誰もが何かしら、『やめたい』と思っているのになかなか『やめられない』悪習慣を持っているもの。その悪習慣をゾンビ習慣と呼び、やみつきさせる脳の仕組みを解明、「エモーションシフト」という新メソッドを用いて、「今度こそ」やめられるコツとワザをわかりやすく解説した書籍が『「やめられない」を「やめる」本 -脱・依存脳-』が話題となっている。
自ら実体験した「やめられないをやめる」コツ
著者の山下あきこさんは、25年に渡り、脳神経内科の専門医としてさまざま疾病の診療にあたってきた。扱う疾病や症状は主に脳梗塞や認知症、頭痛、めまい、しびれなど。そして、その多くが、飲酒や喫煙、夜ふかしなど、「やめたいのにやめられない」悪しき生活習慣が原因になっているという。
例えばお酒の飲み過ぎで手足のしびれを起こしたり、食べ過ぎのせい糖尿病になったり、夜あかしが続いて頭痛やめまいを起こしたり……。そうした悪習慣や依存行動が病気をつくっているので、まずはその依存を解決することが、病気の予防や根本的治療になる、というのだ。「今日からタバコをやめます!」と宣言したのに、その夕方にはタバコを買いに行く。「一週間お酒を飲まない」と決意したのに、3日後にはビールが冷蔵庫に並んでいる……。あなたの周りにそんな人はいないだろうか。実は山下さん自身も10年ほど前は同じだった。
「ところがある時、ひょんなことから禁煙に成功することができたんです。その成功がきっかけとなり次はお酒をやめました。さらにスナックやスイーツを食べる頻度もかなり減りました。さらにさらに早起きが苦手だった私が、毎朝5時に起きるようになったんです。もちろん、あっさり到達できたというわけではありません。とはいえ、ひたすら我慢と根性で頑張ったというわけでありません。私は最初の禁煙で「やめるコツ」を掴んだから、『やめられない』を『やめる』ことができたのです」(山下さん)
こうした自らの体験に加え、豊富な診療経験から得た知見とエビデンスデータを交え、具体的な克服術を指南するのが本書。本書では一度習慣になるとその行動について深く考えず、ただただやり続ける、健康を害しても人間関係が破綻してもやり続けてしまうこの悪習慣を「ゾンビ習慣」と呼び、ゾンビ習慣を撃退するテクニックを実際の診療事例をもとにした10人の依存ストーリーと共にわかりやすく解説する。「今年こそ、やめたい!」「今年こそ、変わりたい」と思っている方に、ぜひとも手に取っていただきたい1冊だ。
ゾンビ習慣から「今度こそ」抜けだすノウハウが満載
「やめられない」を「やめる」本
◆第1章 人をだめにするやめられない習慣=ゾンビ習慣とは
心と体を蝕む「ゾンビ習慣」/依存の種類 その(1)物質依存/物質依存の代表例(1)〈アルコール〉/(2)〈ニコチン〉/(3)〈甘味料・グルテン・油脂〉/依存の種類 その(2)プロセス依存
◆第2章 ゾンビ習慣「やめたいのにやめられない」のはなぜ?
ゾンビ習慣に支配される脳の仕組み/人は「幸福貯金」がなくなると快楽で借金をする/悪習慣にはドーパミンが関係している/感情が習慣を作る/ゾンビ習慣にハマる人、ハマらない人
◆第3章 どうしたらゾンビ習慣から抜け出せる?
脳ホルモンを利用/悪習慣を良い習慣に置き換える/「エモーションシフト」の新常識と実践
◆第4章 「やめたい習慣」別 依存しにくい脳の作り方と行動例
ゾンビ習慣にかわる新しい習慣 (1)脱・物質依存 (2)プロセス依存 (3)すべての依存
◆第5章 ゾンビ習慣=「依存」脱却で待ち受ける未来
新しい習慣を身につけて自分を好きになる/自分が変わると周りも変わる/新しい習慣を定着させる技術
◆COLUMN Dr.あきこの依存診察室 様々な依存に悩む10人のストーリー
文/山下あきこさん
1974年佐賀県生まれ。医学博士、内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医。1999年川崎医科大学卒業、福岡大学病院脳神経内科を経て、米フロリダ州メイヨークリニック留学。佐賀県如水会今村病院勤務。人々が健康づくりを楽しむ社会を目指し、2016年、(株)マインドフルヘルスを設立。アンチエイジング医学、脳科学、マインドフルネス、コーチングを取り入れたセミナー、企業研修、健康コンサルティング等を行う。著書に『やせる呼吸』(二見書房)、『こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる』(共栄書房)、『死ぬまで若々しく元気に生きるための賢い食べ方』(あさ出版)、『悪習慣の罠』(扶桑社)。