スズキは、初となるバッテリーEV(BEV)の量産モデル「e VITARA」を、イタリア・ミラノで公開した。2025年春よりインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始し、2025年夏頃から欧州、インド、日本など世界各国で順次販売を開始する。
この「e VITARA」は、2023年1月にインドで開催されたAuto Expo、同年10月に日本で開催されたJAPAN MOBILITY SHOWで公開したコンセプトモデル「eVX」をベースとした量産モデルで、スズキのBEV世界戦略車第一弾となる。
「Emotional Versatile Cruiser」をコンセプトに、先進感と力強さを併せ持つデザイン、BEVらしいキビキビとしたシャープな走りを実現するBEVパワートレイン。さらに悪路での走破性のみならずよりパワフルな走りを提供する電動4WD「ALLGRIP-e」、BEV専用に新しく開発したプラットフォーム「HEARTECT-e」を商品特長としたSUVとなる。
e VITARAの主な特長
■近代的なBEVの先進感とSUVの力強さを併せ持つデザイン
デザインは、「High-Tech & Adventure」をテーマに、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強いたたずまいとしている。エクステリアは大径タイヤとロングホイールベースを特長とした存在感のあるデザインで、インテリアには先進装備のインテグレーテッドディスプレイやタフな印象のパネルやセンターコンソールを採用して、「High-Tech & Adventure」を体現している。
■高効率なeAxleとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーで構成するBEVパワートレイン
BEVパワートレインは、モーターとインバーターを一体化した高効率のeAxle、安心・安全を追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用。BEVの特長である発進時のキビキビとした加速と、低速から高速までの追越し時のシャープな加速を実現している。
■前後に独立した2つのeAxleを配置した電動4WDモーターで駆動する「ALLGRIP-e」
「ALLGRIP-e」は、スズキの強みである四輪駆動の技術を駆使し、前後に独立した2つのeAxleを配置した電動4WD。パワフルな走りだけではなく、レスポンスに優れた緻密なコントロールも可能とした。また、片側のタイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分(LSD機能)することで悪路からスムーズに脱出できるTrailモードも備えている。
■BEV専用に新しく開発したプラットフォーム「HEARTECT-e」
プラットフォームにはBEV専用に新しく開発した「HEARTECT-e」を採用。軽量な構造、高電圧保護、ショートオーバーハングによる広い室内空間を特長としている。また、メインフロアはフロア下メンバーを廃止し、電池容量を最大化した。
■スズキ株式会社代表取締役社長 鈴木俊宏氏のコメント
「e VITARA」は、お客様にとって使いやすいBEVとするため、試行錯誤を重ねて開発した、スズキ初のBEVです。当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、BEV、ハイブリッド車、CNG車など、地域に合った様々な選択肢を提供してまいります。「e VITARA」の投入は、カーボンニュートラル実現のための非常に重要なマイルストーンとなります。今回の「e VITARA」を皮切りに、今後もさらにBEVのラインアップを拡充するとともに、それぞれの国や地域に適所適材なモビリティを提案してまいります。
【主要諸元表】(欧州向け)
関連情報:https://www.globalsuzuki.com/automobile/lineup/evitara/
構成/土屋嘉久