大正製薬は、全国の20 代から60代の男女400人を対象に「おならに関する意識調査」を実施。結果をグラフにまとめるとともに、大腸肛門病センター高野病院 理事長 高野正太先生に、おならのにおいや音の原因、およびその対策方法について話を聞いた。
過半数の人が自分のおならをどうにかしたいと思っている
自分のおならが「すごく気になる」「気になる」「たまに気になる」と回答した人は合わせて67.1%。自分以外の人のおならが「気になる」(56.8%)を上回っていて、過半数の人が自分のおならを気にしていることがわかった。
また、自分のおならが「いつも」「たまに」臭いと感じる人は、合わせて71.3%。自分のおならに対して、どうにかならないだろうか、と感じているようだ。
気になるのは「音」(19.8%)や「におい」(32.5%)よりも「両方」という人(47.8%)が最多となった。
■対処方法が不明な人が過半数を占める
おなら対策について「音が出ないようにする/においが臭くならないようにするためにはどうしたらよいと思うか」を聞いた。
どちらの問いも「野菜(食物繊維)を摂る」(音15.0%/におい20.8%)、「便秘の解消」(音13.5%/におい16.5%)、「バランスのよい食生活」(音12.0%/におい16.3%)が上位となり、腸内環境を整えることが大切と考えている人が目立っている。
しかし「わからない」という解答も音・においとも多く、「音」(60.3%)、「におい」(53.5%)ともに1位。気になるおなら対策だが、実は対処方法がわからないという人が圧倒的に多くなっている。
■臭いおならになりやすいと思っている飲食物は「肉類」「にんにく」「いも類」
おならの原因についてはどう感じているのか、臭いおならになりやすいと感じる食べ物・飲み物について聞いた。おならの代名詞「いも類」(29.3%)を抑え、「肉類」(32.0%)「にんにく」(30.8%)が上位に入っている。
おならは腸の動きが悪いサインで、肉類の食べ過ぎは腸内環境を乱す、という意識が徐々に浸透してきているようだ。なお「わからない」との回答も34.3%と1/3を占めている。
おならが気になる理由、男性「マナーとして」女性「恥ずかしい」
次に自分のおならが「すごく気になる」「気になる」「たまに気になる」と回答した人に、その理由を聞いたところ、男性は「マナーとして」(49.2%)、「においが臭く申し訳ないから」(43.3%)の順になった。
一方女性は、「恥ずかしいから」(55.4%)、「おならをしたことが知られたくないから」(45.3%)が上位。周囲に配慮する男性に対して、とにかく恥ずかしい、人に知られたくないという女性の、微妙な意識の違いが明らかになった。
■1/3以上の人が「おならで困った/恥ずかしい経験がある」
おならで困ったことでは、1/3以上の人(36.8%)が、「おならで困った/恥ずかしい経験がある」と回答。
その内容としては(1)「我慢して苦しかった」(57.8%)、(2)「においで周りの人に迷惑をかけた」(22.4%)、(3)「物を持ち上げたときにおならがでた」(17.7%)が上位となっている。
意図せず、うっかり出てしまったおならが原因で、つらかった、恥ずかしい思い出がある人も多いようだ。男性は「うんちがでてしまった」(21.9%)が3位に。おならもれ(便失禁)症状には注意が必要だ。
■「どこまでのシチュエーションならおならをするか」には「家族といるとき」
次にどこまでのおならなら許されるのか、おならをするシチュエーションについて聞いた。
その結果「家で一人」(83.5%)が圧倒的に多く、次いで「外で一人で歩いているとき」(42.0%)「外出先のトイレ」(30.5%)と一人でいることが絶対条件となっている。
逆に「実家で家族といるとき」の回答は22.8%。7割以上の方が、実は家族の前ではぐっと我慢していることがわかった。「夫婦・カップル・友人」と一緒にいる時はもっとNGのようで、外で(7.8%)、家の中(7.5%)ともに10%以下。
大切な人の前でのおならは、夫婦だとしてもやっぱりできないと感じている人が多いようだ。
大腸肛門病センター高野病院 理事長 高野正太先生のコメント
<おならとは>
