消費者向けセキュリティブランド「ノートン」は、日本人の20〜70代1200人を対象に「マイナンバーカードの利用実態調査」を実施。その結果と懸念される犯罪被害、および対策に関する解説リポートをリリースしたので、本稿ではその概要をお伝えする。
なお、この調査はノートンに代わって楽天インサイトが2024年10月16日〜2024年10月18日にオンラインで行なった。
マイナンバーカードを携帯している人は5割超、約半数の人が身分証明書として利用
48.8%の人が身分証明書としてマイナンバーカードを使用しており、カードの管理方法について調査を行なうと、53%の人が「財布などに入れて持ち歩く」と回答しており、30.2%の人が「必要な時に携帯する」と回答。
全体の8割以上の人は、自宅の外に持ち出してマイナンバーカードを使用していることが明らかとなった。
一方で、40.9%の人は「盗難や紛失の結果からカードを不正利用される可能性を懸念している」と回答しており、今後現行の保険証の再発行廃止など、マイナンバーカードの価値が高まり利用機会が増加する中で、カード紛失時の情報漏洩リスクや取るべき行動について整理して、理解を深めておく必要がある。
■約2人に1人(51.1%)が「マイナンバー制度は信頼に足らない」
マイナンバー制度に対して信頼度の調査を行なったところ、「管理体制が不透明でよくわからない」「過去の情報漏洩の事故報道を見た」「個人情報保護に対する規制が不十分」といった意見から、19.8%が「信頼していない」、31.3%が「どちらかというと信頼していない」と回答。2人に1人はマイナンバー制度が信頼に足らないと感じていることがわかった。
マイナンバーカードを巡っては、証明書発行サービスで住民票の誤交付が相次いだほか、マイナ保険証で誤った情報登録が計9千件を超えるなど問題が広がっているため、1枚のカードに個人情報が集約されているマイナンバーカードは、制度自体が危険視されていると推測できる。
■約6割が「マイナンバーカードを活用できていない」と回答
マイナンバーカードをどの程度活用できているか調査を行なったところ、24.4%は「活用できていない」、35.2%は「どちらかというと活用できていない」と回答。約6割の人がマイナンバーカードを活用できていないと考えていることが判明した。
また51.8%の人が「マイナポイントの利用を目的」にカードを発行しており、「利便性を求めて」発行した人はわずか10.3%という結果になった。
この結果から、マイナポイント付与の効果によりマイナンバーカードの取得率は向上したものの、カードの実態や利用用途、利便性についての認知・理解不足は否定できないようだ。
■調査対象者でマイナンバーカード利用時にトラブルを経験した人の平均被害金額は11万1730円
マイナンバーカードの利用を巡るトラブルは、読み取り時のエラーやログインの不具合といったシステム上の問題から、不正購入での悪用や偽造マイナンバーカードを使用したスマホの乗っ取りなど、個人情報の流出に関わる問題まで幅広く発生している。
本調査対象者で、実際にマイナンバーカードに関するトラブルを経験したことがある人の平均被害額は11万1730円、最大被害金額は500万円と高額になっており、個人情報流出時の具体的な損害や、被害を未然に防ぐためのセキュリティ対策を事前に行なう必要がある。
ノートン担当者からのコメント
日本では、今後はマイナンバーカードに保険証や免許証といった機能が付随していくため、より多くの情報が一体化することでサイバー犯罪者に狙われる可能性が高まります。
現在でもマイナンバーカードを使用して他人になりすまし、高額な商品の購入、携帯電話の機種を勝手に変更される被害などが見受けられます。今後そういった被害をなくすためには、マイナンバーカードのICカードリーダーの迅速な普及が必要です。
個人でできる対策としては、いち早く自身の個人情報漏洩を認知し、適切な対応をとることで被害を最小限に抑えることが重要です。
構成/清水眞希