腰痛に関する臨床ガイドラインでは、鎮痛薬を使用する前に理学療法やヨガを試すことが推奨されているが、痛みがひどくてヨガスタジオに通うのが困難な場合もある。こうした中、オンラインでバーチャルヨガを受けても痛みの緩和に有効な可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。米クリーブランド・クリニック、ウェルネス・予防医学のRobert Saper氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に11月1日掲載された。
バーチャルヨガは腰痛軽減に効果的
この研究では、中等度の慢性腰痛を抱える18~64歳の成人140人(平均年齢47.8歳、女性80.7%)を対象に、ライブ配信で実施されるバーチャルヨガ(以下、バーチャルヨガ)クラスへの参加が、慢性腰痛の強度や腰に関連する機能、睡眠の質、鎮痛薬の使用にもたらす効果を検討した。対象者は、バーチャルヨガに参加する群(バーチャルヨガ群、71人)と、同クラスの受講待機群(対照群、69人)にランダムに割り付けられた。
バーチャルヨガ群は、腰痛患者を治療するために特別に設計された1回60分のバーチャルヨガプログラムを、インストラクターの指導下で週に1回、12週間受けた。対象者の腰痛の強度は腰痛強度尺度(0~11点で評価、高スコアほど痛みが強い)で、腰に関連する機能については修正版Roland Morris Disability Questionnaire(RMDQ、23点満点でスコアが高いほど機能が低下している)で評価した。
その結果、バーチャルヨガ群では対照群に比べて、12週間後には腰痛強度の平均スコアが大幅に低下し(−1.5点、95%信頼区間−2.2~−0.7、P<0.001)、また、腰に関連する機能についても大きく改善したことが明らかになった(RMDQスコアの平均変化量−2.8点、同−4.3~−1.3、P<0.001)。こうした改善効果は24週間後も維持されていた(腰痛強度の平均スコア−2.3点、同−3.1~−1.6、P<0.001、RMDQスコア−4.6点、同−6.1~−3.1、P<0.001)。さらに、バーチャルヨガ群では、12週間後の時点で過去1週間の鎮痛薬の使用量が対照群よりも21.4%少なく、睡眠の質も有意に改善していることが確認された。
論文の筆頭著者である、クリーブランド・クリニックのHallie Tankha氏は、「この研究は、バーチャルヨガが慢性腰痛の軽減に効果のある安全な治療法となり得ることを示している」と同クリニックのニュースリリースの中で述べている。同氏は、「腰痛に対する従来の治療法は、効果が不十分なことが多かった。ヨガは腰痛の管理における包括的なアプローチとなり得る。われわれは今後、この安全で効果的な治療法へのアクセスを増やすよう努めるべきだ」と付言している。(HealthDay News 2024年11月1日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2825746#google_vignette
構成/DIME編集部
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