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「部下と話したくない」と思ってしまうのは、上司としてつらい瞬間ですよね。ですが、そう感じるのは珍しいことではありません。仕事上で必要なやり取りが、ストレスの原因になることもあります。
この記事では、部下と話したくないと感じたときの対処法を、部下のタイプ別に紹介します。また、心の負担を軽らすための、心理的距離の置き方も解説します。管理職の方や、人間関係に悩むビジネスパーソンの方にぜひ読んでいただきたい内容です。
「部下と話したくない」理由とは
部下と話したくないと思うのは、具体的にどんな場面でしょうか? 職場における典型的な例として、部下が以下のような行動をとる場合が考えられます。
(1)指示に従わない、または同じミスをする
部下に指示を出しても従わなかったり、何度伝えても同じミスを繰り返されたりすると、上司としてはイライラしてしまいますよね。何度言ってもこうした状況が続くと、「ちゃんと指示したのに」「この人に指示を出しても意味がないのでは?」と思って、話すこと自体を避けたいと感じることが多くなるかもしれません。
(2)反抗的な態度をとる
部下がこちらの指摘に対して反発したり、否定的な態度を見せたりするのも、よくある例です。改善をお願いしても「自分は悪くない」といった態度を取られると、「どう接したらいいんだろう」と悩んでしまいますよね。上司としては、少しでも前向きに取り組んでほしいと願っても、反抗されるたびに気力が削がれ、「もう話しかけたくないな」と感じてしまうのも無理はありません。
(3)報告・連絡・相談(報連相)を怠る
部下からの報連相がないと、プロジェクトやタスクの進行に必要な情報が上司に伝わらず、共有が滞ってしまいます。気がつけば、問題が発覚してから事後報告を受ける…というケースも少なくないでしょう。
進捗状況が見えないまま放置されると、「何が起きているのかわからない」という不安や、「自分だけが責任を取ることになるのでは?」というプレッシャーも募ってきます。こうした気持ちが積み重なると、次第に関わることが嫌だと思ってしまうこともあるでしょう。
【部下のタイプ別】「話したくない」と感じたときの対処法
次に、部下のタイプ別に対処法を見ていきましょう。それぞれのタイプに合った対処をしていくことが必要です。
(1)指示を無視する、または同じミスをするタイプには「フォローアップのルール化をする」
指示を無視したり、同じミスをしたりする部下は、「指示を理解していない」「指示内容が伝わりづらい」などの背景があるかもしれません。そこで、指示を出したら、その場でメモを取って復唱してもらうことを、全体のルールとしてみるのも良い方法です。
部下が理解できていない内容は、その場で一緒に確認しましょう。また、定期的に進捗や成果を確認するフォローアップの時間を設けるのも一つの方法です。例えば、指示を出した翌日に「昨日の進捗はどう?」と確認するだけでも、部下にとっては気を引き締める機会になります。
(2)反抗的な態度を取るタイプには「目的を共有する」
部下が指示に反抗的な態度をとる場合は、その仕事の目的をしっかり共有しましょう。「なぜこの業務が重要なのか」「部下の役割が全体にどう貢献しているのか」を伝えることで、部下も意識を変えやすくなります。
反抗的な態度は「やる気のなさ」や「納得できない気持ち」の表れです。プロジェクトや業務の意義を理解してもらうことで、反抗的な態度が改善される場合があります。
(3)報連相をしない部下には「簡単な報告フォーマットを導入する」
部下から必要な報告がされず、不安や不満が募る場合は、シンプルで続けやすい「報告フォーマット」をチームに導入してみましょう。
例えば、毎朝10分程度のミーティングで進捗や課題を共有する時間をつくると、情報のズレが少なくなり、上司も全体の状況を把握しやすくなります。また、報連相を徹底することを「チーム全員のルール」にすると、部下もより意識して報告するようになります。
報連相が進まない原因として、上司が「話しかけづらい雰囲気」を出してしまっている可能性もあります。上司自身が忙しそうにしている、イライラした様子を見せていると、部下は報告や相談をためらってしまうことも。上司もチームの一員として、情報を共有していく姿勢を見せることも大切です。
心の負担を軽減するための心理的距離の置き方
日々イライラすると、ストレスになりますよね。ここでは、心の負担を減らすための心理的な距離の置き方をご紹介します。
(1)感情を書き出してみる
部下のどんな行動・態度が嫌なのか、そして具体的に「なぜ嫌だと思うのか」について、紙に書き出してみましょう。例えば、「同じミスを繰り返すので、指示しても無駄に感じる」「一生懸命指導しているのに、自分に全部責任があるように感じてつらい」など、具体的に深掘りしていきます。
文字にして書き出すことで、どんな行動・態度がストレスの原因なのか、またどの感情が自分の中で膨らんでいるのかを明確できるため、感情と事実を分けて冷静に捉えられるようになります。
(2)期待を少しだけ下げる練習をする
部下に「こうあるべき」と期待していると、その期待が裏切られたときにイライラが募ってしまいます。「自分の期待が高すぎたかも」「少しずつ成長してくれればいい」と考えることで、少しだけ心が軽くなるかもしれません。
また、日々の部下の様子を見て、「今日は〇〇について、少し改善が見られた」といった小さな変化をメモなどに書き留めてみる習慣をつけることで、ポジティブな面に意識を向きイライラが落ち着いていくでしょう。
話したくない部下との関係を少しでも軽くするために
部下に対してイライラや嫌な気持ちを抱くのは、上司にとって避けられない悩みの一つです。でも、そう感じる背景には「もっと部下と良い関係を築きたい」「仕事をスムーズに進めたい」という気持ちがあるからですよね。
一度自分の感情を整理し、冷静に向き合ってみましょう。また、チームとして、具体的な報告ルールを決めておくことも大切です。心の負担を減らしていくことで、部下と無理なく向き合える日が増えてくるよう応援しています。
文/高見 綾
心理カウンセラー|“質上げ女子”のお悩み相談。カウンセラー養成コースで豊富な臨床経験を積み、心の世界で学んだことを現実に活かすアプローチに高い評価をいただく。相談数4千超。著書は『ゆずらない力』(すばる舎)。
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