部屋は綺麗で、設備は充実していて、窓からの眺望もいい……。そんなホテル・旅館の一室でも、入室したとたんに異臭が漂えば、それらの付加価値が霞んでしまうだろう。
それくらい大事な宿泊施設のニオイだが、実際のところ、気になった経験がある人はどれくらいいるのだろうか?
パナソニックはこのほど、全国の最近1年以内にホテル・旅館に宿泊した20歳~69歳の男女を対象に、「宿泊施設とニオイに関する意識・実態調査2024」を実施し、1,000名の有効サンプルを集計した。ここでは「宿泊施設のニオイ実態について」と「ニオイに対する宿泊者の行動について」の結果を抜粋して紹介する。
宿泊施設のニオイ実態について
■「ホテル・旅館の客室でニオイが気になったことがある」75%
実際に、ホテルや旅館の部屋のニオイが気になった経験のある人はどのくらいいるのだろうか。
全回答者(1,000名)に、これまでに、ホテル・旅館の客室でニオイが気になったことがあるか聞いたところ、「気になったことがある」は74.6%、「気になったことがない」は25.4%となった。衛生面の管理や快適性の維持のため大多数の宿泊施設が清掃業務に日々注力するも、宿泊者の大半は客室内における不快なニオイを経験しているという実状が明らかになった。
ニオイはホコリやシミなどと違い目に見えず、施設の清掃管理者・担当者の感覚にニオイ対策が委ねられているケースが多いことも一因ではないだろうか。また、宿泊施設においてニオイの発生原因は様々かつ無数にあるためその対策も多岐に渡る。全ての宿泊者が心地よく快適に滞在できる空間を維持するための、客室内のニオイ対策の難しさがうかがい知れる結果となった。
■ホテル・旅館の客室で気になったことがあるニオイ 部屋では1位「カビ臭」、2位「ホコリっぽいニオイ」、3位「建材のニオイ」
ホテル・旅館の客室でニオイが気になったことがある人(746名)に、これまでに、ホテル・旅館の客室で気になったことがあるニオイを聞いたところ、【部屋(トイレ・浴室除く)】については「カビ臭」(59.7%)が最も高くなり、「ホコリっぽいニオイ」(48.9%)、「建材のニオイ」(17.4%)が続いた。【トイレ・浴室】については「カビ臭」(46.5%)が最も高くなり、「排水・下水のニオイ」(42.4%)、「シャワーカーテンの生乾き臭」(33.5%)が続いた。部屋や水回りのカビ臭さが気になったという人が多いようだ。
ニオイを気にすることなく宿泊者が快適に滞在できるよう、防カビ、ホコリの除去といった衛生面での対策や、カビ臭をはじめとする様々なニオイへの対策を施すことが、宿泊施設にとって重要な課題であるといえそうだ。
ニオイに対する宿泊者の行動について
■「部屋のニオイが宿泊施設の満足度に影響する」89%
全回答者(1,000名)に、宿泊施設のニオイについて、宿泊施設の満足度にどのくらい影響するか聞いた。
【部屋のニオイ(トイレ・浴室除く)】では、「非常に影響する」が58.4%、「やや影響する」が30.5%で、合計した『影響する(計)』は88.9%、「全く影響しない」が1.2%、「あまり影響しない」が2.6%で、合計した『影響しない(計)』は3.8%、「どちらともいえない」は7.3%となった。大多数の人が、部屋のニオイによって宿泊施設の満足度が低下すると考えているようだ。
客室内の設備についてみると、ニオイが満足度に『影響する(計)』と回答した人の割合は、【寝具のニオイ】では89.0%、【トイレのニオイ】では89.8%、【浴室のニオイ】では88.8%、【クローゼット・押入れのニオイ】では75.6%となった。
準備された寝具やそれらが収納される押入れ、入室後すぐに使うクローゼット、宿泊者が何度も使うトイレや浴室など、いずれにおいても大多数の人が満足度に影響すると実感していることが明らかになった。部屋はもちろんのことだが、宿泊者が接する客室内の全ての備品や設備・空間に至るまで、丁寧なニオイ対策が宿泊者から求められている実態が明らかになった。
年代別にみると、『影響する(計)』と回答した人の割合は、いずれのニオイにおいても年代が上がるほど高くなる傾向がみられ、60代では【部屋のニオイ(トイレ・浴室除く)】は95.5%、【寝具のニオイ】は98.0%、【トイレのニオイ】は97.5%、【浴室のニオイ】は96.5%となった。
いずれのニオイにおいても、宿泊施設の満足度に影響を与えると思う人が全世代で多数を占める結果となった。宿泊施設にとって、客室や水回りのニオイを除去し高い快適性を保つことは、宿泊者の満足度を高めリピートを促すための必須条件といえるのではないだろうか。
■“ニオイ対策”がしっかりされている客室には、何もされていない客室よりいくら多く支払ってもいいと思う?
全回答者(1,000名)に、“ニオイ対策”がしっかりされている客室には、何もされていない客室よりいくら多く支払ってもいいと思うか(1人1泊あたり)聞いたところ、「1,000円~3,000円未満」(35.4%)に回答が集まった。
<調査概要>
調査タイトル :宿泊施設とニオイに関する意識・実態調査2024
調査対象 :ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする
全国の最近1年以内にホテル・旅館に宿泊した20歳~69歳の男女1,000名
調査地域 :全国
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2024年7月12日~7月15日の4日間
有効回答数 :1,000サンプル
(内訳)男女・年代により均等割付
実施機関 :ネットエイジア株式会社
出典元:パナソニック株式会社調べ
構成/こじへい