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女性の転職者数は10年で5倍に増加、成功するための条件は?

2024.11.17

tensyokuから女性の転職に関して、転職支援サービス『リクルートエージェント』のデータと実際の転職事例から動向をまとめたリポートが発表された。

出産・育児等を理由に一度仕事を辞めた正社員で、専業主婦として家事・育児に取り組んできた女性や、パートや契約・派遣社員で就業していた女性が正社員に転職する兆しがまとめられている。

本稿では、同社リリースを元にその概要をお伝えする。

正社員以外の雇用形態から正社員への転職も増加、賃金も上昇傾向

『リクルートエージェント』における女性の転職者数は、2023年度は2013年度の5.09倍に伸長している。全体の転職者数推移と比較しても伸び率は高く、10年で女性の転職が加速していると言える。

また、契約 社員や派遣社員から正社員へ転職している女性は約6倍になっており、内部登用による正社員転換だけではなく、転職で雇用形態を変えている様子が推察できる。

制度が整ってきたこともあり、出産後に離職せずに働き続ける女性は着実に増え、M字カーブ(女性の労働力率が20代後半〜30代前半で下降する傾向)は解消されつつあると言われている。

しかし現在では労働力率は改善しても、正規雇用比率が20代後半をピークに下降しているL字カーブの課題があると言われてお り、正社員へ転職する女性が増えている点は、L字カーブの解消の兆しとも言える可能性がある。

また、2023年度には女性転職者の41.3%が転職時に賃金が1割以上増加している。外部労働市場に出た場合、賃金が上がる傾向があり、近年その割合は右肩上がりになっている。

人手不足を背景とした採用ニーズの高まりに加え、これまで培ってきた経験やスキルが外部労働市場で適正に評価されて、賃金アップを実現できるケースが増えている。

実際の転職事例:正社員の経験ではなくても、「頑張ったこと」を言語化し転職へ

■30代前半女性 (首都圏)

産育休で4年間のブランク、契約社員・パート・派遣社員経験を経て正社員で営業職へ転職。

・経歴
契約社員として事務職 1年、その後産育休で4年間仕事を離れ、2022年にパートとし て事務職に復職。2024年からは派遣社員として営業事務に従事。

・転職先
IT企業のシステム営業職(正社員)

・転職理由
キャリアアップし収入も増やしていきたい。同じ業務を続けておりスキルが身に付 かないと思い、正社員登用も難しそうな状況から転職を考えた。転職を機に、専門性を身に付 け、子どもを大学まで育てたいと思った。

・必須条件
一人での子育てのため18時前後までの就労が条件。

・企業からの評価ポイント
意欲の高さと PCスキル。企業情報も非常に深く調べ、もし入社で きたら何を勉強したらいいかもご自身で考え ITパスポート取得にチャレンジされるなど行動もされており、行動していたからこそ熱意もしっかり伝わった。また、事務職での経験と努力でPC スキルが高かったところも評価された。

・年収
約70万円のアップ

・担当キャリアアドバイザーから見た転職活動のポイント
ご相談いただいた当初は、正社員での就業経験がないことによる不安なお気持ちで、ご自身が努力してこられたことをスキルとして言語化することは難しいとお感じになられていた。しかし、努力されるお人柄や行動は必ず企業に評価していただけるため、ご自身が頑張ってきたと 思うことを伺ってスキルの棚卸しをご支援。また、18時前後までの就労という条件は必須だったため、そのことも書類に記載し、書類通過率は下がる可能性はあるものの、条件の合う企業を一緒に探しながらご応募を進めていただいた。企業への面接の準備やお礼ににじみ出るご意欲もしっかり伝わった結果の内定だと感じる。

■30代後半女性 (信越地域)

約10年の正社員のブランクから、正社員で営業事務職へ転職。

・経歴
中小企業に就職、1年弱で転職。結婚を機に2社目を退職。以来コンビニでパートとして11年勤務。在庫管理や新人トレーニングを担当し、研修にも積極的に参加。接客コンテストでの入賞経験もあり。

・転職先
メーカーの営業事務職(正社員)

・転職理由
経済的に不安があり年収を上げたい。コンビニで正社員になる道もあったが、子どものために土日は休みを希望。正社員でその働き方をするのは難しいと感じ転職を決めた。また、成果を評価してもらえる環境でより裁量を持って働きたいと思っていた。

・必須条件
9時〜17時で働けること

・企業からの評価ポイント
働く意欲と、明るくムードメーカーになってくれそうなお人柄。また、育児経験から得たマルチタスク能力や、仮説検証を日常的に行っている点も評価された。

・年収
約80万円のアップ

・担当キャリアアドバイザーから見た転職活動のポイント
ご本人必須条件とご経験から応募できる・応募したい求人が限られていたが、未経験で応募で きる求人を中心に少しでも可能性がありそうならご応募していただけた。求人の必須条件を満 たしていなかったとしても、エージェントを通して打診を実施。前向きなお人柄やパートでご 勤務されていた中で頑張られていたことも推薦状に盛り込みアピールした結果、ご希望をかなえられるご縁につながった。

解説:正社員の経験ではなくても、「頑張ったこと」を棚卸しすることで機会につながる

<HR エージェント Division カスタマーサービス統括部長 熊本 優子氏>

働く時間や場所に制約がある方や正社員のブランク期間がある方が正社員に転職するケースが増えています。転職者の個々の事情に合わせて労働時間や勤務場所を柔軟に変更したり、家事・育児経験をビジネススキルに転用できると考えたりする企業が出てきています。

これらは10 年前では非常に珍しい事例でしたが、人手不足が加速していく中でキャリア採用に変化の兆しが表れています。正規雇用の経験ではないとしても、その期間で自分なりに「頑張ったこと」を棚卸しして、ビジネスに生かせるスキルに言語化することで正社員への転職を実現した事例が生まれています。

日々ご相談をお受けしている中で、ブランクがあるから自信がない・特筆するスキルはないとおっしゃる方が多いと感じますが、スキルや強みを見つけるためには「他人と比較して自分ができること」ではなく「自分が力を入れたこと、頑張れたこと」からひもとき言語化をサポートしていくと、棚卸しが進む傾向があります。

また、転職により賃金が1割以上増加した女性は40%を超えており、転職で賃金アップを実現できる方も増え、求職者にとって機会が広がっている傾向が強まっています。

関連情報
https://www.r-agent.com/

構成/清水眞希

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