カメラ500点以上、レンズ400本を展示
コンシューマーゾーンには、カメラボディ、Fマウントレンズ、双眼鏡、メガネなどが展示されている。カメラ展示スペースは15平方メートルから27平方メートルに拡大して展示数も450点から500点以上に増やし、Fマウントレンズは約400本が展示される。Fマウントレンズは435種類あると言われているので、そのほとんどが見られるのだ。それなら「2000mm F11 Reflex」があるかもと探したのだが、さすがに見つからなかった。
しっかり鑑賞できたのは「OP Fisheye-NIKKOR 10mm F5.6」である。気象庁などで気象観測用に使われた全周魚眼レンズで、世界初の正射影方式を採用している。これを実現するために前玉を非球面化する必要があり、職人が手磨きで作った世界初の一眼レフ用非球面レンズなのだ。横から見ると明らかにレンズ中央部が盛り上がって見えるほどの非球面なので、ぜひミュージアムを訪れたら見ていただきたい。
約400本のニッコールレンズが直接、見られる展示に圧倒される
レンズは焦点距離ごとに分類される。ここは反射望遠レンズの並びで1000mmや500mmのレフレックスレンズが見られる。2000mmは本体だけで17.5kgもあるためこの展示方法は無理だったに違いない
1968年に発売され12年間で1000本も生産されなかったという幻の非球面全周魚眼レンズ「OP Fisheye-NIKKOR 10mm F5.6」。インパクトは6mm F2.8の方があるがレア度ではこちらが上だ
真横から見る非球面であることがよく分かる。後玉がマウントよりも長いためミラーアップ可能なボディにしか装着できなかった。左は付属品の外付けファインダー「DF-1」。しかし、ファインダーの画角は160度だったため、どんな写真が撮れるかは現像するまで分からなかった。このような特殊レンズが受注生産でなく普通に販売されていたのは謎である
こちらも特殊レンズのメディカルニッコールレンズの並び。医療用に設計されたリングストロボを内蔵したマクロレンズで、手術や研究の記録に使われ、スピードライト使用の無影撮影が前提となる。200mm F5.6から製品化され120mm F4が完成形となる
カメラの展示も充実しており、一眼レフだけでなくコンパクトカメラ、8mmカメラなどもあり、フィルムカメラからデジタルカメラへの遍歴が辿れる
テーマ展示ではプロ用のニコンFシリーズが並ぶ。F、F2、F3の歴史が詳しく説明され、特殊仕様のボディも展示されている
ニコンF3のスポーツ写真仕様、250枚撮影できる250フィルムバックにモータードライブ、ハイアイポイントのアクションファインダーを装着している
ニコンF2のチタン仕様、1978年に発売されたノーネームの方がレアで、報道用に販売された。1979年の筆記体のチタンの刻印があるのが一般用に限定販売されたボディだ。限定数は2000台とも言われている
旧ロゴの書体を使ったニコンF5の50周年記念モデル。F3から右に傾いたロゴになったのだが、こちらは垂直に戻っている。私には頑丈なF5には書体が繊細すぎてミスマッチに見える
メディアテーブルと名付けられたタッチ対応のディスプレイには、歴代の製品カタログが表示できる。懐かしのカタログがデジタルで蘇るのだ
ニコンF2のカタログに掲載されたニッコールレンズの集合写真。魚眼、超広角、長望遠、医療用、建築用などの特殊レンズが揃っていた
ニコンF2のインターバル撮影用、遠隔撮影用、シャッター優先AE撮影のための専用機材の紹介ページ。あらゆるニーズに応えるために特殊機材も充実していた
シアターゾーンではニコンが描く未来を描くオリジナル映像が上映される
ミュージアムショップではお馴染みの「ニコンひと口ようかん」にコーヒー味が加わったリニューアルバージョンを始めとして、充実のオリジナル製品が販売されている。アクリルカメラキーホルダーは500円とお手軽価格だ
写真・文/ゴン川野