食べ物をよく噛んで食べると、消化が促進され、食べ過ぎの予防や虫歯リスクの低減、顎周りをスッキリするなど様々なメリットがある。
ロッテは、食事や噛むことに対する意識や行動の実態を明らかにするため、47都道府県ごとに20代~60代の各100名ずつを対象とした、全国「噛む力」調査を実施した。
全国47都道府県「噛む力」ランキング1位は群馬県
本調査での噛む力とは1.日常における「よく噛むこと」に対する意識、2.夕食時一口あたりの咀嚼回数・ガムを噛む頻度といった行動、3.噛むことの健康効果や食べ物の種類別の必要咀嚼回数への理解度といった知識の3要素で構成された質問の回答結果を集計。
ロッテ「噛むこと研究部」が健康面において好ましいとされる順序に点数を割り振り、偏差値で算出した。
全国「噛む力」ランキング1位は、群馬県(偏差値:75)が獲得。続いて、2位に宮崎県(偏差値:74)、3位に沖縄県(偏差値:69)がランクイン。
1位の群馬県は、意識面と知識面を問う質問において、すべて10位までにランクインした。2位の宮崎県は、全体的に得点が高い傾向にあり、3位の沖縄県は、知識面を問う「噛むこと」のメリットを聞く質問で、群馬県と同率で最も高い得点を獲得。
2021年に実施した20~60代を対象にした調査*1と2022年に実施した子どもを持つ親を対象にした調査*2で1位となった秋田県は、今回全体の「噛む力」ランキングでは12位となったものの、よく噛むことを「いつも意識している」「よく意識している」と回答した人が約半数の49%と「よく噛むことへの意識」においては1位という結果になり、「噛むこと」への意識の高さが伺えた。
*1 全国「噛む力」調査
*2 全国「子ども×噛む力」調査 」
一方で、今回の調査において「噛む力」が最も低かったのは3年前と同じ富山県。同県は、「やわらかい食べ物」をよく食べている割合同率3位、夕食時の一口あたりの噛む回数10回未満の割合3位という結果に。
最も「よく噛むこと」を意識しているのは20代。若い世代ほど「かたい食べ物」を食べ、咀嚼回数が多く、ガムを噛んでいる
食事の際に「よく噛むこと」を意識しているか聞いたところ、38.4%の人が「いつも意識している」「よく意識している」と回答。
性年代別で比較すると、意識していると回答した人が47.1%と20代が最も割合が大きく、30代~60代の平均36.3%よりも10ptも大きい結果となった。
よく噛むことを意識していると回答した人にその理由について聞くと、「健康面において重要だと考えるため」という回答が最も多く、次に「ダイエットにおいて重要だと考えるため」という回答が多い。
「かたい食べ物」と「やわらかい食べ物」でどちらを食べることが多いか聞いたところ、「かたい食べ物」と回答した人の割合が大きい順に、20代(44.0%)、30代(36.7%)、40代(35.3%)、50代(35.1%)、60代(34.9%)という結果となり、若い世代ほど、「かたい食べ物」を食べることが多いことがわかった。
また、夕食時の一口あたりの噛む回数を聞いたところ、「20回以上」と回答した人の割合が大きい順に、20代(23.9%)、30代(20.3%)、40代(16.4%)、50代(15.2%)、60代(15.0%)という結果となり、咀嚼回数においても、若い世代ほど、よく噛んでいることが判明。かたい食べ物をよく食べ、しっかり咀嚼していることが伺える。
さらに、普段どのくらいガムを噛むか聞いたところ、「毎日噛む」「よく噛む」「時々噛む」と回答した人の割合が、20代(38.4%)、30代(36.1%)、40代(28.1%)、50代(27.4%)、60代(26.3%)という結果となり、若い世代ほど、ガムを噛んでいることがわかった。
「フーセンガムをいつも膨らませる」と回答した人、60代が57.8%に対し、20代は31.2%
顎や舌、唇の筋肉を動かすことに役立つフーセンガムを膨らませることができるか聞いたところ、「いつもできる」と答えた割合は57.8%と60代が最も多く、年代が下がるに連れ、割合が低くなり、20代は31.2%と25pt以上の差が開いている。
また、20代では、そもそも「フーセンガムを膨らませたことがない・わからない」と回答した人の割合が最も高くなった。
「よく噛むこと」への意識について、「意識している」と回答した人が35.5%だった3年前の調査結果と比較すると、今回は38.4%と2.9pt大きい結果となった。
また、夕食時の一口あたりの咀嚼回数についても、「20回以上」と回答した人の割合が、3年前は15.1%、今回は18.2%とこちらも3.1pt大きくなっている。
調査概要
調査方法:WEBアンケート調査
調査対象:全国47都道府県別の20-60代男女
有効回答数:4700名(性年代居住地均等割付)
調査実施日:2024年10月3日~2024年10月7日
※本文中のグラフの構成比は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、必ずしも合計が100%にならないものもある。
群馬のコシのあるあの食べ物や宮崎・沖縄の食文化がそれぞれの噛む力に繋がっている?県民性の専門家 岩中 祥史氏のコメント
「よく噛むことを意識している」「夕食時の一口あたりの咀嚼回数が20回以上」と回答した人が増加するなど、3年前より「噛む力」が上がったのは、「よく噛む」ことが健康やダイエット・美容に寄与する可能性があることに意識を向ける余裕が生まれたからでしょう。
2021年はコロナ禍のさなかで、それどころではなかったはず。個食や黙食が奨励され、外食の機会も激減したことで、食べる楽しみを多くの人が奪われました。「噛む」という行為はそうした社会の動向と深く関わっている側面があるのかもしれません。
心に余裕を持って食卓に向かえば、自然とゆっくり噛み、よりおいしく食べられるので体にもいい。その原則を多くの人が思い出したのではないでしょうか。
■ランキング上位の各都道府県について
今回1位の群馬県は、コシが強く、なかには10センチなどというものもある幅広のうどん(水沢うどん、おきりこみ、ひもかわ)を根菜類とともに、普段から食べつけている影響でしょう。
噛めば噛むほどおいしいと言われるサバの「へしこ」「ぬた」、丸焼きが伝統食とも言える福井県もまた、日頃から噛む機会が多いのではないでしょうか。
どちらの調査でも上位だった宮崎、沖縄、鹿児島の人は、宴会慣れしているというか、飲みながらしゃべりながらもよく噛んで食べる、ある意味“理想的な”習慣が身についていると言えそうです。
沖縄には「ゆんたく」といって、ご近所どうし、旅人を迎えたとき一緒に飲み食いしながらおしゃべりに興じる独特の習慣がありますし、お墓参りのあとは墓石の前での宴(うたげ)もつきもの。
宮崎・鹿児島の両県は鶏肉や牛肉を生で食べる習慣があるのが、「噛む力」をはぐくむのに影響しているのかもしれません。
関連情報
https://www.lotte.co.jp/kamukoto/
構成/Ara