GfK/NIQ JapanはZ世代に関する独自調査を実施。2024年10月31日、同世代における消費行動の特徴をグラフなどにまとめて発表した。本稿では、同社リリースを元にその概要をお伝えする。
Z世代市場について
Z世代(Generation Z, Gen Z)は、1990年代後半から2010年初頭に生まれた世代を指す。2024年時点で12~27歳前後のこの世代は、消費行動の新しい潮流を形成し、今後のマーケティング戦略において最重要なターゲット層と見なされている。
全世界人口の約25%を占め20億人に達するZ世代は、今後50年にわたって市場で最大の消費者層となることが予測されている(図1)。
■Z世代の旺盛な消費力
Z世代は、かつてないほど裕福な世代でもある。例えば、アメリカの25歳の平均世帯年収は4万ドルを超え、これは(税金、政府移転支出、インフレを考慮しても)ミレニアル世代やベビーブーマー世代の同年齢と比べて大幅に高い水準と言える(図2)。
現在、Z世代は世界の消費総額(57兆6000億ドル)の約17%を占め、今後6年でその割合は19%に達すると予測されている(図3)。
また、今後10年間で最も消費額の伸びが顕著な世代となるとされている(図4)。このような背景から、Z世代の消費動向を理解し、迅速に対応することが、企業にとってますます重要な課題となっている。
Z世代の特徴について
Z世代には以下の3つの特徴がある。
■1. デジタルネイティブ
Z世代は、生まれながらにしてインターネットやスマートフォンが当たり前に存在する環境で育った「デジタルネイティブ」の世代だ。彼らはテクノロジーによって瞬時に情報を得ることができ、SNSやオンラインショッピングなどのデジタルプラットフォームを日常的に活用している。このため、企業が彼らにリーチする際には、デジタル戦略が不可欠となる。
■2. 多様性
Z世代は、他の世代に比べて圧倒的に多様性のある世代。12歳から27歳という幅広い年齢層・ライフステージを含み、人種や民族、価値観においても非常に多様だ。LGBTQ+コミュニティへの参加率がミレニアル世代と比べて特に高く、宗教に属する人の割合も減少している。また、欧米諸国がZ世代の消費額の44%を占めているが、この割合は他の世代に比べて低く、Z世代は欧米中心からより多様な地域へと広がりを見せている。
■3. 社会問題への関心
Z世代は、気候変動や経済不安などのグローバルな社会問題に対して強い関心を持っている。しかし、その懸念が必ずしも消費行動に一致するわけではない。例えば、「環境基準の低い国の製品は買わない」と答えている一方で、ファストファッションや最新のハイテク機器を購入するなど、意識と行動にズレが見られることが多いといえる。
Z世代の消費傾向と企業の対応
Z世代は健康志向やサステナビリティに強い関心を持ち、2034年までに特にアルコールや健康関連商品の需要が増加すると予測されている。
彼らは化粧品や食品においても、クルエルティフリー(製品開発等いかなるフェーズにおいても動物実験などの残虐性がないこと)でナチュラルな成分を重視する。
また、商品購入時には公式サイトだけでなく、口コミやレビュー等さまざまな情報源を参考にするため、企業は一貫したブランドメッセージを発信することが重要だ。
さらに、Z世代は「ワンクリック購入」や「即日配達」といった迅速で簡単なショッピング体験が当たり前の世代であるため、企業は利便性を追求したサービスを提供する必要がある。
■Z世代に対するマーケティング戦略
Z世代の消費者層は多様性に富んでおり、全員に共通するマーケティングメッセージを発信することは困難だ。このため、企業は正確なセグメンテーションとハイパーターゲティングを駆使して、各層に応じた戦略を展開することが求められる。
具体的には、公的統計や購買データ、SNSのデータ、ウェブサイトやアプリを通じたビッグデータ等を活用し、Z世代の消費行動をリアルタイムで把握・分析することが不可欠だ。
データに基づいた戦略を迅速に実行できる企業こそ、今後のZ世代マーケットで成功を収める可能性が高いと言えるだろう。
関連情報
https://nielseniq.com/global/jp/news-center/2024/1031-cmi/
構成/清水眞希