50 ultraのおすすめポイントは、アウトディスプレイの性能や機能、AI機能が豊富なカメラ性能、デザイン、スペック、そして保証サービスの5つ。では、それぞれの詳細を見ていこう。
なお、執筆時点で販売価格は未発表。販売チャネルは、MNOではソフトバンク(オンラインショップ限定)、MVNOではIIJmioで取り扱われるのに加え、オープン市場向けモデルが各家電量販店やECサイトから販売される。
■約4.0インチに大型化したアウトディスプレイでできること
前モデルであるmotorola razr 40 ultraは約3.6インチ、同じく縦折タイプの折りたたみスマホであるGalaxy Z Flip6は約3.4インチと、これまでアウトディスプレイは大きなものでも3インチ台となっていた。motorola razr 50 ultraのおすすめポイントは、このアウトディスプレイが約4.0インチになった点だ。
折りたたんだ状態のまま、アウトディスプレイでどれだけのことができるかが、縦折スマホの重要なポイント。そのため、いくらコンパクトさが売りの縦折スマホとはいえ、それなりのサイズ感がないと、操作性を損なってしまう。アウトディスプレイが約4.0インチまで大きくなったことで、折りたたみスマホならではの使用感が、大きく向上している。
motorola razr 50 ultraでは、ほとんどのアプリがアウトディスプレイで使用できる。カメラアプリを起動し、折りたたんだまま自撮りをしたり、決済サービス系といった、サッと起動したいアプリをそのまま使えるのが魅力。新たに、グーグルのAI機能が利用できる、Geminiアプリにも対応した。
また、かこって検索機能や、Google フォトアプリによる消しゴムマジック機能も、アウトディスプレイのまま利用できる。165Hzのリフレッシュレートにも対応しているため、滑らかに動くのも、便利に感じるポイントだ。
■AIによって大幅に強化されたカメラ性能
アウトカメラは、5000万画素メイン、5000万画素望遠の2眼構成、インカメラは3200万画素を搭載している。アウトディスプレイで自撮りができるというだけでなく、さまざまなAI機能が写真、動画撮影に追加されているのも、motorola razr 50 ultraのポイントだ。
具体的には、撮影者の動きを予測し、ブレのない動画を撮影できる「適応型手ぶれ補正」、動いている被写体を撮影する際に、自動的にシャッタースピードを調節する「アクションショット」、フレーム全体で動いている被写体を自動的にフォーカスする「自動フォーカストラッキング」といった機能が利用できる。また、長時間露光モードでの撮影にも新たに対応した。
折りたたみスマホならではの使い方として、ディスプレイを90度立ち上げた状態で動画モードにすると、ビデオカメラのように撮影ができる「カムコーダーモード」がある。
また、オンデバイスAIによって画像を最適化するフォトエンハンスメントエンジンは、前モデルより機能が向上。ズーム時の画像処理も、AIの補正が入ることで、より綺麗に撮影できるようになった。
先に触れた通り、縦折タイプの折りたたみスマホは、たたんだ状態で自撮りをする際に、アウトカメラがそのまま使えるのも魅力。また、ディスプレイを90度立ち上げてセットすることで、スタンドがなくても自立し、インカメラでの撮影がしやすいのも魅力。手のひらをカメラに向けることで、シャッターのカウントダウンが始まる機能も搭載されている。
このように、縦折タイプの折りたたみスマホは、自撮りのしやすさや豊富な撮影モードが魅力の1つ。モトローラとしても、「Z世代を含む若年層にも、メーカーの認知度を上げていきたい」と話しているように、若い世代にも「使いたい」と思わせる機能が備えられている。
■縦折スマホ最大の魅力はコンパクトなデザイン
そもそも、縦折タイプの折りたたみスマホ最大の利点は何か。横折タイプであれば、開いてタブレットのような大画面が利用できるという、わかりやすい特徴がある一方で、縦折タイプの場合は、「普通のスマホでいいじゃん」と感じている人もいるかもしれない。
個人的には、高性能なスマホがコンパクトに持ち歩けることこそ、縦折スマホ最大のメリットだと感じる。比較的画面の小さいスマホとしては、6.1インチのiPhone 16、6.2インチのGalaxy S24などが挙げられるが、メインディスプレイが約6.9インチあるスマホが、コンパクトに持ち歩けるとなると、使用感は大きく変わる。
本体サイズは折りたたんだ状態で、約88.09×73.99×15.32mm、質量は約189gとなる。コンパクトに持ち運べるのはもちろん、メインディスプレイが約6.9インチと考えると、かなり軽量な仕上がりだ。
チャットの返信や決済アプリの使用など、サッとスマホを使いたいシーンではアウトディスプレイ、動画視聴やゲームをする際には大きなメインディスプレイを使うといったように、使い分けができるのが便利だ。だからこそ、アウトディスプレイの使用感が重要なのだが、先述の通り、motorola razr 50 ultraはアウトディスプレイの利便性が非常に高く、現時点での縦折スマホの完成系と感じる仕上がりになっている。
そのほかのデザインとして、背面には手触りのいいヴィーガンレザー仕上げ。本体カラーはミッドナイトブルーに加え、IIJmio限定でホットピンクが用意されている。ホットピンクのパキッとした発色はかなりクールで、男女問わずおすすめしたい仕上がりだ。
■文句なしの高性能を搭載! おサイフケータイ機能にも対応
motorola razr 50 ultraは、スペック面を見ても、文句なしのハイエンド仕様になっている。搭載チップセットはSnapdragon 8s Gen 3、メモリは12GB、ストレージはオープン市場向けが512GB、ソフトバンク版が256GBとなる。ストレージの一部をメモリとして使用する、RAMブースト機能にも対応した。
高性能チップセットの処理能力を活かし、洋服などを撮影し、壁紙の生成ができる「スタイルシンク」、テキストを入力して画像を生成する「マジックキャンバス」といった、モトローラ独自のAI機能も利用できる。
防水性能は IPX8に準拠。バッテリーは前モデルから200mAhアップし、4000mAhとなった。15Wのワイヤレス充電、5Wの充電シェアにも対応している。生体認証は、顔認証、指紋認証の両方に対応となる。
もう1つの注目ポイントとして、FeliCaを搭載し、おサイフケータイ機能に対応した点が挙げられる。前モデルでは非対応だったが、ユーザーからの意見を取り入れ、新たに対応を決めたとのことだ。
■ディスプレイ破損のサポートも新規ユーザーに嬉しいポイント
オープン市場向けモデルのみだが、購入特典として、「ディスプレイ破損1回無料サポート」が用意されているのも、ユーザーとしては非常にありがたいポイントだろう。折りたたみスマホは、耐久性が不安でなかなか手を出せないという人もいるはずだが、保証がしっかりとあれば、話は別だろう。
サービスを利用するための申し込みは不要。保証範囲は、落下や衝撃といった外的要因による、ディスプレイの破損や故障となる。自然故障は保証範囲外だが、別途用意されているメーカー保証の範囲内であれば、無償修理対応が可能だ。
保証期間は、購入日を起算日として12ヶ月間。保証適用回数は1回のみだが、無料であることを踏まえれば、十分ありがたい。無料で使える保証があることも、折りたたみスマホ初心者に、、motorola razr 50 ultraを強くすすめられる大きな要因だ。これを機に、折りたたみスマホデビューを検討してみてはいかがだろうか。
取材・文/佐藤文彦