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1日1個で医者いらず!?知って得する「りんご」の健康メリット

2024.11.06

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

11月5日は「いいりんごの日」。『1日1個のりんごは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away)』ということわざがあるほど、欧米ではりんごは健康維持に役立つ果物として定着している。

青森県りんご対策協議会では、りんごに関する健康効果セミナーを開催、栄養士の佐藤秀美氏、アフロードクリニック代表医師の道下将太郎氏が、ドクターズフルーツといわれるりんごのパワーについて語った。

ドクターズフルーツといわれるりんごのパワーとは

りんごはカリウムとビタミンCといった栄養素、食物繊維とポリフェノールといった健康の維持・増進に役立つ栄養成分(非栄養素)が含まれている果物。

日本人の死因の約半数(2023年人口動態統計)を占めるがん、心臓病、脳卒中の予防にはカリウム、食物繊維、抗酸化物質(ビタミンC、ポリフェノール等)が効果的に働くとされ、りんごにはこれらの成分がすべて含まれている。

日本人に多い高血圧に関しても、りんごにも含まれるカリウムは、高血圧の原因になる塩分(ナトリウム)を排出するので、高血圧の予防・改善に重要な役割を果たしている。

ポリフェノールは苦味や色素を示す抗酸化物質でその数は5000種類以上。抗酸化物質は活性酵素を無害化することで生活習慣病の予防に役立つと研究で明らかになっている。

ポリフェノールは種類によって抗酸化力、体内での作用場所、それに伴う健康効果が異なってくるが、りんごには複数のポリフェノールが含まれており、皮、実共にプロシアニジンというポリフェノールを一番多く含んでいる。そのほかにもカテキン、クロロゲン酸類といったポリフェノールが含まれ、これらは抗酸化、抗ガン、血糖値の上昇抑制、体脂肪低減、認知機能の改善に役立つとされる。

「厚生労働省が推奨している1日に食べる果物の量は200g。りんご1個の一般的な大きさは350gで、そのうち可食部は322gです。

日本人はカリウムが目安量さえ摂れていない人が多く、1日にりんご1個を食べることで、男女共に健康維持のための量を確保でき、さらに60、70代女性は高血圧予防に必要な量も確保できます。健康の維持、高血圧の予防・改善のためには、りんごを1日1個以上食べると良いということですね。

がん、心臓病、脳卒中といった生活習慣病を予防するための目標となる食物繊維摂取量は1日25g。しかし食物繊維に関しても目標量さえ摂れていない人が多いのが現状です。

食物繊維が多い食べ物としてゴボウがありますが、1食分の食物繊維量で比較すると、ゴボウの場合は小鉢1杯分程度の1/3本で、りんご1個と比較すると逆に摂取量が少なくなってしまいます。間食としても手軽に摂れるりんごは、食物繊維の供給源としても効率的で価値があるといえます」(佐藤氏)

薬の処方や手術だけでなく、様々な選択肢を提供する新たな形の医療を目指す道下氏は、在籍したハーバード大学が追求している食事が与える健康へ影響という観点からも、りんごは有益な果物だと話す。

「果物摂取量と死亡リスクの関連を見ると、果物を摂ることで全死亡リスクは8~9%低下、心臓血管死亡リスクは9%低下、呼吸器死亡リスクは5%低下しています。全死亡リスクに関しては野菜摂取よりも果物摂取の方が、リスクが低くなっています。

果物は1日200g以上摂ることが望ましいとされますが、日本人の約4割は1日に果物をまったく食べていません。果物はたくさん食べても問題ないのですが、果物の摂り過ぎから糖尿病の心配をされる方もいます。

実はりんごを1日1個以上食べる人は、糖尿病のリスクすら13%も下げてくれます。また、りんご由来のポリフェノールが血糖値、糖尿病に対して有益な効果を起こすというエビデンスもあります。

腸内環境でいうと、りんご由来のポリフェノールだけでは腸内細菌の構成が大きく変わることはないですが、アスリートに多い乳酸菌、酪酸産生大腸菌という、代謝効率を上げたり、免疫力を上げるような善玉菌が増加することがわかりました。

病気になってから薬を飲み始めるのではなく、毎日の食習慣を変えることで薬の代わりになる予防医療を、海外では『Food is Medicine』といいますが、予防医療の観点からみてもりんごの健康効果は期待できます。1日3食のうちのいずれか、もしくは間食でりんご1個を摂ることから始めてみるとよいでしょう」(道下氏)

