ロンドン本社を含め13 か国にオフィスを構える市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であり、美容やライフスタイル、食品・飲料分野におけるグローバル調査に強みを持つミンテルジャパン(東京都千代田区)は、2024年11月5日に「2025 年:世界のビューティー&パーソナルケアトレンド」の日本語版・無料ダウンロードレポートを発刊した。
本稿では、同社リリースを元にその概要をお伝えする。
3つの注目すべき 2025 年の美容・化粧品トレンド
■1.(私の)知は力なり
2025 年、美容の世界は「頑張る」から「賢く効率的に」に変わる。セルフタンニング剤をブロンザーとして活用したり、ワセリンを使った「スラッギング」で効率的に保湿したりするなど、少ない労力で最大の効果を引き出す工夫が注目されるだろう。
リアルタイムの分析や結果を提供するデバイスが増え、瞬時に最適な選択をする力が消費者に与えられる時代になる。2010年から 2025年に生まれた「α(アルファ)世代」が成人を迎え、AIやバーチャル体験に慣れ親しんでいる彼らの存在が美容業界に変革をもたらすと考える。
AR(拡張現実)メガネは日々の習慣に欠かせないツールとなり、メイクのリアルタイムアドバイスを提供する。一方、若年層の美容への関心に懸念を抱く親や教育機関に対応し、健康志向を打ち出した製品を訴求する動きも出てくる。
加えて、美容医療(外科的、非外科的な施術)が一般化する中、施術前後のケアをサポートする製品が増え、高齢化が進む社会で最適な結果を目指す消費者をサポートをしていく。
消費者は伝統的な美容法に手を加え、バイオテクノロジーの革新を取り入れ、AI でパーソナライズ化された効果重視のケアを行なうことで、自分らしさや長期的な肌の健康に重点を置くようになると推察できる。
■2.潮流を変える
消費者は性能だけでなく、環境にも配慮した製品を求めている。美容業界は自然のサイクルと調和した持続可能性への新しい取り組みに向かっている。
将来的に美容製品は、環境や生理的変化にリアルタイムで適応するようになるだろう。
たとえば、気候条件に応じて変化するスキンケアや、体温に応じて匂いを中和する分子を放出するデオドラントなど、技術と自然が融合した個々人に対応した体験を提供していく。
■3.じっくり考え、素早く動く
2025年には、「快適さと感情的な安らぎ」を重視する美容のトレンドが強まる。食品で言うところの『コンフォートフード』のように、成分やテクスチャー、製品はシンプルな時代を思い起こさせるもので、感覚的に心を癒し、栄養を与えることに焦点を当てていく。
各ブランドや企業は、スローライフの流行に合わせて、より持続可能で意識的な消費行動に対応する必要がある。これは、効果がありつつも、節約志向の消費者に向けて「少量でも満足できる」デザインを施すことを意味している。
各ブランドや企業は神経科学と美容の交差点を探求し、山間の静けさや自然の癒しを香りやテクスチャーで感じさせるような製品を提供するようになると考えられる。
また、消費者からの信頼性を高めるために、科学的なテストと革新的な成分の効果を強調する。
Acorn Labs(アメリカ)のようなブランドが細胞を冷凍保存して内面から美を再生するような、長期的なウェルネス戦略を提供する可能性もある。
◎ミンテル2025年「世界のビューティー&パーソナルケアトレンド」レポートの無料ダウンロードはこちらから
https://japan.mintel.com/global-beauty-trends
構成/清水眞希