2024年4月にNHKBSで放送された「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」シーズン2が、いよいよ2024年12月2日より2週にわたってNHK総合「夜ドラ」(夜10:45〜11:00)に登場することが決まった。そこで本稿では、放送日程と放送される8作品の概要、主な出演者のコメントなどをお伝えする。
藤子・F・不二雄ならではの多様な魅力が凝縮された15分間
今回は、老人が謎の巨大な「鉄人」の主(あるじ)になる「鉄人をひろったよ」、不思議な能力をもった少女が家族の危機を救う「アン子 大いに怒る」、浪人生が宇宙人からのとんでもない要求に振り回される「いけにえ」、家族思いの男が核への恐怖に囚われていく「マイシェルター」、夢のマイホームのためにあくせく働く男のもとにキテレツな男が現れる「3万3千平米」、家に居場所がない頑固老人が急死し天国から見たものは?「じじぬき」、タイムマシンを作ることに熱中する男と友人の物語「あいつのタイムマシン」、宇宙の果てを目指す孤独で壮大な旅の行方を描いた「旅人還る」というラインアップ。
「1話15分」というコンパクトなサイズに、いずれの作品も藤子・F・不二雄ならではの奇想天外な世界が広がる。笑いあり、涙あり、ファンタジー、ジュブナイル、ミステリー、ホラーなど多様な魅力が凝縮された15分だ。
■12月2日(月) 「鉄人をひろったよ」
<あらすじ>
初老の男(風間杜夫)が、ある晩帰宅途中、男が倒れているのを発見する。大けがをしている男から、老人はリモコンのようなものを託される。携帯電話のようなリモコンに向かって話しかけてみると、空から飛んで現れたのは巨大な鉄製ロボットだった。どうもリモコンを持っているがゆえに、老人についてきてしまったらしい。妻(犬山イヌコ)にはなんでそんなものをひろってきたのか、と文句を言われる。考えあぐねた末に彼が思いついたロボットの利用法とは。
<風間杜夫さん コメント>
長い俳優生活の中で、これほど本格的にグリーンバックで演技をしたことがなかった。鉄人を拾うという荒唐無稽な内容も相まって、興味津々で撮影に臨んだが、スタッフの作品への思いが満ち満ちた現場は、想像以上に熱かった。その熱さに巻き込まれてか、僕には相手役の鉄人が見えた。一緒に空を飛んで痛快だったし、別れの場面を振り返ると、今も切ない思いが沸き上がってくる。このドラマを多くの方に楽しんでいただけると思うと、また心が弾んで仕方がない。
■12月3日(火) 「アン子 大いに怒る」
<あらすじ>
赤毛のアン子(新井美羽)は画家の父(皆川猿時)とふたり暮らし。やはり赤い髪の持ち主だった母(荻野目洋子)は既にこの世におらず、小さいながらアン子が家庭を切り盛りしている。アン子には、父がもらってきた子犬の鳴き声が聞こえるはずがないのに聞こえたり、洗濯物がひとりでに取り込まれたりなど不思議なことが時々起こる。ある時、父の友人・宇祖田(矢柴俊博)を通じて、国際派のビジネスマンと称する男・黒原(青木崇高)が怪しい金もうけ話を持ち込んでくる。父は、アン子のためにその話に乗ろうとするが…。
<新井美羽さん コメント>
この作品を初めて読んだ時、アン子ちゃんの愛らしさとコロコロ変わっていく表情にとても惹かれたのを覚えています。そして青い目や、赤髪など特徴的なルックスに挑戦できるのを楽しみにしていました。原作を忠実に再現するシーンも多く、どうしたらアン子ちゃんがそのまま飛び出てきたように表現できるか監督と相談させていただきながら演じました。魅力的なキャラクターやクスッと笑えるシーンも多いので、ぜひたくさんの方に楽しんでいただけたら嬉しいです。
<皆川猿時さん コメント>
新井美羽さん演じるアン子ちゃんが、とにかく健気で可愛いんです。説得力。お見事。そりゃ、お父さんのダメダメッぷりにも磨きがかかっちゃいますよぉ(笑)。うん。切ないなぁ。というわけで、アン子、大いに幸せになってほしい。
■12月4日(水) 「いけにえ」
<あらすじ>
東京の上空に2年以上も巨大UFO が浮かんでいる。浪人生の池仁平(一ノ瀬ワタル)は UFO の存在が気が気でないが、恋人のミキ(松井愛莉)にはUFO への関心は既にない。デートの最中突然、池は謎の3人組に誘拐されかかるが、未遂に終わる。一人住まいのアパートに戻ると、浅田瓜男と名乗る記者(斎藤工)が現れる。浅田によると巨大UFO の中には何機もの小型UFO があり圧倒的な能力を有しているらしい。そして宇宙人は、ある人物をよこせと要求してきたという。
<一ノ瀬ワタルさん コメント>
