除細動器による初回電気ショックを待つ時間が1分増えるごとに、心停止から生き延びる確率が6%低下することが、アムステルダム大学医療センター(オランダ)のRemy Stieglis氏らによる研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Circulation」に10月27日掲載された。
除細動器での心肺蘇生、1分の遅れが大きな影響
Stieglis氏らは、オランダ北ホラント州で進行中の心肺蘇生に関する研究データを用いて、目撃者がいる状態で院外心停止を起こした患者3,723人を対象に、初回電気ショックが与えられるまでの時間と除細動成功率との関係について検討した。患者は、最初に記録された心電図リズムで心室細動(VF)が確認されていた。初回電気ショックまでの遅延は、最初の緊急通報からいずれかの除細動器による最初の電気ショックまでの時間と定義された。
その結果、除細動成功率は、心停止から最初の電気ショックまでの時間が6分未満の場合では93%であったのに対し、16分を超えると75%に低下することが明らかになった。緊急通報からVFが続く時間が1分増えるごとに、VFが停止しない確率が6%上昇し(調整相対リスク1.06、95%信頼区間1.04~1.07)、正常なリズムに戻る確率が4%低下し(同0.96、0.95~0.98)、生存退院する確率が6%低下(同0.94、0.93~0.95)することが示された。
Stieglis氏は、「われわれの研究により、初回の電気ショックを与える際の1分の遅れが大きな影響を及ぼすことが明らかになった」と話す。論文の上席著者であるアムステルダム大学医療センターの心臓専門医でChristian van der Werf氏は、「除細動に成功するとVFが止まり、正常な心拍リズムに戻るか、または心拍リズムが完全に消失した状態(心静止)になる」と述べ、「われわれの研究では、初回電気ショックまでの遅延が短いほど、心拍リズムが正常になる頻度も高かった」と付け加えている。
しかし、患者が常に安全であるとは限らない。「除細動が成功した後でも、VFが再発し、再び電気ショックが必要になる可能性がある。初回電気ショックまでの時間が短くなると、この可能性も低下する」とvan der Werf氏は指摘する。
現在、オランダ当局は、自動体外式除細動器(AED)を公共で容易に利用できるようにし、警察や消防士などの救急隊員にその使用方法を訓練することで、初回の電気ショックまでの時間を短縮しようと努めている。目標とすべきは、心停止患者に電気ショックによる心肺蘇生を6分以内に実施することだ。論文の共著者の1人であり現在進行中の蘇生研究のリーダーであるアムステルダム大学医療センターのHans van Schuppen氏は、「しかしながら、われわれの研究で実施された心肺蘇生では、4回のうち3回で6分以内という時間に達していなかった」と指摘している。(HealthDay News 2024年10月28日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.124.069834
構成/DIME編集部
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