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トイレットペーパーが77位→6位に急上昇!ふるさと納税の人気返礼品ランキングから読み解く最新トレンド

2024.11.12

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

株式会社さとふるが運営するふるさと納税ポータルサイト「さとふる」の、2024年ふるさと納税返礼品の人気ランキングトップ10が発表された。

物価高、災害と世相に敏感に反応するふるさと納税返礼品

1位は北海道オホーツク海産ホタテ玉冷大(北海道紋別市)、2位は厚切り牛タン塩味(岩手県花巻市)、3位はシャインマスカット2房(山梨県山梨市)、4位は訳あり 銀鮭切身(宮城県気仙沼市)、5 位はエコロジープレミアムトイレットペーパーダブル(静岡県富士市)、6位はクラリスボックスティッシュ(栃木県小山市)、7位はシャインマスカット2房(長野県中野市)、8位はとまらない北海道 ホタテ貝柱(北海道別海町)、9位は令和6年産新米 『甲佐の輝き』精米20kg(熊本県甲佐町)、10位は老舗肉屋の特上ハンバーグ(佐賀県唐津市)の順位となった。

ホタテや牛タン、フルーツといった返礼品の定番に加え、トイレレットペーパーやティッシュという日用品が初のトップ10入り。カテゴリ別ランキングでも2019年は「トイレットペーパー」は77位だったのに対し、2024年は6位にまで急上昇した。

また、「さとふる」で2024年1月~10月に最も検索されたキーワードは1位「米」、2位「トイレットペーパー」、3位「訳あり」が並び、物価高騰の影響が昨年に続きふるさと納税にも表れているとわかった。トップ10のうち、「米」に関連するキーワードが3件ランクインしており、“令和の米騒動”といわれた8月の米不足の影響が色濃く表れている。

8月の米不足に関連した返礼品では、特別栽培米南魚沼産こしひかり「ふんわりパックごはん」(新潟県南魚沼市)が、今年8 月の寄付件数が前年同月比で6 倍以上に増加。いつも購入している店舗で米を入手しにくくなったことが反映されていると思われる。

米に限らず、「○○不足」「○○が値上げ」といった報道がされると、ふるさと納税の返礼品へも反応しており、昨年は玉ねぎや卵が大きく伸びたが、今年はオレンジジュースやオリーブオイル、直近ではタコが伸びを示しているという。

食品では肉は引き続き人気が高いが、従来の高級和牛やステーキ肉だけでなく、物価高を反映して小分けや切り落としといった、常備して日常の食卓に使える食材の寄付件数が伸びている。

能登半島地震、能登を含めた各地の豪雨災害、8月の南海トラフ地震臨時情報の発表などから、返礼品選びにも防災グッズへの寄付件数が増加している。

「防災グッズ」カテゴリ返礼品への2024 年1~8月の寄付件数は、前年同期比で約2.7 倍に増加し、2 年前の同期間と比較すると約9倍に増加した。

大きな災害の発生や注意喚起の発表に伴って「防災グッズ」への関心が高まり、その影響が検索キーワードランキングにも表れ、能登半島地震が発生した今年1月には「防災グッズ」が2位に、南海トラフ地震臨時情報が発表された8月は8位にランクインした。

災害関連の返礼品として、「非常用簡易トイレ」(神奈川県藤沢市)、「非常用圧縮毛布」(兵庫県多可町)、「ふるさと 10年保存水『飲むおんせんベール』」(神奈川県中井町)、「SunSoaker(サンソーカー) 携帯充電用 太陽電池シート」(熊本県南関町)といった防災グッズが伸びている。

その他のトピックスとして、寄付がどのように活用されるかを考えて寄付をする「イミ消費」の傾向がうかがえると、さとふるでは分析している。

災害発生時に、ふるさと納税を活用して被災自治体の支援できる「災害支援寄付サイト」では、1月に発生した能登半島地震や、9月に発生した台風10号など、2024 年に発生した7 件の災害に対して返礼品を伴わない寄付を受け付けており、合計で17億円以上(2024年11月6日現在)の支援が集まった。特に石川県への2024年1月の寄付額は前年同月比46倍以上に増加した。

返礼品を伴わない寄付だけではなく、被災地の返礼品提供事業者への支援につながる返礼品を選ぶ動きもみられている(下記画像は、能登町や輪島市、七尾市など石川県各自治体の返礼品)。

同社では、「さとふる」で返礼品を提供する全国の318自治体と1658事業者を対象に、2024年のふるさと納税に関するアンケート調査を実施。今年は多くの災害が発生したことが、ふるさと納税においても各自治体に影響を与えていることが浮き彫りになった。

被災していない自治体が被災自治体の代理でふるさと納税の寄付を受け付け、被災自治体へ寄付金を送付する『代理寄付』を初めて実施したのが「2024年(50%)」と最も多くなった。

「災害支援を実施したことがない」と回答した自治体のうち、約9割の自治体が「災害発生時、ふるさと納税による災害支援を活用したい(87.9%)」と回答。また、災害発生時に必要だと感じる支援に関する質問では、「ふるさと納税などによる寄付金(64.5%)」という回答が最も多い結果となった。

また、2025年10月の制度改正にて、ふるさと納税サイトのポイント付与が禁止となることについて、自治体の15.4%が「賛成」、65.1%が「どちらでもない」、19.5%が「反対」と回答。6%が「対策を取る予定がある」、34.9%が「今後検討予定」と回答し、4割の自治体が制度改正に向けて対策を検討していることが判明した。

【AJの読み】制度改正でふるさと納税の在り方を改めて考える時期がきている?

ふるさと納税の返礼品は地場の名産品、高級食材などが人気だが、2024年の返礼品人気ランキングを見ると、トイレットペーパーやティッシュペーパーといった日用品が上位にランクインして、まさに今年の世相を反映したものへの寄付の申し込みが増加したと言える。

ふるさと納税が自治体間の返礼品競争となり、本来の趣旨から外れるケースが見受けられたことから、総務省では2024年10月からは返礼品を強調した宣伝広告の禁止、返礼品と自治体との関連性の規定、2025年10月からはポイント付与が伴う寄付の禁止と、制度を厳格化する。

制度改正に伴い、駆け込み需要が起こると想定される2025年9月には4割の自治体が、返礼品の調整やブラッシュアップの検討など、対策を検討しているとアンケートでは回答している。

一方で、東京都税制調査会や東京23区の区長で構成される特別区長会といった都市部において、住民税の流失を懸念しふるさと納税制度の廃止を求める声があるほか、長野県が返礼品なしの直営サイトを運営するなど、ふるさと納税に在り方について議論されている。メリット、デメリットの双方を踏まえて、ふるさと納税制度を改めて考える時期がきているのかもしれない。

取材・文/阿部純子

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