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AR、メタバース、ポータブル翻訳機の3つのトラベルソリューションから探る観光と旅の最新トレンド

2024.11.09

3. 地域の魅力を伝える、360度実写観光メタバース

最後は、メタバースを観光に活用したサービスだ。

これまでビジネス向けソリューションを開発してきたTIS株式会社が、観光向けにサービスを開発・提供している。

それは、360度カメラで撮影した観光スポットや地域の動画や静止画をもとに、バーチャル空間、いわゆるメタバースを作成して、観光客に観光名所や商業施設などのスポット内をアバターで自由に回遊することができる「Buralit(ブラリト)」というサービスだ。

メタバース内では、他のユーザーや現地の人との交流や、疑似観光や買い物などの体験が可能だ。

●「Buralit」の開発背景

開発背景について、同社の担当者は次のように話す。

「TISでは、2017年頃からXRに関する研究開発に取り組み、2019年からXR技術を使った新規事業開発をスタート。『インタラクティブな遠隔コミュニケーション』を活用し、当初遠隔ガイドやバーチャルガイドツアーといったサービス等を検討進めていました。そんな中、2020年からのコロナ拡大で各地の観光業が大きくダメージを受けたことから、コロナ禍中、およびアフターコロナにおける観光業と地域の活性化という社会課題に取り組み始めました。

2023年以降、観光需要も戻りつつある一方で、有名観光地へ観光客が偏りがちで、オーバーツーリズムという新たな問題などが表面化してきています。TISは、XRの力を活用して、まだあまり知られていない地域の魅力を伝え、日本各地を活性化に貢献したいという思いでBuralitの開発に日々取り組んでいます」

●これまでにない新しいポイント

バーチャル空間を回遊できる時点でまだまだ新しいが、同様のサービスも増えてきている。どんな特徴があるのだろうか。

「360度実写動画を使ったメタバースであることがポイントです。観光客の方は空間の中で、アバター同士でコミュニケーションがとれるので、友達同士でおしゃべりしながら空間を回遊することが可能で、将来的には地域の人によるガイドツアーに参加することも目指しています。アバターを通じて目的地の近隣の観光スポットを自然に認知でき、セレンディピティによる新たなスポットとの出会いが期待できます」

観光地にとっても利点があるという。

「360度カメラでの撮影画像を使用することで、CGで作成するメタバースと比較し、制作する期間や費用といったコストを大きく抑えられます。また一般的な360度動画再生サービスと異なり、空間内に3Dの看板やボットアバターを配置して、観光地の説明や解説ができるなど、情報提供方法にバリエーションを持たせることができます。TISは今後もBuralitで地域の魅力を伝え、地域の活性化に取り組んでいきます」

今年6月にはリニューアルを果たし、オープンワールド化。ユーザーは日本各地をアバターによって制限なくシームレスに移動可能となった。現在、掲載観光スポットを増やすため、期間限定で観光スポットの掲載料を無料で募集中。今後も精力的にスポット数を増やしていく方針だ。

3つの最新トピックスを通して、観光客にとってはもちろん、観光地の地域にとっても新たな可能性が広がっていることが分かった。

デジタル活用が進む中、トレンドとして、よりシームレスさが追求され、リアルとバーチャルがスムーズに融合されつつある。

文/石原亜香利

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