藤子・F・不二雄先生のストーリーはやはり凄いなと思いました。2年もの間、ただ空に浮いていたUFO。しかもこのUFOはとてつもない力をもっており、人間ではとても太刀打ち出来ない。その沈黙をしていたUFOが突然人間にコンタクトをとり要求してきたことは、ただの浪人生の自分(池仁平)の引き渡し…。この後の展開そしてその結末を、この地上波でも放送されるとのことですので、皆様に是非ご覧になって貰えたら幸いです。
■12月5日(木) 「マイシェルター」
<あらすじ>
男(浜野謙太)は妻(安達祐実)と子供ふたりの家族思いのサラリーマン。ある晩、居酒屋で男が飲み終わり会計をしようとすると隣席の客(田辺誠一)から酒を勧められる。男がマイホームのための土地をもう買っていることを告げると、核戦争の恐怖をまくしたてられ、核シェルターを買うことを強く勧められる。帰宅すると妻はマイホームのために内職をしている。子供たち(かずき・池村碧彩)はぐっすり眠っており、いつもと変わらない平和な家族だった。しかし、男はだんだん核戦争の恐怖にさいなまれるようになり…。
<浜野謙太さん コメント>
藤子・F・不二雄先生がこの作品をお描きになってからだーいぶ時が経つのに、未だ核兵器使用をほのめかす国がある今(そんな今いつまで続くの?)、まさにグッとくる作品だと思います。コメディでありつつも差し迫った脅威ってつまるところ何なのか、現在を経由しつつ実感を持ち、考えながら演じられたこと、本当に充実したいい時間でした。短い尺ですが、監督やスタッフ、共演者の皆さんとていねいに作らせてもらえて心から良かったと思えた作品です。喜劇としてはオチなんだけど主人公の最後の結論、僕は大好きです。
■12月9日(月)「3万3千平米」
<あらすじ>
寺主(山寺宏一)はマイホームのために日々あくせく働くサラリーマン。友人で不動産屋の安田(田口浩正)が勧めてくれた土地は理想から程遠く、 なかなか 決心がつかないが、妻(峯村リエ)は早く決めてほしいと思っている。ある晩、帰宅するとえんび服を着た謎めいた男(劇団ひとり)が来ていて、「1平米あたり1万円で承諾してほしい」と平身低頭して頼み込んでくるが寺主にはさっぱり意味がわからない。謎の男はその後も寺主につきまとう。ある朝、寺主は破格の条件で売りに出ている土地の広告を目にする。
<山寺宏一さん コメント>
藤子・F・不二雄先生の作品は、もちろん子供の頃夢中になって読んだり見たりしており、さらに声優となってからも関わらせていただいておりました。でもまさか主演俳優としてドラマに出演できるとは(自慢)。 原作漫画のラストシーンを読み、自分との深い縁を感じ鳥肌が立ちました。はい、実際にアレ持ってるんです。何を持ってるかは放送を観てのお楽しみ。劇団ひとりさんはじめ、共演者も漫画そのもので最高でした。BSで見逃した方、忙しくてドラマ観てるヒマないという方、15分だけ時間を下さい。
■12月10日(火) 「じじぬき」
<あらすじ>
頑固老人・巌三(泉谷しげる)は、既に愛する妻(原田美枝子)を失い、長男夫婦(マキタスポーツ、池谷のぶえ)の家族と同居している。しかし気の強い嫁との折り合いが悪く、いつも疎外感を味わっている。ある時、嫁とケンカのあげく腹いせにとった行動で急死。天国で妻と再会し、つかの間の喜びを味わうが、妻が夫をあわれむ余りに死亡予定日を繰り上げたのだと知る。天国から、通夜に悲しむ家族や友人(平泉成)の姿を見た巌三は…。
<泉谷しげるさん コメント>
藤子・F・不二雄作品のドラマに出られるとは… 「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」は録画してまで見たくらい好みの作品ばかりだったな。その藤子ワールドに参加出来るのだから、チカラ入る……だろうが、ここはグッと興奮おさえてクールにいかねば!ナニせ、15分のショートドラマだからね。撮影も2日だけだし!しかし、撮影長いのが苦手なので2日間で充分だった。15分でも中味濃いからね、藤子作品は。共演の皆さんとは2日しか一緒してないのに長い時間共有しあったこの満足感!ナニより、撮影が予定通り終ることの気持ち良さったら!爽快な気分で終われた、忘れがたいドラマになったな。
■12月11日(水) 「 あいつのタイムマシン 」
<あらすじ>
正男(渡辺大知)の友人・鉄夫(奥野瑛太)は、いい年をして子ども時代からの夢のタイムマシンづくりに夢中。正男は鉄夫に職を紹介しようとするが、鉄夫は無関心でその執心ぶりは常軌を逸している。正男の妻(木竜麻生)はもともと鉄夫の幼なじみ。漫画をなりわいにする正男はある時編集者(安井順平)からタイムマシンをテーマにした作品執筆をもちかけられるものの、 なかなか作業が進まない。妻は正男に、タイムシンのことならと、鉄夫に相談してみることを勧める。
