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「学園アイドルマスター」効果でバンダイナムコの業績が好調、下半期は「ドラゴンボール Sparking! ZERO」に期待

2024.11.12

バンダイナムコホールディングスが大躍進を遂げています。

2025年3月期上半期は2割の増収、7割もの営業増益でした。前期の停滞感を払拭し、今期の通期業績予想の上方修正を行っています。

躍進の要因の一つが、今年5月にリリースした人気シリーズの最新版「学園アイドルマスター」の大ヒットです。100万ダウンロードを突破しています。

バンダイナムコの上半期を振り返るとともに、下半期の動向についても探っていきたいと思います。

THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

1桁台に落ち込んだ営業利益率が早くも2桁に

上半期の好調ぶりを受け、バンダイナムコは通期の売上高を従来予想比6.5%増の1兆1500億円、営業利益を同39.1%増の1600億円に引き上げました。純利益も35.8%上方修正。バンダイナムコ株は6日に一時前日終値よりも4.3%高い3384円を付けました。株価も勢いづいています。

※決算短信より筆者作成

バンダイナムコは2024年3月期に売上高が初の1兆円を突破しました。しかし、2割を超える営業減益となっています。これはゲームを扱うデジタル事業において、新作ゲームの評価損とタイトルの一部見直しを行って処分損を計上したため。この期のデジタル事業は9割近い減益となっていました。

それが痛手となり、2024年3月期の会社全体の営業利益率は前期よりも3.2ポイント低い8.6%まで低下しました。

しかし、2025年3月期上半期の営業利益率は18.6%。上方修正した通期業績予想が計画通りに着地しても13.9%となる見込みです。稼ぐ力は巣ごもり特需で好調だった2022年3月期と肩を並べる水準まで戻すことになります。

隙間時間の取り合いという時代に即した「学マス」

2025年3月期上半期デジタル事業の売上高は、前年同期間の1.3倍となる2285億円、セグメント利益は2.9倍の447億円に跳ね上がりました。

「学園アイドルマスター」は今年5月16日にリリースしていますが、その月に100万ダウンロードを突破しています。

アイドルマスターはアイドルの育成やプロデュースを楽しむゲーム。もともとファンの多いヒットIPでしたが、「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」はユーザーの評価が高くないなど課題が見えていました。

新作の「学園アイドルマスター」は魅力的なキャラクターや優れた音楽もさることながら、育成そのものに時間をかけることなくゲームを進めることができるという特徴があります。これは時代に即したゲーム性と言えるでしょう。

コロナ禍以降は巣ごもりが解消され、通勤や通学を行う機会が増えました。待ち時間や移動時間を奪い合う「隙間時間の取り合い」が激化しているのです。

足元ではモバイルゲーム市場は縮小しています。⾓川アスキー総合研究所は、2023年のモバイルゲームコンテンツ市場を前年比98.6%とする調査結果を発表しています(「ファミ通モバイルゲーム⽩書 2024」)。

モバイルゲームは同業他社だけでなく、Netflixのような動画配信サービス、InstagramなどのSNSとも競合しているのです。「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する時代を読んで「学園アイドルマスター」をヒットさせたようにも見えます。

バンダイナムコは下半期の動向も見逃せません。10月10日にリリースした「ドラゴンボール Sparking! ZERO」が、発売から24時間で300万本を突破したのです。このゲームの販売比率の9割は欧米。ドラゴンボールというIPの海外での強さを改めて見せつけました。

トレーディングカード人気と映画のヒットが重なる

2025年3月期上半期トイホビー事業の売上高は前年同期間比16.7%増の2916億円、セグメント利益は同30.6%増の597億円でした。こちらも好調です。

国内ではトレーディングカードゲーム市場が盛り上がりを見せています。バンダイナムコは2022年7月にワンピースのトレーディングカードを発売しました。奇しくもその年に公開した映画「ONE PIECE FILM RED」がスマッシュヒット。興行収入は197億円を突破しました。その影響もあって、ワンピースのカードゲームにも人気が集まりました。

ヒットの恩恵は収まっておらず、現在の好業績を下支えしています。

ドラゴンボールとワンピースはカードゲームだけでなく、カプセルトイ、食玩などにおいても、トイホビー事業の業績に貢献しています。息の長い、強力なIPに育ちました。

ガンダムの世界展開にも邁進中。10月17日からはNetflixで「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」が配信されています。10月23日発表のNetflix週間グローバルトップ10(英語シリーズ)で7位を獲得しました。

ガンダムは日本で絶大な人気を誇っています。しかし、海外では中国などの一部を除いて知名度が低いという課題があります。Netflixのガンダムの配信によって、海外の視聴者を引き付けた意味合いは大きいでしょう。バンダイナムコは、決算発表にて「本作品は実写版映像作品の公開に向けて認知を広める良い機会となったと考えています」と話しました。

バンダイナムコは、何としてでも世界的な知名度を高めたいという事情もあります。2025年夏にプラモデル生産工場「バンダイホビーセンター」の新工場の稼働が開始する予定なのです。これにより、生産量は2023年度比で35%の増産が可能になります。

ガンダムのIPが世界的に認知されれば、プラモデル市場が盛り上がるのは間違いありません。世界戦略に向けた新たな一手をいかにして打ち出すのか、今後の注目ポイントだと言えるでしょう。

文/不破聡

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