世界最大規模の世論調査会社であるイプソスでは、2024年11月に行なわれるアメリカ大統領選挙に伴う米国内の世論調査を継続的に実施している。
現地時間の2024年10月25日に発表された、第11弾となる今回のリポートについて同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
11月5日の後―米国、政治的暴力への脅威
2021年1月6日に起きたトランプ支持者などによるアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件
11月5日は選挙日だ。しかし物語はそこで終わらない可能性が高いようだ。
まず、選挙後、数日間は誰が選挙に勝ったかわからない可能性が非常に高く、不確実性が生じる可能性がある。また近年、政治的言論が激化しており、専門家はアメリカで将来さらなる政治的暴力が起こる可能性があると懸念している。
もちろん、誰が選挙に勝つかははっきりしていない。
ほとんどの世論調査や予測では、選挙は五分五分になると予想されている。しかし、前回の選挙では、そのような暴力の脅威が十分に起こり得ることが実証された。選挙をめぐる暴力の脅威に関して、アメリカ人はどのような立場を取っているのか?
以下は、アメリカ人が選挙の重要性と選挙後の暴力についてどう感じているかを示す5つのグラフだ。
■1. 誰が勝っても危機だ
誰が勝っても、多くのアメリカ人は選挙が国家にとって危機だったと感じるだろう。緊張は高まっている。
■2. 政治的暴力は真の懸念事項だ
自分たちの政党の利益のために政治的暴力を正当化するアメリカ人はほとんどいないと言えるがゼロではない。選挙後に過激派が暴力行為を起こす可能性があると多少は懸念している。
■3. 軍が介入すべきか
政党を問わず、アメリカ人の半数以上が、選挙をめぐる暴力の脅威を阻止するために軍を使うことを支持すると述べている。
■4. 有権者にとって暴力の脅威はどれほど重要なのか
インフレや移民ほどの影響はない。選挙後の暴力の可能性に対し、過半数のアメリカ人が懸念しているにもかかわらず、「政治的過激主義」と「民主主義への脅威」を懸念しているのは、主に民主党である。
■5. 自信を持って態度を変える
スキャンダルだらけの2016年の選挙とトランプ政権の4年間を経て、民主党は選挙の公正さに対する信頼を失っていた。トランプ氏が2020年の選挙で敗北し、その結果に異議を唱えたことで、状況は一変した。政党は選挙をどの程度信頼しているのだろうか? それは誰が勝つかによるのかもしれない。
11月5日が近づくにつれ、多くのアメリカ人は今回の選挙の重要性を感じている。暴力を正当化するアメリカ人はほとんどいないが、たった一人でも、混乱の火種となり得るのだ。
選挙当日に誰が選挙に勝ったかがわかる可能性は低く、混乱や混沌、政治的不正行為が起こる可能性が高くなる。
そして、選挙戦ではまだ明確なリーダーはいないものの、自分の支持する候補者が負ければ権利を奪われた、と感じるアメリカ人が一定数いることは間違いない。前述したように緊張が高まっている。
関連情報
https://www.ipsos.com/ja-jp
構成/清水眞希