<渡辺大知さん コメント>
敬愛する藤子・F ・不二雄作品の映像化に関われたことがとても光栄です。『ドラえもん』が「あんなこといいな」を現実にしてくれる世界だとしたら、『あいつのタイムマシン』は「あんなこといいな」が「できない」と思われる世界線での人間ドラマです。監督や、キャストの奥野瑛太さん、木竜麻生さんとも相談しながら、ファンタジーでありながら切実なドラマになることを目指しました。大人にこそ観てほしい大人な SF です。ぜひ地上波でご覧ください。
<奥野瑛太さん コメント>
なんと、藤子・F ・不二雄 SF 短編『あいつのタイムマシン』の鉄夫を演じる日が来るとは。子供の頃からずっと憧れていたあのマシン いつから知っていたのだろう、いつ覚えたのかも覚えてないくらい当たり前にそういうものだと思っていたあのマシンに座る時が来るなんて!もし、幼きあの日に戻ることができるなら小さな僕に言ってあげたい。「お前は将来、なんかぁ 何かの撮影かなんかでタイムマシンを作る。そしてなんかその〜、左右が電球っぽいなんだかピカピカした怪しい板の上に座り、なんとなく、なんか 何かを猛烈に願う なんか知らないけど 。あっ、ちなみにそれは勉強机の引き出しには入ってない!」と。ん?あれ、なんだか、なんか昔からこうなる事を知ってたような まぁ、いいや。原作の漫画で何気なく描かれている一コマ一コマの行間や奥行きにただただ圧倒されました。是非ご覧ください。
■12月12日(木) 「旅人還る」
<あらすじ>
亜光速航行とコールドスリープ(人工冬眠)という技術によって、未踏の宇宙へと旅立つことが可能になった未来。議員たちの間に反対意見はあったものの総裁(嶋田久作)の決断によって志願者たちから旅人が選ばれた。男(森山未來)には恋人(成海璃子)がいたが、宇宙の果てを見たいという願望を抑えることができず、恋人を捨て、孤独で壮大な旅に出た。宇宙船の中での唯一の話し相手はメインコンピューターのチクバ(声・林原めぐみ)。悠久の時が過ぎ、男が見たものは……。
<森山未來さん コメント>
藤子・ F ・ 不二雄さんがこういった SF 短編集を描いてらっしゃったことを知らない方も多いのではないでしょうか。宇宙というモチーフを使って、淡々と底の抜けたような恐ろしさを描きながら、人生の視座になるような物語も描いてらっしゃるということをこのドラマを通して知ってもらえたらいいのかなと思います。
地上波初放送!「藤子・F ・不二雄 SF 短編ドラマ」シーズン 2 NHK 総合「夜ドラ」
■2024年12月2日より2週にわたって【総合】月〜木 夜10:45〜11:00に放送
・12月2日(月) 「鉄人をひろったよ」 脚本・演出・VFX/キムラケイサク
風間杜夫 犬山イヌコ/金児憲史/古谷徹(声)
・12月3日(火) 「アン子 大いに怒る」 脚本・演出/山戸結希
新井美羽 皆川猿時/矢柴俊博 青木崇高/濱津隆之 岩田奏/荻野目洋子
・12月4日(水) 「いけにえ」 脚本・演出/倉本美津留
一ノ瀬ワタル/松井愛莉/シュウペイ 街裏ぴんく 賀屋壮也/山西惇 板尾創路/斎藤工
・12月5日(木) 「マイシェルター」 脚本/遠竹ミファ 演出/遠竹真寛
浜野謙太/安達祐実 /池村碧彩 かずき /福島リラ モロ師岡 /田辺誠一
・12月9日(月) 「3万3千平米」 脚本・演出/本多アシタ
山寺宏一/峯村リエ三浦 獠 太/土田晃之 酒井敏也 関智一/田口浩正/劇団ひとり
・12月10 日(火) 「じじぬき」 脚本・演出/村井敦
泉谷しげる/原田美枝子/マキタスポーツ 池谷のぶえ 窪塚愛流 宮崎莉里沙 般若 今野浩喜 /柴田理恵 岩井ジョニ男 永見諒太 ニシダ・コウキ 川﨑宗則/平泉成
・12月11日(水) 「あいつのタイムマシン」 脚本・演出/家次勲
渡辺大知 奥野瑛太/木竜麻生 安井順平
・12月12 日(木) 「旅人還る」 脚本・演出/宇野丈良
森山未來/成海璃子 /林原めぐみ(声)/ 春海四方 嶋田久作
■金曜日深夜には一挙再放送も予定
・12月6日(金) 【総合】 夜11:45〜翌0:45 ※第1週の4作品一挙再放送
夜11:45 「鉄人をひろったよ」
翌0:00 「アン子 大いに怒る」
翌0:15 「いけにえ」
翌0:30 「マイシェルター」
・12月13日(金)【総合】夜11:45〜翌0:45 ※第2週の4作品一挙再放送
夜11:45 「3万3千平米」
翌0:00 「じじぬき」
翌0:15 「あいつのタイムマシン」
翌0:30 「旅人還る」
構成/清水眞希