トヨタの本格派4WD『ランドクルーザー』は新型車の受注開始からほどなくして受け付けをストップ。現在も受注は再開していない。新車だけでなく、中古車においても他に類を見ないほどの人気だ。今回は、異なるタイプの最新モデル2台を乗り比べてみた。
2台の選択は使い方重視で決めるのが正解
トヨタが4輪駆動車を試作したのは1943年だが『ランドグルーザー』はその8年後の1951年にデビューした。大型のボディーで信頼性の高い車両は、たちまち世界中で大人気となった。300シリーズの最新モデルは2021年8月に登場。「GRスポーツ」は、この時に誕生したモデル。新開発のラダーフレームとサスペンションを組み合わせた走りは日本のオフロードでは性能をもて余すほどハイレベルだった。発売から2年。細かい修正を受けて、久しぶりに試乗した『ランドクルーザー300』ベースの「GRスポーツ」、3.3Lツインターボディーゼルエンジンは余裕たっぷり王者の走りを体感させてくれた。オフロードの走破力、オンロードの操縦性、乗り心地の安定感は他社の追従を許さないレベルに仕上がっていた。
『ランドクルーザー300(GRスポーツ)』の成功で、トヨタは新しいオフロードビークルの開発に取りかかった。それまではこの『300シリーズ』と『プラド』だけのシリーズだったが「GRスポーツ」の弟分にあたる新モデルの開発に着手。『ランドクルーザー250』が完成した。『ランクル250』は『ランクル300』と同じホイールベースだが、全長は40mm短く、全幅は10mm狭い。デザインは『70シリーズ』に近い直線主体のスクエアなボディーで、派手さより実用性を重視したボディーが特徴だ。フロントマスクも落ち着いたデザインを採用している。
パワーユニットは『ランクルGRスポーツ』はV6、3.5LガソリンターボとV6、3.3Lディーゼルツインターボを用意。一方『ランクル250』は直4、2.8Lディーゼルターボ+8速ATと直4、2.7Lガソリン+6速ATを用意。2車の差別化を図っている。
気になる『ランクル250』の走りだが、乗り心地は硬め。細かいゴツゴツ感が伝わってくる。ディーゼルエンジンも常用域でエンジンの唸り音が気になった。
見た目も性格も異なる2台だが、価格は『ランクルGRスポーツ』が800万円(ディーゼルツインターボ)、『ランクル250』(ディーゼルターボ)は785万円。都会派ラグジュアリーか実用派クロカンか、2台の選択は使い方重視で決めるのが正解だ。
伝統のラダーフレームをTNGAの思想に基づき刷新
トヨタ『ランドクルーザー GR SPORT』
Specification
■全長×全幅×全高:4965×1990×1925mm
■ホイールベース:2850mm
■車両重量:2560kg
■排気量:3345cc
■エンジン形式:V型6気筒ディーゼルツインターボ
■最高出力:309PS/4000rpm
■最大トルク:700Nm/1600~2600rpm
■変速機:10速AT
■燃費:9.7km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:800万円
トヨタ『ランドクルーザー”300”』シリーズとはフロントマスクやサスチューンが異なる『GRスポーツ』モデル。全幅は『250シリーズ』より10mmだけ広いが全幅がボディー幅と同じなので大きく見える。
ホイールベースは『250シリーズ』と同じ。全長は『GRスポーツ』が40mm長く、全高は10mm低い。フロントとドアウインドウの面積は『GRスポーツ』のほうが小さい。見切りの良さよりプライバシー重視のデザインか。
テールランプの位置を高くして横長にすることで、ボディーのワイド感を強調。他のトヨタ車と共通した打ち出し方をしている。ルーフ、ボンネット、フェンダー、全ドアパネルでアルミ化を実施。
オフローダーとしての風格が漂う力強いデザイン
トヨタ『ランドクルーザー ”250”』
Specification
■全長×全幅×全高:4925×1980×1935mm
■ホイールベース:2850mm
■車両重量:2400kg
■排気量:2754cc
■エンジン形式:直列4気筒ディーゼルターボ
■最高出力:204PS/3000〜3400rpm
■最大トルク:500Nm/1600〜2800rpm
■変速機:8速AT
■燃費:11.0km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:785万円
※ZXファーストエディション
左右フェンダーの張り出しが大きいため全幅は『GRスポーツ』より10mm狭いだけだがボディーの本体幅はもっと狭い。撮影車は丸目ヘッドライトの記念モデル。ノーマルは小径の3灯角目。
全長は『GRスポーツ』より40mm短いが、ルーフが車体後部まで伸び、テールランプとバンパーが車体最後部なので長く見える。フロントウインドウとドアウインドウを大きくし、見切りの良さを追求している。
リアゲートウインドウは開閉可能。テールランプは縦長デザインを採用することで、横幅より高さを強調している。前後のフェンダーを張り出してオーバーフェンダーにして、ワイルドさを強調している。