様々な食べ方で1日1個以上のりんご摂取を

【生のりんご】カットして食べたり、サラダやヨーグルトを添えたり、生のりんごの食べ方もバリエーションがある。生で食べる一番のポイントは“噛む”ということ。生だと歯ごたえがあるためしっかりと噛むことで、唾液の分泌が促進、唾液の分泌量が多いと虫歯や口内炎などの予防に役立つ。

噛むには力を入れるため脳の血流量が増加して、認知症の予防に役立つこともわかってきており、腸ホルモン(満腹ホルモン)の分泌が促されるために肥満の予防も期待できる。

生のりんごを食べる際、噛む力が弱い小さな子どもや高齢者には、皮つきでも食べやすい切り方の「スターカット」がおすすめ。くし形よりも捨てる部分も少ないので、生ごみが減るメリットもある。

【加熱したりんご】コンポート、焼きりんごなど、加熱して楽しめるのもりんごの魅力。加熱で細胞が破壊されることにより、栄養素や栄養成分の吸収率が高まり、健康効果を得やすくなるメリットがあるとのこと。

また、加熱することで柔らかくなりボリュームが減るため、量をたくさん摂ることができる。丸ごと1個では多すぎて食べられない場合や子どもにも、加熱したりんごはおすすめだ。

りんごとの食べ合わせでおすすめの食材について佐藤氏はこう話す。

「期待する健康効果によって食べ合わせは変わってきます。腸内環境を高めて免疫力アップしたいのであれば、ヨーグルトと合わせることでより効果が高まります。りんごには水溶性と不溶性、両方の食物繊維が含まれています。食物繊維には、腸に存在するビフィズス菌や乳酸菌の善玉菌を増やし、腸内環境を正常に整える作用がありますので、りんごとヨーグルトは相性抜群です」(佐藤氏)

栄養バランスを整えることが目的なら、毎日の料理に使う素材としてりんごを加えるという方法も。すりおろしりんごをソースにして使ったり、肉、野菜、皮つきりんごを使った酢豚も。青森県りんご対策協議会ホームページではレシピを紹介しているのでぜひ参考に。

りんごを1日1個、丸ごと毎日食べると健康に良いというのはわかったが、食べきれなかったり、飽きてしまったりすることも。すりおろしや、スムージーにすれば量を摂れるが、健康メリットは変わらないのだろうか。

「加熱と同様に、スムージーも細胞を破壊しますので吸収率が高まるというデータがあります。りんごが苦手だったり、小さなお子さんで量が食べられない場合は、スムージーにししたり、すりおろしてソースにしたり、カレーに入れたりすれば、1個分のりんごをしっかりと摂取することができます。(※下記画像はすりおろしたりんごを入れたタレを肉に絡ませた「りんごソースの生姜焼き」)

私の子どもが小さかったころは、りんごを皮ごと電子レンジで温めて食べさせていました。

果実はやわらかくなって食べやすく、皮はそのままの硬さなので噛む効果もあります。簡単にできるのでおやつとしてもぴったりです。

また、ミキサーでりんごジュースを作ると、ポリフェノールが空気に触れて酸化し茶色くなってしまいますが、気になる場合はレモン汁を少し混ぜて作るといいですね」(佐藤氏)

【AJの読み】料理にもおやつにもなるりんごは摂りやすい果物

アメリカの映画やドラマで、りんごを丸ごとかじるシーンを見かけるが、りんごは生で食べるだけでなく、加熱したり、お菓子の材料にしたり、様々な楽しみ方ができる果物。がん、心臓病、脳卒中、高血圧といた生活習慣病や認知機能の改善、体脂肪低減、抗酸化など、健康が気になる中高年にはもはや必須といえるスーパーフードかもしれない。

青森県りんご対策協議会では、美腸活カフェ「L for You AOYAMA FLAG SHIP SHOP」とコラボし、2024年12月28日まで青森県産りんごを使った期間限定メニュー4品を提供している。

11月限定メニューは「青森りんごスペシャルコラボ ランチプレート」の1品、12月限定メニューは「青森りんごスペシャルコラボ ゴボウとキノコの豆乳腸活スープセット」「りんごをたっぷり使ったタルトタタン」「りんごの発酵エイド」の3品。いずれもりんごの健康メリットを享受できるメニューなので、足を運んでみてはいかがだろうか。

画像提供/青森県りんご対策協議会

取材・文/阿部純子

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