ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループであるエイエムオー・ジャパンは、連続焦点 / Full Visual Range眼内レンズ(1) 「テクニス オデッセイオプティブルー Simplicity(注1)」と、乱視矯正機能付き連続焦点 / Full Visual Range眼内レンズ「テクニス オデッセイトーリックⅡ オプティブルー Simplicity(注2)」を開発。2024年11月14日より全国発売を開始すると発表した。
白内障手術用多焦点眼内レンズの新基準として遠方から近方まで視力を維持
新製品は、白内障手術用多焦点眼内レンズの新たなスタンダードとして、遠方から近方まで連続的範囲で視力を維持する(2)。また、ハローなどの夜間光視症を抑え(3)、昼夜を問わず質の高い見え方を追求(4)。同社では「現代の白内障患者さんが求める高品質な視力を全距離で提供します」と説明している。
注1)販売名:テクニス オデッセイ VB Simplicity、医療機器承認番号:30600BZX00024000
注2)販売名:テクニス オデッセイ TVB Simplicity、医療機器承認番号:30600BZX00025000
■テクニス オデッセイオプティブルー 4つの特徴
テクニス オデッセイオプティブルーの独自技術
■ 長期安定性
本製品は素材の合成工程と成型工程を分離するダイヤモンドクライオレースカット製法で製造した独自の疎水性アクリルレンズを採用している。これにより、レンズ内部に小粒子が輝いて見える症状やレンズ表面が白く濁るといった不具合の発生を抑え、10年以上の長期にわたって高い透明性の維持が可能になった。
■眼全体の球面収差をほぼゼロに低減
平均的な角膜は+0.27μm(マイクロメートル)の球面収差(6)を持っており、テクニスの-0.27μmの球面収差を付加することにより眼全体の球面収差をほぼゼロに低減させる。球面収差がなくなることで、光線が網膜上に集束し、よりシャープな像を得ることが期待できる。
■高いコントラスト感度
当社独自のアクリル素材はレンズによる色収差の増加を抑制し、高いコントラスト感度を提供する。
■Tri-Fix 3点固定方式
レンズを支持部と光学部の3点で固定するデザインが、予測屈折値をズレにくくし、長期にわたる安定性、中心固定性を高める。
白内障と眼内レンズについて
国内における白内障の手術件数は、年間約180万件とされており、外科手術の中で最も多く行なわれている手術だ(7)。
白内障は加齢などにより眼の中のレンズの役割を果たす水晶体が白く濁って見えにくくなる病気で、50代で約40%、60代で約70%、70代で約90%、80代では100%に近い方が発症するとされている(8)。
白内障の手術では白く濁った水晶体を吸引除去し、その代わりとなる人工の「眼内レンズ」を挿入する。この眼内レンズは、1か所にピントを合わせる「単焦点眼内レンズ」と複数の距離にピントを合わせる「多焦点眼内レンズ」に分けられる。
多焦点眼内レンズは、白内障手術後にあまり眼鏡を使いたくない人に向いており、焦点が遠方・近方の2か所に合う2焦点型、焦点が遠方・中間・近方の3か所に設定されている3焦点型と呼ばれるレンズがある。
人生100年時代と言われる今、年齢を重ねてもアクティブに過ごす高齢が増えている。スマートフォン等のデジタルデバイスの普及に伴い、白内障患者のライフスタイルやニーズも多様化してきた。
50~70代の男女を対象とした同社調査(9)によると、生活行動を近距離・中間距離・遠方距離と分けた場合に、約4割(10)が中間距離の行動(デスクワーク、家事、料理など)であることがわかった。
また、視力矯正においても45.3%が中間距離の見え方を改善・向上したいと答えており、現代人のクオリティ・オブ・ビジョン(QOV)を向上するためには、近くから遠くまでの連続的な範囲で見え方を改善することが重要であると考えられる。
(1) ISO 11979-7:2024(眼内レンズに関する国際規格)に示される定義に則ったカテゴリー
(2) Data on File (2023). DOF2023CT4023.
(3) Data on File (2023). 2024DOF4005. ハロー:周囲に輪状の光のボケが見られる症状
(4) Data on File (2023). DOF2023CT4007.
(5) Data on File: 2024DOF4003
(6) 球面収差:球面を含む光学系において、点光源からの光線が焦点に収束せずばらつく収差
(7) 厚生労働省「第8回NBDオープンデータ」
(8) Minds 白内障診療ガイドラインの策定に関する研究(H13-21EBM-012)
(9) 「日常生活に関する調査」 50~70代 /6796サンプル /調査期間:2024年3月21日~ 25日 /インターネット調査
(10) 「日常生活に関する調査」において、「平日の過ごし方」についての回答結果
関連情報
https://surgical.jnjvision.jp/
構成/清水眞希