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本の貸し出しはなし!?ビジネスパーソンに寄り添った図書館が話題

2024.11.03

「本の貸し出しをしない」そのワケとは?

ビジネスパーソンの支えとなる図書館に魅了され、引っ越しまでさせてしまうそのポテンシャル。かつてこれほどまでに心揺さぶる図書館があっただろうか。

ただ…なぜ….本を貸してくれないのだ?

「現在、図書館の貸出サービスは非常に充実しています。札幌市では、希望の本をwebで予約し、最寄りの図書館などに取り寄せて、貸し出しを受けることができます。1人10冊、最大2週間借りることができますが、人気の本は貸出中であることが多くなります」

「図書館の役割として、求めている情報が必要とする時に入手できることが重要です。特にビジネス用途等においてそれは、より重要視されるものと考えています。そのため当館においては所蔵する本の貸出しは行っていません」

「もちろん、図書・情報館にも貸し出しをする―カウンターを設置していますので、館内で気に入った本があった場合、貸出し可能な在庫が市内の図書館などにあれば、取り寄せて借りることができます」

あくまで、利用者に寄り添った考えのもと、その取り組みは始まった。さらに、こまやかに人に寄り添うべく、図書館にはこんな一面も。

「悩み解決の糸口や仕事で必要な情報収集、スキルアップが効率良くできるよう、当館はすべての棚でオリジナルテーマによる配架をおこなっています。たとえば、『次世代モビリティ』『SNSマーケティング』といった需要にあった提案をはじめ、人間関係の棚の『負の感情とのつき合い方』、『出会いもあれば…』などの人に寄り添ったテーマなど、司書ひとりひとりが考えた唯一無二のオリジナルテーマで、それに基づいた本を1冊1冊吟味しています」

(テーマを見るだけでも面白い)

「また、当館のテーマは、大テーマ>中テーマ>小テーマと階層があり、総論から各論へ深掘りできるようになっています。テーマ別陳列の醍醐味は数珠つなぎ的に、求めている情報とそれに近い情報が並んでいることです。棚を眺めているだけで求めている情報プラスアルファの気づきがもらえること。これも大きな価値です」

――ちなみに、小説や絵本などの棚はあるんですか?

「棚はありませんが、館内の各テーマに合った本、テーマを理解するのに適切と考える本であれば、それが絵本であれ小説であれコミックスであっても蔵書しています。」

ビジネスパーソンのための図書館で人気の本とは?

札幌市図書・情報館の魅力は尽きない。

「最新の情報は本の中でもインターネットでもなく、人の頭の中にある」を理念に、月2回ほどセミナーやイベントを開催しています。セミナーは司書が企画するものもあります。本をはじめとした様々な情報に多く触れている司書だからこそ、いま求められている情報とは?という観点で企画を創り上げることができると思います。能動的に情報発信をすることで様々な気づきや新たな発想を生み出す機会にできる。人の言葉で発信される情報も大切な資料の1つだと捉えています」

セミナーを行うことで、図書館を利用したことがない人への来館の動機を与え、興味関心のある本と出会ってもらう流れを意識した取り組みだ。
そんな札幌市図書・情報館で人気の本とはなんなのか?各テーマでのベスト3を教えていただいた。

【ビジネススキル】

(1)『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉/ダイヤモンド社)
(2)『「思考法」の必読書50冊、1冊で図解してみた』(鈴木博毅/東洋経済新報社)
(3)『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。(荒木俊哉/SBクリエイティブ)

【働き方】

(1)『DIE WITH ZERO』人生が豊かになりすぎる究極のルール(ビル・パーキンス/ダイヤモンド社)
(2)『あやうく一生懸命生きるところだった』(ハ・ワン/ダイヤモンド社)
(3)『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
※2024年4月1日~9月30日
※WORKのビジネススキル、LIFEの働き方からのランキング

――今後取り組んでいきたいことを教えてください

「時代の経過により求められる価値は徐々に移り変わります。それらに合わせた情報・サービス提供ができるよう、図書・情報館も変化、進化し続けていきたいと考えています」

「当館のホームページには「人と情報をつなぐ」「人と人をつなぐ」と謳っていますが、人と人をつなぐ情報交流空間としての提案、双方向的なコミュニケーションを活発化させられる施策やサービスなどを検討していきたいと考えています」

取材協力
札幌市図書・情報館

文/太田ポーシャ

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