まだ食べられる食材が捨てられてしまうフードロスは、今や世界的な課題。そこにクラフトビール業界が一役買っている。サステナブルクラフトビールとは、お菓子やパン、麺など、製造過程で出る食品ロスから生まれたビールのこと。もともとクラフトビールは、地域の余剰食材などを副原料に生かすことが多く、アップサイクルになじみが深い。上の写真の『飲んでミーノ』を造るコエドブルワリーも、規格外で廃棄される川越名産のさつまいもを活用しようと始まったブルワリーなのだ。
アップサイクルでもこだわった美味しさ
「今回はカルビーさんからお声がけをいただきました。苦労したのは、流通のために行なう酵母ろ過が、オーツ麦のキャラクターを半減させてしまうこと。そこで何度も丁寧にレシピを見直し、おいしさにとことんこだわりました」(コエドブルワリー広報・田邊真さん)。
ビールは麦汁を糖化し、その糖を酵母が食べてアルコールを出す。そのため「パンなどからビールを造るのはさほど難しくない」と話すのは『カントリーブレッド ベルジャンホワイトスタイル』を造るアサヒユウアスの古原徹さんだ。
「おもしろいところでは饅頭から造ったこともあります。ただわざわざビールに向かないものを使うことはないですね。アップサイクルで大切なのは、ネーミングも含めたストーリー性。呑む人が共感できるものを考えていきたいんです」(古原さん)
麺からできたビールがラーメンとペアリングする『KAEDAMA ALE』もまさにそのストーリー性が魅力。ラーメンライターの肩書を持つUTA
GE BREWING・宣伝部長の山川大介さんは「ラーメンに合うビールという発想は今までになかった。様々なビールを呑み比べてラーメンとの相性を徹底調査しました」と語る。
アップサイクルだから味は二の次などと思うなかれ、どのビールもレベルはかなり高い。おいしいビールを呑んで世界的な食の課題に貢献できるなんて、最高じゃないか!
Calbee×COEDO
シリアルが醸すまろやかテイスト
『飲んでミーノ』398円(350ml)
カルビーのシリアル『フルグラ』の製造過程で出る、規格外の色の濃いオーツ麦を使用。ホップのアロマの香りやコクなど、オーツ麦との親和性を基本に味わいを設計している。
ミーノとマッチ!
おつまみ需要の多い『ミーノ』をもっと楽しんでもらおうと、相性◎のビールを考案。
Beer Type : Mellow IPA
味に甘みをもたらすオーツ麦の個性を生かしたまろやかなIPA。ホップ由来の南国フルーツのような香りと苦みがアクセント。
THE CITY BAKERY×アサヒユウアス
パンから生まれた小麦のビール
『カントリーブレッドベルジャンホワイトスタイル』880円(350ml)
THE CITY BAKERYでクロックムッシュを作る時に切り落とされたパンの端材を使用。クセのない小麦のビールにハーブやスパイスの香りを加えて、幅広い料理と相性のいい味わいに。
Beer Type : Belgian White
小麦から造るベルギー伝統のスタイル。和山椒やオレンジピールなどで華やぎをプラス。