おならの成分の大部分は、食事中に口から取り込まれた空気です。これに大腸内の腸内細菌が食物を分解する際に作り出すガスが加わり、腸には約1リットルのガスが存在するといわれています。これらが体外に排出されたのが “おなら” です。どちらの成分も体内に蓄積することは望ましくないため、我慢しないことが重要です。おならは「排出すべきもの」として理解するべきです。
<においが臭くならないようにするためには>
においの原因は腸内の細菌が食べ物を分解する際に発生するガスで、前日の食事内容だけでなく、日々の食生活が腸内環境に与える影響も大きく関わっています。脂肪分の多い肉やアルコールを頻繁に摂取する人は、おなら臭が発生しやすいとされています。
一方で、海藻類や水溶性食物繊維を含む食品、漬物、納豆、チーズなどの発酵食品は腸内環境を改善し、においの軽減につながります。効率よく腸内環境を整える上でビフィズス菌・乳酸菌配合のサプリメント等を摂取いただく方法もあります。においの原因となる腐敗産物の発生を抑制する効果につながります。
また、食生活だけでなく、ストレスも腸内環境を乱し、においの原因となることがあります。また、おならを我慢すると、排出されないガスが血液中に吸収されて、口臭や体臭の原因となり、別のにおいの問題を引き起こすこともあります。
<おならの音が出ないようにするためには>
正直に申し上げますと、おならの音に差が生じる理由については明確には解明できていません。力を入れて出す際の音は、腹圧の影響によるものと考えられますが、突然出てしまうおならの音は、ガスの蓄積が一因である可能性もあると思われます。
お尻付近に大量のガスが溜まり、その圧力によって音が発生するのではないでしょうか。このような音を避けるためには、無理に我慢せず、出せるタイミングで静かにおならをすることが望ましいと考えます。
<話題の「低FODMAP(フォドマップ)食品」でガス発生をしづらくし、おならを抑えよう>
腸の動きを安定させ、腸内のガスの生成を抑えるためには、腸内細菌のバランスを維持することが不可欠。納豆や漬物といった発酵食品、大豆製品、食物繊維が豊富な食品を積極的に摂取することをお勧めします。
しかしこれら腸内細菌に良いとされる食品を摂取すると、逆にお腹が張ると感じる方もいらっしゃいます。そこで、最近注目を集めているのが「低FODMAP(フォドマップ)食品(※)」です。
腸内環境は個人によって異なり、状態によってはFODMAP食品が腸内細菌によって活発に発酵され、ガスが生成され、おならになることがあります。腹部の膨満感を引き起こしやすい食品は「高FODMAP食品」と呼ばれ、逆に少ない食品は「低FODMAP食品」と称されます。
腸内にガスが発生しやすくおならにつながる場合は、高FODMAP食品を避け、低FODMAP食を摂取するようにします。腹部の膨満感が軽減した段階で、高FODMAP食品を一品ずつ試し、自分に適した食品を見つけるプロセスをお勧めします。
※:発酵性(Fermentable)」「オリゴ糖(Oligosaccharides)」「二糖類(Disaccharides)」「単糖類(Monosaccharides)」「ポリオール(Polyols)」の五つの頭文字を組み合わせたもので、消化や吸収が難しい発酵性の糖類を指す。
社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院
理事長 高野 正太 先生
1970年、熊本市生まれ。東京医科大学医学部卒。慶應義塾大学病院外科および一般・消化器外科を経て、特定医療法人社団高野会・高野病院に入職。米国Cleveland Clinic Floridaにて肛門領域の診療を学んだ後、肛門科部長、大腸肛門機能診療センター長を経て、現在は社会医療法人社団高野会大腸肛門病センター高野病院理事長。
調査概要
調査地域/全国
調査期間/2024年9月
調査方法/インターネットでのアンケート調査
調査対象/20歳~69歳までの男女
有効回答/400名(男性:200名、女性:200名)
調査会社/株式会社クロス・マーケティング
関連情報
https://www.taisho.co.jp/
構成/清水眞希