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オスのクジャクの羽はなぜあれほどまでに美しいのか――。疑問を挟むまでもなくそれはモテるためであり、決して良いお父さんになるためではないようだ。
派手な高級ブランド服を着る男性の意図とは?
ユニクロや無印良品などのベーシックな服を好んで着る人がいる一方、高級ブランドの派手な服で身を固める者もいる。
男性が高級ブランドの服を着ることは広い意味で富を誇示する意図を感じるが、正確にはどのような狙いがあるのかを探った興味深い研究が届けられている。
パートナー候補になり得る異性に対するメッセージにはいくつかのスタイルがあると考えられ、特に独身者の多くは外見においても言動においても、自分の“売り”が何なのかをそれとなく示している。
男性は主に将来の頼もしい父親としての信頼性を売りにするか、あるいは魅力的なイケメンであることを売りにするか、大きく2つの“戦略”に分けられる。では高級ブランドの派手な服を着ることはこの“父親戦略”と“イケメン戦略”のどちらの戦略に合致しているのだろうか。
米ミシガン大学の精神医学者、ダニエル・J・クルーガー氏が今年8月に「Evolutionary Psychological Science」で発表した研究では、高級ブランドの服を着ることなどの男性の誇示的消費の一部は父親戦略よりもイケメン戦略のシグナルであると説明している。
民族的に多様な357人の大学生(62%が女子)がオンラインで参加した調査で参加者はラルフローレンのポロシャツを着た架空の4人の男性を評価したのだが、それぞれのポロシャツは、ロゴなし、小さいロゴ、中くらいのロゴ、大きいロゴの4種類であった。
参加者は、交配努力(配偶者を引き付けるために費やすエネルギー)、親としての投資(家族に投資する意欲)、短期的または長期的な性的関係における魅力、社会的地位を獲得する方法が強権的であるか正当的であるか、などについて男性を評価した。また男性が育った環境の予測不可能性または苦労の経験も評価した。
調査結果から、大きいロゴは交配努力の評価が高く、親としての投資の評価が低いことが確認された。大きなロゴのシャツを着ている男性は、短期的な性的関係を追求し、権力を利用して社会的地位を獲得する傾向が高く、多くの場合は威圧的であると認識されていた。つまりプレイボーイ的で権力志向のイケメン戦略である。
対照的に、ロゴが小さいシャツやロゴのないシャツを着ている男性は、長期的な関係を育み親として家族に投資し、名声(協力とスキル)を通じて相応しい地位を獲得する傾向が高いと評価された。これは誠実で信頼感のある父親戦略である。
興味深いことに、参加者はロゴのないシャツを着ている男性を、より予測不可能な環境で育ったと評価し、親としての投資では高く評価したにもかかわらず、これらの男性は長期的な関係においては魅力がないと認識されていた。ロゴがないことが社会的または経済的地位が低いと受け止められているということだ。
地味な服を着ている男性には“父親”としての評価が高い一方で、面白味に欠けると思われやすいのかもしれない。もちろんこれは今回の調査における一般的な傾向であり、着ている男性の全体像や評価する者の男性観にもよりけりではあるだろう。